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虚偽の現実  作者: NGM
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第1話

文書くの難しい( T_T)\(^-^ )

授業の終わりを告げる間抜けな音のチャイムを耳にしながら、

俺--小野瀬 黒兎は目を開け、だるそうに机にふせていた体を起こした。


黒板には真っ白になりそうなくらいチョークで書いた文字でいっぱいになっている。今では黒板やいろいろな色のチョークを拝むことなんてそうそうないだろう。この学校も一年生の俺たちが卒業したらすべてをデジタルにしていくらしい。なぜ俺たちが卒業してからかというと突然の環境の変化は生徒たちに悪いとかどうとかという建前だがおそらく金がないんだろう。

そんな旧式黒板の前で眼鏡をかけた強面の中年教師がまだ何かの説明をしている。

たしか社会の担当だったか。


今は7限目。最後の授業だ。

一番眠気を誘われる時間なのか他の生徒たちもまばらに伏せている。

隣の教室からはガタリと椅子を引いた音と元気のいい日直の挨拶が聞こえる。

寝ぼけ眼でふと外を見ると体育の授業を終えた女子生徒がジャージ姿で喋りながらゆっくりと下駄箱へ歩いていく。


そんな周りの様子など見えていないように授業を続けていた教師がようやくそれを終えて教室の外に出て行ったのを確認してからもうひと眠りするかと再びふせようとすると、前の席のバカそうな男子生徒がこちらを振り返り声をかけてくる。


「よう。いい夢は見れたか?」

「……お前も寝ていただろう」


男子生徒ーー倉山 秀信はまぁなと笑い、椅子を後ろに向けて完全にこちらを向いた。


「それより聞いてくれよ。この前言ってた虚偽の現実(フォルスリアリティ)ってあるじゃん?それでさ今度、大型アップデートがあるんだよ。」


これは寝させてもらえないなと思った俺は欠伸をしながら答えた。


「ふぁあ……それを俺に言ってどうするんだよ。俺はやってないぞ?」


虚偽の現実フォルスリアリティとはヘルメット型ゲーム機を使って遊ぶ完全仮想世界式フルバーチャルワールドタイプMMOのことで、昔、ラノベとかアニメとかで流行っていたVRMMOのようなものだ。簡単に言えばファンタジー小説の中のような世界に入りモンスターを倒したり他のプレイヤーと|pvp(決闘)と呼ばれる人対人の戦いをしたりするゲーム。

このゲームは完全スキル制である。

敵を倒したり、pvpをしたりして経験値を集め、上げることができる『レート』という強さを表す数字はあるが、それをいくらあげても強くはならない。

敵を倒すと経験値の他にスキルポイントと呼ばれるものが手に入る。それを消費し、スキルを手に入れることで強くなるのだ。

またスキルを使うことにより、熟練度を上げることでスキルがレベルアップする。それを繰り返すことによってより早く強くなれる。

やっていないのにこんな情報を知っているのは目の前にいるこのバカがいつも延々と俺に喋り続けているからである。

全くはた迷惑なことだ。

そんなバカは俺の返事を聞いてニヤリと笑うとドヤ顔をした。


「やってないからこそだ。今回のアプデ前のイベントとして新規ユーザーを呼び込むためにキャンペーンみたいのをやるんだ。今日の正午から始まったんだけど……」

「新しく始めた人に特別なボーナスがあるんだよ」


倉山のドヤ顔は第三者によって苦虫を噛み潰したような顔に変えられた。


「特別なボーナス?」


俺が聞き返すといつの間にか隣に立っていた女子生徒--天寺 藍美は綺麗なピンク色をしたツインテールを嬉しそうに揺らしながら頷いた。


「うん。レートが1000に上がるまでの経験値上昇(EXPブースト)とかスキルポイント配布とか回復アイテムの配布などなど他にも色々あるけどなんて言ったって一番の目玉賞品は……」

