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るろうがぁる   作者: 日暮蛍
名無し
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十七話 一位

本名は三日月 直近。偽名は朧。

【合戦場】を利用するものたちの中にその名前を知らないものはほとんどいない。

【土の島】の将だから、だけではない。

流浪がいなくなった今、【ぶっ殺ランキング】の一位の座に君臨しているのは朧だ。


流浪が生存していた頃は朧はよく流浪に【ケットウ】を申し込み、流浪に敗北していた。

何度も流浪に挑み続ける理由を知っているのは朧と家族と流浪と朧の補佐役である鯏丸だけ。

そのため理由を知らない他のもの達は朧が流浪に【ケットウ】を申し込むのは朧も流浪の事を憎んでいるからだと思っている。

しかし、過去に流浪ぶっ殺すの会のもの達が【土の島】にやって来て朧に流浪を殺すのに協力しろと言われた時、朧は問答無用でその場にいた流浪ぶっ殺すの会のもの達を皆殺しにしてしまった。

この一件で朧は流浪を殺すのは自分一人の力でやると他のもの達に判断され、流浪ぶっ殺すの会のもの達もこれには流石に懲りたのか【土の島】には極力近づかないようにした。


流浪がいなくなった後、朧は繰り上がりで【ぶっ殺ランキング】の一位になり、それ以降誰にも朧を一位の座から引きずり落とす事はできず、いつしか朧は【合戦場】最強の男と呼ばれるようになった。


その男が今、名無しの権兵衛の前に立っている。

サイボーグオチムシャくんの着ぐるみを着た状態で。



◆◇◆◇◆



だだっ広い草原に青空以外何もない場所で返り血まみれの名無しの権兵衛とサイボーグオチムシャくんの着ぐるみを着ている朧が向かい合っていた。


「さぁ【ケットウ】の始まりだ!」


空飛ぶ円盤に乗って二人の頭上で会場にいる観客達に向けてそう言うすぅ。


すぅの宣言の後、先に動いたのは名無しの権兵衛だ。一気に距離をつめて朧の首を落とそうと刀を振るう。

すると呆気なく着ぐるみの頭が斬り飛ばせてしまう。

側から見たら朧の首が斬り落とされたように見えるが、斬った名無しの権兵衛は手応えの無さに着ぐるみの中身を斬れなかった事を実感する。

着ぐるみの中にいるはずの本体に確実に負傷を与えるために胴体の部分を突き刺そうとした時、斬り落とした首の穴から何かが飛び出した。

名無しの権兵衛はついそれを目で追うと、そいつの手には手斧が握られていた。そいつは落下の勢いを利用して名無しの権兵衛に向けて手斧を振り下ろす。

すかさず刀でその攻撃を防ぐ名無しの権兵衛だが、そいつの重い一撃に力負けし体制を崩し地面に膝をついてしまう。その隙をついてそいつはもう一度斧を振り下ろすが名無しの権兵衛は咄嗟に転がってかわし、急いで距離をとる。

そして今度はしっかりと相手の姿を見据える。


細身でありながらも鍛えられている肉体。

拘束服を思わせる真っ白なつなぎ。

戦いに不向きなヒールのついた白い靴。

三つ編みで一つにまとめている黒髪の長髪。

顔にはサイボーグオチムシャくんのお面。

そして片手には手斧。


それが朧の現在の装備。


朧と距離をとりながら名無しの権兵衛は呼吸を整えようとするが、ヒールのついた靴でありながら朧は名無しの権兵衛に向かって突っ走って距離を詰めてくる。そして名無しの権兵衛に少しでも隙ができたら斧を振り下ろしてくる。


名無しの権兵衛は反撃の機会を窺っているが、呼吸を整える暇もなく朧が攻めてくる。その上、【ケットウ】を行う前に【ムソウ】での千人斬りで名無しの権兵衛が思っている以上に体力を使ってしまい動きが悪い。

そして、今戦っている相手は【ぶっ殺ランキング】一位の男。つい先ほどまで戦った【写し持ち】達とは比べものにならないほどの実力がある。

加えて今戦っている場所は障害物になりそうな物が何もない草原。【ムソウ】の時のように物陰に隠れて相手を殺すという戦法は使えない。


この【ケットウ】、圧倒的に名無しの権兵衛にとって不利なものだ。

体力、場所、経験。そして何より、相手を殺したいという気持ち。そのどれをとっても今の名無しの権兵衛には朧に勝てる要素はない。

そうと分かっていても名無しの権兵衛は刀を手放さない。手放したら最後、朧に殺される。


【無名】のおかげで名無しの権兵衛はまだ生きている。

それを自覚している名無しの権兵衛は絶対に【無名】を手放さない。

それを理解した朧は【無名】を名無しの権兵衛から遠ざけるために力を込めて手斧を振るった。その攻撃を防ぐために防御の姿勢をとったため名無しの権兵衛の体がほんの少し硬直した。その隙を狙って朧は力任せに手斧を振り、【刀装】の上からにも関わらず、手斧で名無しの権兵衛を腕を切り落とした。


「…えっ?」


激痛の中、名無しの権兵衛は【無名】を手にしたまま宙に飛ぶ自分の両腕を呆然と見てしまった。が、すぐに朧に腹を蹴られてしまい地面に倒れ伏す。ただでさえ傷口から大量の血が出ているにも関わらず、勢いよく蹴り込まれたためヒールの部分が腹に突き刺さったため名無しの権兵衛は起き上がれなかった。

朧は手斧を投げ捨て、もう刀を振るえない名無しの権兵衛の上に馬乗りをし首に両手をかけてゆっくりと締めていく。

名無しの権兵衛はうめき声を上げながら手足をばたつかせて抵抗を試みるが、朧は気にせずに少しずつ手の力を込めていく。仮面のせいで表情が見えないため朧が今何を考えてこんな事をしているのか名無しの権兵衛には分からない。


この場所に来てから何も喋らなかった朧が息絶え絶えの名無しの権兵衛に向けて一言


「しね。」


そう言った後、朧は両手に力を込めて名無しの権兵衛の首を握りつぶした。

朧の【刀装】は真っ白なため名無しの権兵衛の返り血はとても目立っていた。


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