隠された過去
記憶を戻された直後、異空間へ飛ばされる彩夏。 曽江川は、いったい何を企んでいるのか…。
「彩夏のこと、じっくりと思い出させてやるよ」
曽江川は、記憶を蘇らせる算段でいた。
「くっ………」
(もしかして、私は記憶を消されたのか…?)
勘が鋭い彩夏は、すぐに感づいた。
「しっかし、こんな早くにチャンスが来るとはな」
思い出させたがる曽江川。
いったい、どうしてそこまでして、思い出させたいのか。
曽江川は、彩夏の額に手を添え、気を込める。
すると………
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
彩夏は悲鳴を上げた。
記憶を戻させる術を、曽江川がかけたようだ。
(記憶の一部)
―――――…ここは、どこか遠い場所にある世界。
彩夏は誰かと平和に暮らしていた。
「彩夏、これ美味しいでしょ?」
「あぁ、スゴい美味しいね」
「ふふっ、とても頑張って作ったんだよ。お姉ちゃんの特製だからね」
「お姉ちゃんの作った物だったら、何でも美味しい!」
………―――――
……ここまで思い出した時。
「だ、誰だ…? この“お姉ちゃん”って…」
どうやら彩夏の知らない人らしい。
「冴姉ぇ…じゃないよな? 赤髪じゃないし……」
髪の色は、彩夏が今までに見たことのない色だった。
しかし、確かに姉のようだった。
「でも………うちの家族の姉っていうと、冴姉ぇしか居ないしなぁ……」
と、その時。
謎の2人が現れた。
「これ以上、思い出させるワケにはいかないよ」
フードを被った、素性の知れない女が言う。
「その記憶は、“今は”思い出させちゃいけない」
髪で目が隠れた長髪の女が言う。
その直後だった。
一瞬にして、曽江川が倒れ伏していた。
「うぐっ……! 貴様ら、どうやってここへ……!?」
「私らの手にかかれば、“こんな空間”程度なら一瞬で来れる」
曽江川の空間は崩れ、元の場所へ戻る。
「彩夏!! よかった…無事で」
疾風は、少し涙ぐんでいた。
「あぁ…! この2人組が助けてくれたんだ」
彩夏は、とても嬉しそうに語るが…
そこに、“2人組”の姿は無かった……―――――
助けてくれた“2人組”は誰だったのか…。 それはともかく、曽江川がダウンしたことで、BAE隊も、一時撤退。 そして、魔法世界に“ひと時の平和”が戻ってきたのであった……―――――――