過去に起きた悲劇
厳堂「とりあえず、奴の住処は割れている。そこへ行こう」
その“唯一の生き残り”のもとへ向かう一行。
コンコンとノックする厳堂。
??「……はい」
少し静かな返事が返ってきた後、ゆっくりと扉は開いた。
厳堂「失礼」
彩夏「お邪魔します」
希夢「失礼します」
眞雪美「大勢で申し訳ありません」
香宇「入らせてもらう」
??「……珍しいな、弦丞。異世界の来訪者を4人も連れてくるなんて…」
どうやら厳堂と面識のある人物のようだ。
厳堂「お前を探してたみたいだったからな。連れてきた」
??「私を…探してた?」
厳堂「ああ。消失した世界の“唯一の生き残り”紗原 憂那 を」
彼女の名前は『紗原 憂那』。
消失魔境の“唯一の生き残り”であり、かつては“全世界最強”ともうたわれていた。
そんな彼女の能力は“神力”という
『“人工の”神の力』
を使える能力だ。
紗原「…なるほど?」
ついつい笑顔がこぼれる。今まで彼女を探しに来た人が居なかったからだろう…自分が探されていたことが嬉しくて笑顔がこぼれた。
紗原「んで探してる時に弦丞と会って…か。奇跡的だな♪」
その時、無意識に紗原はオーラを解き放ち威圧していた。
彩夏「っ!? このオーラ…」
そのオーラは彩夏の姉のモノに似ていた、とても強靭なオーラ。
香宇「…紗原さんは、あの世界の生き残りで間違いないね?」
紗原「ああ。私が唯一の生き残りだ」
彩夏「…こんな強い人が居るのに、そんな世界を壊すとは…」
そのとき何故か紗原は、その真実を知らなかったのか、
紗原「…? 私の世界は“壊れた”って聞いたんだけど…」
と、逆に質問した。
彩夏「…えっ?」
厳堂「ん? …そうだったな、お前は真実を知らない…」
意味ありげに言った後、厳堂は真実を語る。
厳堂「実はな…お前の住んでた今は亡き世界“消失魔境”は、最凶で最悪の人物に破壊されたんだ。龍峰 朱 と、3人の精鋭達によって…な」
紗原「そ、ん…な……っ。嘘、だよな…?」
厳堂「嘘じゃない、本人とは私も闘った。事実だ…」
その当時、龍峰と闘った厳堂。今更ながら真実を話す。
その真実を聞いた時、紗原は少し苦しげに俯く。
紗原「……っ! まさか、壊されたなんて…!!」
-----…ある界域 某所。
絵理「…ほとんど記憶が戻ったな。そろそろか…」
裂也「…そういやァ気になってたンだが…聞いても良いか?」
突然、裂也は絵理に問う。
絵理「いいけど…」
裂也「アイツの“記憶”…本当は戻って欲しくなかったンじゃなかったか?」
絵理「出来るならね。でも、数々の戦闘を通してほとんど戻った今は、全ての記憶を見て“過去と闘って勝ち抜いてほしい”と思ってるよ」
裂也「…なら、もう聞いてもいいか? アイツの過去」
絵理「…そうだね、裂也には話しておこう。彩夏の過去を…」
…その過去を聞いた時、裂也は驚きのあまり絵理に殴りかかる。
裂也「そンなの…ぜってー信じねェ!!」
しかし、それを軽々と受け止め、裂也を弾き飛ばして壁に叩きつけた。
裂也「っぐぁ!!」
絵理「たとえ裂也が信じなくても、それが真実…」
叩きつけた裂也に手を差し出し、立たせようとする。が…
裂也「俺ァぜってー信じねェ…そンなの…」
絵理「実の姉妹だから、あの時の彩夏を目撃してるんだ…。それでも、信じられない…?」
裂也「…だとしても俺は信じられねェ…!」
当時の彩夏を目撃した人物だからこそ、絵理は真実を話した。
-----…第七世界。
紗原「…まさか、そんなのありえない…!」
まだ信じきれずにいる憂那に、厳堂は自分の記憶を渡す。
厳堂「信じられないだろうが、私が対峙してきたその時の記憶を渡す…。信じてくれ」
紗原の額に自分の額を当て、記憶を少しずつ渡していく。
---…記憶共有、開始。
“最強の世界”と呼ばれていた世界。そこには“神力創造組織”という
『人を超越した能力を持つ“魔者”を生み出す組織』
が居て、その組織内では“神の力”が完成しようとしていた。
しかし突然、その力が創られることを恐れた奴らが現れ、それを消し去ろうとしていた。
その人物こそが『龍峰 朱』だった。
だが、神の力を前にすると、龍峰もなかなか襲撃できなかった。その時は彼も強くなかったからだ。
しかし、数日後…神の力が完成した頃、同時期に龍峰が再び襲撃してきたのである。
ただ、今回の狙いは神の力ではなく、神力創造組織だった。
そもそもの根源を壊そうと襲撃してきたのだ。それは成功してしまい、神力は奪われたかと思われた…。だがしかし、既に神力は“神力実験体”の妹(当時13歳)に託されていて、
「早くこの世界から出て。じゃないと“唯一最強の力を手にした子”でなくなる…」
という実験体の遺言を貰って、その世界から妹は去ろうとしたが…そこである人物に見つかってしまい、保護される。
その保護した人物とは、絵理と厳堂だった。
全てを悟った2人は……
---…記憶共有、終了。
厳堂「絵理に記憶操作してもらって、その事件を無かったことにして“壊れた”ことにし、私がお前を引き受けた。別にお前に敵意があった訳じゃない。それを抱えたまま憂那が龍峰に向かっていけば、その神力が奴に奪われ、未曽有の危機に陥ると思っていた。だから実験体も『逃げて』と催促したんだろうな。そこを私と絵理が保護したんだ…」
紗原「そう、だったんだ…。ありがとう、弦丞……」
厳堂「礼には及ばん。時期を見て話そうと思ってたからな…」
そんな厳堂に、紗原は泣きながら抱きついた。
この時、突然ながら厳堂が意外な事実を話してしまう。
厳堂「…困ってるのは、私もだ。私の妻が…」




