プロローグ ~救いの手はあるのか?~
始めて連載小説を、投稿させて頂きます。
小説を書き始めたばかりなので、所々に誤字・脱字があれば温かい目で教えて頂ければ、幸いです。
なお、この作品を読んでのご感想・ご意見があれば、さらに嬉しく思います。
ごつごつとした岩室の上から、この前降ったばかりの雨水が浸み込み、ぽつぽつと滴っている。
勿論、岩室の天井から滴った雨水は透明じゃなきゃいけなのに、重力で落ちた水滴は赤い。まるで、真っ赤なトマトを絞ったトマトジュースを連想される程に真っ赤だ。
いいや、鍾乳石から零れた水滴は透明だし。赤錆に似た匂いはしないだろう。
たぶん、僕の目の前に広がる光景が余りにも現実離れし過ぎているから、これは幻覚だと思う。
いや。もしかしたら……。幻覚だと思っているこれが、現実なのか……?。
僕の隣で血を流して倒れている少女の体温は、一秒、一秒。経過するごとに冷たくなってくるのが、僕の掌から伝わってくる。
僕が一番恐れていたことが、現実になってしまった……。
僕が見たくなかった状景を、誰かが悪戯に具現化してみせているような。そんな気色悪さに襲われた。
護りたい人をまた、何もできずに目の前で消えてしまう。こんな苦痛はもう、味わいたくなかったのに。
「君は結局。人を護ることなんて出来やしないのさ」
岩室の入り口の穴近くに佇む人影があった。
「君が護ろうとしたものは、皆。すべて、壊れてしまうのさ」
「ちがうっ‼僕は、僕は...」
何もできなかった。この人達に何もしてやれなかった...。
背後に佇む人影から、愉快そうに、しかも饒舌に語っている声がだんだんと大きくなる。
「あぁそうさ。たしかに、君のせいじゃない。―――壊しているのは、この私だから」
鋭い刃が背中から胸にかけて差し込まれ、口から大量の血が間欠泉の様に吹き出す。
そして、視界が真っ赤に染まって、意識が遠くなり。瞼がゆっくり、ゆっくり、重くなった―――。