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~第二の錦織圭たちに贈る言葉(10)~ 『攻撃的踏ん張りに成功すれば《勢い》が付く』

作者: 目賀見勝利

           〜第二の錦織圭たちに贈る言葉(10)〜

          『攻撃的踏ん張りに成功すれば《勢い》が付く』


1. まえがき;

試合中には『踏ん張らなければ』ポイントを奪われる場面に度々遭遇する。

相手が攻撃的になっている時は『防御の踏ん張り(ボールを何とかつなぐ・ミスをしない)』が出来なければならない。

また、こちらが攻撃する時は『攻撃の踏ん張り(相手を走らせる・ミスをしない)』が必要となる。

そして、試合に勝利するには、単なる『攻撃の踏ん張り』ではなく、

『攻撃的踏ん張り』が必要であり、それが出来た場合に『いきおい』が付く。

 別の表現では、『流れ』を捉える事ができるのである。


『孫子の兵法』の兵勢第五において、

「激水のはやき、石を漂わすに至る者は、せいなり。鷙鳥しちょうはやき、毀折きせつするに至る者は、せつなり。故に、善く戦う者は、其の勢 険しく、其の節 短し。」と書かれている。

鷙鳥しちょうとは、鷲や鷹などの猛鳥のことであり、毀折きせつするとは、

襲撃する相手動物の首や翼などを折り動けなくすることである。

節とは、攻撃する間合いとタイミングのことである。

そして、「せいとはを張るが如く、せつとはを発するが如し。」とある。

を張るとは、大きな石弓(石を放つ古代の大砲)のバネ材(木板材など)の弩を目いっぱいに引き、大きな石を放つ準備を終えることであり、を発するとは、引き手を放して、石を放つ瞬間タイミングのことである。

 

ここでは、『攻撃の踏ん張り』や『攻撃的踏ん張り』とはどのような事なのかを考える。

 

2. 贈る言葉;

『攻撃の踏ん張り』とは、ポイントを取るための攻撃手段である。

それは、ボレー、スマッシュ、高い打点から強打するストロークなどでエースを奪うことである。これは、相手からの返球に力がない場合に成功するショットである。

しかし、『攻撃的踏ん張り』とは、相手の返球も隙の無いショットであり、容易にエースが奪えない打ち合いの状態にある時に取るべき手段である。


相撲において『踏ん張る』とは、自身の体が相手から押された時に、体が動くのを防ぐこと、あるいは押し倒されないように耐えることである。

それには、膝を曲げ、足に力を込めて地面を踏み込む必要がある。

この時、臍下丹田(臍の下にある部分)に込めた『気』が大地の『気』と一体となっており、すなわち身体と大地が一体となっているため、相手は地球を押しているのと同じであり、動かすには大変な力がいることになる。


テニスにおける『踏ん張り』は、グランド・ストロークにおける基本技術要素である。

膝を曲げ、足に力を込めて地面を踏み、臍の高さでボールをインパクトし、ボールをラケットで前に押し出すように力強く打つことである。フラットショット、あるいはドライブショットが『攻撃的踏ん張り』となる。スライス・ショットは『逃げ』のショットになり、『防御の踏ん張り』となる。

この『攻撃的踏ん張り』ストロークで相手を走らせ、イージーな返球が返ってきた時に、『機』すなわち『チャンス』を逃さず『攻撃の踏ん張り』であるエースショットを放ち、ポイントを取ることができると、自分自身に『心→体→技→心』の上昇スパイラルが生まれ、『勢い』が付く。すなわち『流れが来る』のである。


          『諸君の健闘を祈る』

        目賀見勝利より第二の錦織圭たちへ

           2017年8月27日


追記;『攻撃の踏ん張り』をより具体的に述べる。

ストロークラリーに於いて、100%の腕力わんりょくで打球するのではなく、

100%に研ぎ澄ました心で、プレースメント(相手コートへのボール落下地点)に意識を集中しながら、確実にボールを押し出すように強く打球する。当然、相手選手を走らせることを考えたプレースメントでなければならない。プレースメントに集中しながら、少しでも強い打球を放ち続けるのには忍耐がいる。強い打球を放ち続けて、相手がミスショットするのを忍耐強く待つのである。

これが『攻撃の踏ん張り』・『攻撃的忍耐』である。

          2021年8月5日 追記


 東京オリンピック2020の女子卓球団体決勝(日本VS中国)の伊藤選手VS孫選手の試合における伊藤選手の攻撃的ショットを見ながら、感じつつ記述。

(伊藤選手は孫選手の攻撃的忍耐に敗れた。観客には伊藤選手の攻撃を孫選手が受けているだけの様に見えるが、孫選手は気力を込めて狙った位置に強く返球し続けているのである。だから、伊藤選手はミスショットをしてしまうのである。)


         

参考文献;

孫子の兵法  安藤 亮 著  日本文芸社  昭和55年8月発行


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