ひと時の平和
BAE隊の一時撤退によって、ひと時の平和が訪れる。
「ふぅ…ひとまず安心だな」
疾風はゴクッと、自販機で買ったジュースを飲む。
「そうだな……」
疾風につられ、彩夏もジュースを飲む。
しかし、何か物憂げな感じだった。
「どうしたんだよ、彩夏?」
心配そうに、彩夏を片手で抱き寄せる疾風。
「いや…なんでもないよ」
彩夏は、先ほどの“2人組”が気になっている。
どこの誰なのか。 いったいなぜ助けてくれたのか。
そして…
「その記憶は“今は”思い出させてはいけない」
この言葉の意味も考え込んでいた。
そんな時、疾風が提案する。
「…少し、散歩しようか。 彩夏」
―――――散歩途中にある、公園。
疾風は、この公園にあるベンチで立ち止まった。
そこには少女(?)が座っていた。
その女の子の後ろから、肩をポンとつつく。
「よっ、こんなとこで休んでたのか」
疾風の知り合いだったようだ。
「あぁ、疾風か。 なんの用だよ?」
その女の子は、タバコらしき何かを吸っていた。
彼女の名前は「川井 百合香」。
彼女も、魔法世界生まれ。
“殺人犯抹消隊”の一員。
使う魔法は“煙幕操作”。
ちなみに、口に銜えているのはタバコではなく…
“煙筒”という、“煙幕一族”にのみ使用許可のある代物である。
「そういやぁ疾風さ…曽江川のヤツ倒したってのぁマジか?」
「倒したのは俺じゃない。彩夏だよ」
「いや、私じゃないって! 謎の2人組だから!!」
それから、3人で長時間に渡り、話し込んでいた……―――――
―――――…かくして、夕方。
「お、もうこんな時間か」
百合香は、もう帰宅する準備をする。
「じゃあな。疾風、彩夏」
「おぅ、じゃあな。 百合香」
「ん、またね。 川井さん」
こうして、帰路につく疾風と彩夏。
この日は、何も目立った事件は無かった。
―――――…???? 某所
「……戻ってきたか、彩夏」
赤紫の髪で目が隠れた“威圧感が人離れしている”女がつぶやく。
特に何も無かったこの日を境目に、次の日……―――――――