「限定装備一式の配布だよな!」

「ちょっと!今、いいところだったのに!」

「うるせえ!お前が先に割り込んできたんだろ!」


先程のお返しのように話に割り込んだ倉山は少し涙目の藍美と口喧嘩を始める。いつもの光景に俺は苦笑いする。といっても今年に入ってからのことだが。


「新規ユーザーの呼び込みか。プレイヤーが減ってたりするのか?」


すぐに口喧嘩をやめた藍美が首をひねる。


「うーん、どうだろ?あんまりわかんないけどそうなのかな?」

「でも新規ユーザーの呼び込みだろ?しかも、限定装備の配布もするわけだし、運営も客引きのためにやってるわけじゃないのか?」

「限定装備って言っても調べたところだとレートが2000くらいまでいったらもう強くなくなるしね。あんまりそういう意味でやってるわけじゃなくてただ単に次のアプデで追加されるPKプレイヤーキルの餌作りなんじゃない?」

PKプレイヤーキルっていうとあの他の人のキャラを殺すってやつか」

「そうそう。限定装備ってさ新規の人しか手に入らないようになってるみたいだからさ、ちょーっとレートが高い装備コレクターみたいな人はさ欲しいわけなのよ。」

「だから初心者を殺して奪うってか。初心者側からしたら笑えないな。」


PK機能を追加して、誰も使わないんじゃ意味がないだろう。

そんな自体が起きないように機能を追加する前に餌をまいておく。

初心者には残酷だがPKをしようと思わせるにはいい動機になるだろう。もしかしたらPKをやるためにゲームを始める人も出てくるかもしれない。

しかし…


「なんでPKなんてさせたがるんだ?」

「さぁ?なんでだろ?」


そもそもPK目当てでゲームを始める人は少ないだろうし、そんなことに時間を使うよりも新職業の追加とか何か他にしたほうが客を引き込めるのではないだろうか?


「フッフッフ」

「……どうした倉山、突然笑い出して」

「ついに頭までおかしくなったのね……いや前からか」

「おい待てお前!何言ってんだコラ!」


また始まった。


「本当のこと言っただけでしょ何が悪いの?」

「本当のことでも言っていいことと悪いことが……っておい!本当のことじゃねえよなに言わせてんだよ!」

「……勝手に言っただけだと思うけど」

「お前もか黒兎!」

「それよりなんで突然笑い出したんだ?」


華麗にスルーして理由を問う。


「そうだそうだ。聞いて驚くなよ?…実はさどこかの研究施設に依頼されたらしいぜ?それも、莫大な金を使って」

「PKさせることを?」


驚き、聞き返す。


「あぁ。というよりPK機能全部をさ。なんか仮想世界バーチャルワールド内で人に殺されたら現実の体にどんな影響が出るかをしらべるためらしいぜ」

「でも今まででもpvpがあったじゃん?」


そんな藍美の言葉を聞き、倉山は得意そうな顔をして続けた。


「今から殺されるかもしれないってわかっているのとわかっていないのでは大きな違いだろ?」

「まぁ……確かにね。心の準備ができてるのと、突然だと全然違うか。」


そこでふと疑問に思ったことを問う。


「ところでお前どうしてそんなこと知ったんだ?」

「いや、結構有名な話だぜ?昨日ログインした時にたまたまパーティーメンバーになった人に聞いたんだ。ゲーム内ではもうみんな知ってるくらい。」

「ふぅーん」


俺は、ふと周りを確認する。教室内にはもうほとんど人がおらず、みんな下校した後だった。今日は金曜日で金曜日は全国共通部活がなく、大人たちの帰りも早い。国が経済を回すために決めたものである。そんな理由で他の生徒は早く帰っていくのだ。

俺が帰るかとつぶやき鞄に荷物を詰め始めると、倉山が何かを思い出したように声をあげた。


「……っあ!違う違う。めっちゃ話が逸れたけど、今日お前に話したかったのは、折角イベントもやるし黒兎も虚偽の現実フォルスリアリティ始めようぜってことだ。」

「そうよそうよ!くー君もやろうよ一緒に!」

「……俺さ。思うんだけどさ。そのくー君っていうのやめない?」

「嫌!くー君はくー君だから!」


藍美と俺は家も向かいで親同士の交流もあり、いわゆる幼馴染だ。昔は俺も藍美のことをあいちゃんと呼んでいたが、中学生になり思春期に入ってからは周りにからかわれるのが嫌で藍美と呼び捨てで呼ぶようになった。

