元・世界最強
…彩夏と春美。
春美「貴女達は、ここで終わりよ♪」
また春美は動かず、表情を変えずにいる。両手を自分のロングスカートに添えたまま。
彩夏「…いつ仕掛けてくるか読めない…」
と言っていたのも束の間、背中から攻撃を受けた。
彩夏「うっ…!」
春美に注視していたにも関わらず、全く分からなかったためにダメージを受ける。
彩夏「くそっ…本当に分からない…!」
春美に注視しながら、それでも少しずつ攻めていく。
春美「武の道を極めると、こうして動かずに攻撃することも可能♪」
全く攻撃に移る素振りを見せずに攻撃する。
彩夏「っぐ!」
その時、彩夏は閃いた。
(…防御を捨てて注視に意識を集中させるか。攻撃する瞬間、何かしらあるはずだ…それさえ掴めれば…)
春美「…? 私の技を攻略する気? 無理よ♪」
雰囲気から悟り、技を仕掛けて近づかせないようにする。
彩夏「…っ!」
しかし、彩夏は何度も仕掛けている春美から発見した。
(…っ! なるほど、誰もが注視しない場所が動いてる…! これは発見するのに苦労するわ…。まさか、ずーっと隠してる親指が合図だったとは…! 見えないようにずーっと手を添えてたから、気付こうにも気付けなかった…)
とんでもない集中力と、彩夏の閃きあってこその発見だった。
しかし、そう簡単には攻略出来ない。注視しながら、動いたか動いてないか見極めなければいけない上に、それを見極めて技に対応しなければならないからだ。
ただ、この時は未だ、動いてから攻撃してるのか確認するために、一度捨て身になる。
「…」
春美の手の動きに集中する。すると、指が動いた。
(今は右手の親指…)
右手親指が動いた後、背中から攻撃を受けた。
彩夏「…うぐっ! また背後から…!!」
と言いつつも、春美の動作による攻撃パターンは見破れた。
春美「読めないでしょ? 諦めなさい♪」
彩夏「いや、私は諦めない…!」
そう言った直後、春美は左手の親指を動かした。
(今度は左手の親指…)
今度は正面から来た。しかもガードを突き破ってくる鉄鉱弾。
彩夏「うっ!! 今度は正面…!」
春美「早めに諦めないと、貴女…死ぬわよ♪」
今度は両手の親指が動く。
(両手…!? 3パターンあるのか…!!)
その時、謎の重力感によって身体が重く感じてしまう。
(…っ!? 両手の時は、重力操作か…? いや、違う! これは重力じゃなく、私の周りの空間を圧縮してる!?)
春美「これで終わりよ♪ 見破れずに死にゆく姿を見せて♪」
この圧縮に対して、彩夏は膨張させ始めた。
彩夏「圧縮されてるなら、膨張させるまでだ…!」
春美「…!」
その時、彩夏が逆応魔覇を使い始めた。
春美「っ!? こ、これは…!!」
親指を止める。何かが逆流する気配を察知した。
(危なかったわ…。私の周囲の空間が圧縮されかけた…)
彩夏「…悪いけど、春美さんの攻撃は読めた」
遂に彩夏は勝利宣言をする。
春美「…!?」
(まさか…防御を捨ててたのは、私の攻撃を読むため!? …でも、そう簡単には攻略出来ないわよ?)
春美は無意識に親指を動かしているようだ。
彩夏「…攻撃が最大の防御!」
攻めに行く彩夏。お構いなしに春美は攻撃を仕掛ける。
(…! 右手親指!)
防御を背中側に回し、不意打ちを避けきった。
春美「…っ!?」
少し動揺した。今まで見破られたことが無かったからだ。
春美「…」
彩夏(今度は左…いや、両手か!)
春美の両親指が動いた。
彩夏「…っ!!」
圧縮と膨張を中和させ、何もなかったように攻め続ける。
春美「…効いてない!?」
思わず口にしてしまう。その言葉は、彩夏の勝利の予感をよぎらせる。
彩夏「だから言ったのに…。諦めない、って」
その時、自分の技として取り込む。すると春美は対処出来ずに
春美「…っ!? な、なんで私と同じ事が…!?」
彩夏も動かずに仕掛けたため、何を読まれたのか分からないままの春美には、どうすることも出来ずに撃沈。
春美「っ…。自分の持ち技に…やられるなんて…」
彩夏「…厄介な相手だった。でも、貴女は殺さない。貴女も、朱に操られて悪になってる1人に過ぎないから…」
祖源支配と同じように、心の中に埋め込まれた“殺欲”を壊す。
春美は、彩夏の手によって朱から解放されるのであった。




