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The end of the sky  作者: みるく
本編
1/66



 壊して。


 このあおいそらは、にせもだから。





「今度は黎逢れいほうで捕まったって。システムの管理塔に忍び込んだ五人とガードが争って、負傷者三人。――さっき館長に会ってきたけど、ガード不足を嘆いてたよ。今システムが破られたら、世界が混乱に陥るだろうしね、嘆く理由がわからないでもない。でもその原因が、レナだなんてねぇ。今でも信じられないよ」


 外は晴れていて、からりと乾いた風が工房の中を通ってゆく。そこに、すでに夏の名残はなかった。


「あの絵をどこかに仕舞い込むか、いっそ焼き捨ててしまおうって話まで出ているらしいよ。どんなに反対の声が上がっても、研究所にはそれを押し切る力がある。ちょっと危ないね」


 饒舌に喋っているのは痩身の青年だった。くたびれた大きな横がけのかばんを肩から提げて、工房の入り口から、そこの主に向かって喋っている。まだ二十歳前だが、漂う落ち着きと知性を感じさせる顔立ちから、ずいぶん大人びて見えた。


 工房の主――ピアは、何も答えない。横にも縦にも大きな体をまるめて、のみと槌をひたすら動かしている。


「――何も、思うことはないわけ?」


 問いかける青年の声にはおもしろがっている雰囲気さえあった。

 ピアは短い問いを返す。


「たとえば、何を?」


「レナの絵だよ。捨てられてもいいの?」


「私が関知するところではないな」


 ピアの返答は平坦だった。

 青年は肩をすくめ、それ以上は何も言わずに工房に背を向けた。







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