プロローグ
人の体とかに詳しくないのに書いたのでとんでもないこと書いてるかもしれません。
2028年、とある研究施設から重大な発表があった。
その時まだラノベや漫画の中の存在でしかなかった仮想世界の実現に成功したというのだ。
この仮想世界の理屈はとても簡単なものだ。
脳に直接干渉し、強制的に浅い睡眠、レム睡眠をとらせ、一種の幻覚、つまり『夢』を見せるのだ。
その『夢』の中で利用者がどのように動きたいのかを感知し、それを『夢』として映しだす。
では、どのように利用者の意思を汲み取り映しだすのか。
人間の体は脳からの微弱な電気信号が体の神経を通り、各部位に届くことによって動いている。
この仕組みを利用しその微弱な電気信号をヘルメット型の機械で読み取る。
そしてその機械がその動きを映しだす。
また、この仮想世界は視覚以外の五感を感じ取ることもできる。これは普通の夢でも見られることだろう。脳が仮想世界を現実だと錯覚するため、
ものを触れると触れた感触が。
何か食べると味が。
木が揺れれば葉擦れの音が。
海に行けば潮風の匂いが。
これが初期の仮想世界だ。
しかし、仮想世界には1つだけ問題があった。
考えてみよう。自分の体を動かずことができて、五感を感じることもできるのだ。
それはもう現実さして変わらないものになっていた。
そんな現実と変わらない世界で死んだらどうなるのか。
そんな考えに至った研究員達は実験用の猿を使い『仮想世界死亡実験』を行った。
仮想世界で死んだ猿は突然動かなくなった。この結果に研究員達は驚きすぐに猿の精密検査を行った。
しかし猿の健康状態には何の影響もなかった。
数日後、猿は突然目を覚まし、特に奇怪な行動は起こさず、通常の猿と同じ行動をとった。
そんな猿を見た研究員は数日前とは打って変わって大喜びした。
そして最終実験としてとある1人の研究員が自ら仮想世界へ旅立った。
その研究員は自分たちが作った仮想世界の現実と変わらない完成度に感動した。そして最終実験の目的である『自ら命を絶つ』行為を行う。
もちろん痛覚もある。
しかし、その研究員は迷いもなく人為的に造られた崖から飛び降りた。
現実世界に帰ってきた研究員は猿と同じように数日間眠り続けた。
そして何の問題もなく起きる。
そして周りを見渡して言う。
……何でこんなところで寝てるんだ?
他の研究員達は絶句した。
すぐに残っていた研究員はその研究員を調べた。
しかし、猿と同じで健康状態には問題がない。
記憶障害は仮想世界についてに留まっていて、研究員の名前や顔、親や友人、恋人などのことは覚えていた。
研究員達は悩んだ。
どうして部分的な記憶障害なんてことが起きるのか。
そしてある仮説を立てる。
脳は何の影響を受けなかったかもしれないが、心は違うのではないのか。仮想世界で死んだことによって心が耐えられず無意識にそれについての記憶を消したのではないか?
そんな仮説に至った研究者達はすぐに痛覚の削除、もしくは記憶障害が起きない程度までの軽減を考えた。
そしてそれを実現してできたのが発表された仮想世界。
そして発表から1年後、仮想世界を利用した初のゲームが発売された。
完全仮想世界式MMO
その名も『虚偽の現実』である。