神秘幻界
※この 神秘幻界編 では、隔世境界編 で姿を消した“刺神 奈那”が主人公です。
…神秘幻界
ここには、常識の枠を超えた“真極能力”を身に着けた強者ばかりが集い、そして異常なほどに天候不安定な、常識はずれの世界。
奈那は、ここへ飛んできていた。
「……くっ! 見失った…」
しかし、その人物の移動速度についていくことが出来ず、立ち止まっていた。
「…人違いだったら、別にいいんだけど…」
そして、追いかけていたら入り込んだ森の中をさまよう。
「にしても、神秘幻界に…こんな場所…あった…?」
以前の神秘幻界には、こういう森林地帯は存在しなかった。
荒れ狂っていた時代に森や緑の大部分が消え去ってしまい、復興が不可能なほどになっていたため、復活するはずが無かったからだ。
「……」
そうこういろいろなことを考え込みながら、先ほどまで追っていた人物を探しながら歩いていた。
……と、そうして歩き回っていた時に、ある人物に出会った。
「…あれ、裂也?」
そうして呼ぶと、その人物は振り向いた。
「……あァ? 気安くオレの名前を……」
そこまで言いかけた時、顔を確認して、その人物が言い直す。
「…ンだよ、奈那か。 こンなとこで会うのァ珍しいな」
彼の名前は「清海 裂也」
その苗字の通り、冴子と彩夏の兄。
「それはこっちの台詞ね。こんなとこで何してるのよ?」
普段の裂也を知っている奈那は、そう聞く。
「ンまぁ、緑が懐かしかったンだよ。それだけだ…」
数年前の“荒れ狂っていた時代”を思い出しながら、裂也はそう言った。
「ンじゃ、またな…」
「うん」
通りすがりの散歩者同士のように、少し会話しただけで通り過ぎた。
それからまた歩き続け、森の中に存在する公園に到着していた。
「こんな風景も…初めて…」
座るための木イスも用意されていて、休憩する場所と化していた。
「……ちょっと休もうかな。歩き続けてたし」
あの人物を追いかけ、そのうえ何時間も森の中を歩き続けていたため、疲労困憊状態だった。
そんな奈那にちょうどいい、この森の中の休憩所。
「………」
―――――同時刻 某所。
裂也の率いる“謎の組織”の本拠地で。
「……祖源一族が居ない今、私たちが世界を変えるしかない」
特徴的なネックレスをした女が言う。
「祖源一族を失ったのは、明らかに大ダメージですよね…」
胸が大きく、口元に黒子がある女が言う。
「相当な大ダメージだね…。それに、祖源世界も消えちゃったし…」
「世界が消えても、祖源支配だけでいいから生き永らえてくれていれば…明らかに良かったんですけどね……」
―――――同時刻 奈那のいる休憩所。
…奈那は偶然にも、今一番会いたくない人物に出会ってしまった。
そして、その人物にこう言った。
「……なんでここに来たの?」