しかし、藍美の方は気にすることもなく昔からずっとくー君と呼んでいる。いくら言っても聞いてくれない。

そんな呼び方をされていると周りの生徒に勘違いされるわけで。

一応言っておくが藍美は美少女だ。それはもう超がつくぐらい。ピンク色の髪を頭の横に結び、ツインテールにしているところが元々の童顔に似合っている。身長は低いが胸は同学年の女子に比べて発育がよく、制服を大きく押し上げている。ピンク色の髪は別に染めたわけでわなく地毛だという。名前に藍色の藍がつくのにな。

まぁ、一言で言えば可愛い。学校内でファンクラブができるくらい。そんなレベルの美少女だ。

俺はそんな美少女の幼馴染な訳で。しかもあだ名で呼ばれるような間柄な訳で。さらに毎朝起こしに来て一緒に登校するわけで。それはもう毎朝毎朝嫉妬の視線が痛い痛い。藍美が俺に好意を抱くわけがないのにな。幸い帰りは藍美の方に部活があるので一緒に帰らないが、金曜日は違う。だからいつも金曜日はみんながいなくなるまで待ってから帰るのだ。

俺がそんな風に遠い目をしてくー君と呼ばれることによる被害について考えていると、当人の藍美が顔を覗いて言ってくる。


「もし、くー君が虚偽の現実フォルスリアリティを始めるなら絶対に種族は妖精族フェアリーにしてね!」

「いやいや!やっぱり男は火竜人族リザードマンでしょ!」

「違うよ!くー君は妖精族フェアリー」にするんだよ!」

「ないない。火竜人族リザードマンじゃなくても妖精族フェアリーだけは絶対ない!」


三度みたび始まった口喧嘩を見てついにため息が出てしまう。

このゲームは一ヶ月に1度、月の最後の日に行われる領土を取り合うイベントがある。

この領土を取り合うイベント、領土争奪戦は最初のキャラクリエイトで決めた種族のプレイヤーと共に他の種族の領土に攻め込み、ある条件を果たすとその領土が手に入るというもの。種族は7つあり、火竜人族リザードマン魚人族マーメイド妖精族フェアリー猫人族ケットシー兎人族ラビリナ土小人ドワーフ森精霊族エルフ、という構成である。

攻め込める領土は決まっており、ある一定の領土は必ず残るようになっている。でないとすべての領土を取られたら遊べなくなるからだ。ではなぜ領土を取り合うか。それはとった領土にある高度な施設が使えるようになるからである。より高度な武器の強化をするや、何かいい効果を与えてくれる食事を出す宿、他の店より品揃えが良く、安い道具屋など様々な施設が使用可能になる。そんな利益を得るために仲間の種族たちは協力して領土を取りに行くのだ。

ちなみに種族はゲーム内の通貨を消費することで変更することができる。

口喧嘩する2人を止めようと口を開こうとするが先を越されてしまう。


「くー君はどっちを選ぶのさ!」

「おい黒兎!男ならやっぱり火竜人族だよな⁈」

「……まだ始めるって言ってないんだけど」


すると2人はキョトンとして、顔を合わせ、再びこちらを向く。


「くー君の家には『ヘルメット』あるよね?」


この『ヘルメット』というのは、仮想世界(バーチャルワールド)を開発した会社が、一般用に量産し、製品化したものだ。『虚偽の現実フォルスリアリティ』をプレイするのに必要不可欠でもある。


「うん。使ってないけど一応あるよ」

「じゃあもう今日始めよう。」

「うんそうだな!せっかくだし今日始めろ!限定装備も貰えるし!っな?いいだろ黒兎!」

「うーん……」


悩んだ末に俺は別にゲームなら少しくらいやってもいいだろうと思い、わかったと頷いた。



俺は『虚偽の現実フォルスリアリティ』をこんな風に始めることになった。

マイペースに投稿します。

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