第七章~新しい朝~
東の窓から差し込む白い光が、目に刺さり目を開ける。
つい最近見知ったばかりの天井の下で目を覚まし、のっそりと起き上がり。
部屋全体を見渡しここは、昨日に宛てがえられた部屋だったと。目覚めたばかりのぼぅとする頭で感じた。
寝ぼけた頭を抱えながら、窓に近づき。日差しを弱めるための薄い布を右にスライドさせたときのシャーアというレールを滑る音で、少し頭がクリアになった。
外の景色を眺めると差し込む日差しに目が眩み、手で庇いながら空を見上げる。雲一つのない青空で息を吐くほどの綺麗な青で、古くから伝わる色彩をフルに活用させても形容できない色気を持っていた。
窓をそっと開けると、花の蜜で甘い香りに染まった爽やかな風が優しく頬を撫でた。手を伸ばせば届きそうな濡れ色の空を、絹の柔らかい空気を肺いっぱいに吸い込みと大きく伸びをした。
こんな気持ちのいい朝がこの世界で始めて目覚めた時からだったら、どんなに良いだろう。と地下牢に出る前までに嵌められた手錠の跡が生々しく残る手首に目をやり口角を悲しく歪ませた。
物思いにふけっていると背後の開き戸から、ノックする音が聞こえ咄嗟に身構えて取り振り向いた。開き戸を叩いた主は、ノックの応対が無かった為なのかもう一度戸を叩かれた。
「どうぞ」と答えると、ゆっくりと戸が開き。扉の向こう側には小柄な女性が背筋を伸ばしピシッと立っていた。そして、彼女は部屋に入ってくるとテレビや漫画で見たことある。スカートの様なひらひらした朱色の裾を両手で持ち上げ、深々と頭を下げる。俗の“カーテシ―”という作法でお辞儀してから名乗った。
「この度から卯月実様のお世話を命じられました。朱沙と申します」
といきなり恭しく礼をされて実も習って。
「う、卯月実です。えっと、こちらこそお願いします」
「こちら、お着替えでございます」
と一方的に綺麗に畳まれた服を目の前に突き付けられ、少年は戸惑いながらも。
「ありがとうございます」
とおどおどとした口調で受け取り、畳まれた服を目の前に広げてみる。そしてそれに思わず、首を傾げた。
それは、木綿で作られた着物に似ているが袖山がなく袖が丸く縫われており。さらに、まだ朱沙の手に残っている黒と茶色を混ぜたようなの色をした布を取り広げると、それは左右が別々の筒状で両脛に分かれた股のないズボンに似ている形をしていた。それらを組み褪せてみると、はるか昔の日本人男性が着ていただろう袴そっくりな見た目になるのだった。
前編を投稿して早2カ月以上経ち、吃驚致しました。すみませんでした。
次からは、週一で投稿するように致します。