彩夏の全て(過去)
香宇が黒光りした時、彩夏は全てを思い出していた。
-----…彩夏の過去の記憶 ある世界の某所。
何事もなく平穏に暮らしていた熾宝泉一家。そこに、絵理と彩夏が生まれる。
2人が10歳になった頃のこと。
父「いよいよ、この子達が本格的な能力者になって、全世界を揺るがす最強の姉妹としてデビューする時が来た。存分にデビューしてこい!」
母「貴女達は本当に強いわ。精一杯頑張ってね」
彩夏「がんばる! 姉さんに負けないくらいに!」
絵理「彩夏、私は負けないよ!」
当日、2人が『全世界チャンピオン決定戦』に参戦する。
小さい頃から魔法、魔術、超能力、格闘技の全てを身につけてきた姉妹は、本当に最年少チャンピオンとなった。姉の絵理が2位、そして妹の彩夏が優勝した。
彩夏「本気の姉さんに勝てたの初めてかも!」
絵理「…っ! まさか彩夏に負けるなんて…悔しいな」
それ以来、毎回シード枠として選抜。とてつもない伝説が幕を開けた。
しかし、そんな時だった。突如として彩夏は参加拒否し始める。
絵理「彩夏? どうしたの?」
彩夏「…つまんない。世界中の人達が弱く感じちゃう…」
実のところ彩夏は毎回、姉の絵理以外は完封して勝っている。春から冬まで4連覇。
彩夏「私が最強なのは変わらないから、面白くない。行かない」
絵理「…」
そんな彩夏に、絵理はビンタする。
彩夏「いたっ!? な、なに!?」
絵理「そんな彩夏を一度でも倒したくて“全世界チャンピオン決定戦”に参加してるのに…というより、お父さんとお母さんに約束したのに、それを破るの!?」
彩夏「…」
突然、彩夏の態度が激変し、絵理を拒み始める。
彩夏「…もう参加しない。みんな弱いから」
その後は部屋に閉じこもり、絵理とも会話しなくなった。
……ある日、突如として彩夏が部屋から出てくる。
その時には既に人格豹変していた。
絵理「…彩夏…」
もう彩夏に優しい姉は居ない。彩夏に対して冷たく接する絵理。
絵理「もう出てこないで」
妹を突き放す絵理。姉妹の絆は完全に途切れてしまった。
彩夏「…っ」
自業自得だから何とも言い返せない。引きこもった私のせい。
そう自分に言い聞かせる彩夏だが、耐えられなかった。
そして、数日間ずっと寝込んでいた彩夏。
家族内の練習にも参加せず、ずっと寝込んでいた。
彩夏「…」
その日のことだった。
何を思ったのか、突然、彩夏の能力が暴走し始める。
彩夏「全世界が弱すぎるなら、私が強い世界に変えてみせる…」
まずは家族から破壊していく。速攻で両親を殺してしまう。
絵理「ちょっと、彩夏! 正気なの!?」
止めに入る絵理。受け止めるも、彩夏の力が凄まじく強烈で抑えきれずに倒れてしまう。
彩夏「…」
しかし、姉は殺さずに家を出ていく。そして…その災厄は、全世界に及んだ。
魔法世界・隔世境界・変幻異界・祖源世界・神秘幻界・第七世界…と、次々に侵略していく。それも、たった1人で…。
その中でも魔法世界は、完全壊滅にまで及んだ。その頃、裏全世界から遠ざけられて平和世界にて平穏な暮らしをしている人々には影響無く、その事実を知っていたのは絵理だけだった。
だが、彩夏の侵撃も長くは続かず、途中でエナジー切れ。そこを突いて絵理は彩夏を捕獲した。
そして、親戚の清海家に訪問する。清海家は何も無かったようだ。
絵理「誰か居ませんか!?」
その問いかけに出てきたのは、裂也だった。
裂也「ん、熾宝泉家の…どうした?」
絵理「裂也…。いきなりで悪いんだけど、妹の彩夏を“清海 彩夏”として預かってくれないか? このまま熾宝泉家に居たら危険なんだ…!」
裂也「待て、何があったンだ!?」
……絵理は事の全てを裂也に話し、そして理解してもらえた。
『全世界の破滅』の事は伏せていたが。
裂也「なるほどな……了解」
絵理「記憶操作したから、出来るなら思い出させないようにしてほしい。思い出されたら困る…」
裂也「分かった。俺に任せろ」
こうして彩夏は、清海家の末っ子として熾宝泉家を離れ、平和に暮らしていた。
そして玄岬と出会い、恋愛。そして…(魔法世界編)…
-----…
彩夏「まさか、私が“始まり”だったなんて……」
紗原「……? 何の始まり?」
彩夏「あ、いや…何でも……」
彩夏は1人、その過去に縛られて動けず居た。




