異空間にて
―――――同時刻 某異世界の異空間。
そこへ飛ばされた沖城と彩夏は、その女と話していた。
「記憶を消した人物が、あなたじゃないとすれば…いったい誰が……」
「というか、彼女がそんなことするわけありませんわよ?」
彼女のことを知っているように、沖城が話す。
「え……っ?」
その発言に、彩夏は耳を疑った。
「沖城さん…あんたまさか、この人を知ってる…のか?」
「…会ったのは初めてですけど、知ってましたわ」
やはり、彼女は知っていた。
そして沖城は、彼女のことを喋ろうとした。だが…
「まだ私のことは話さないでほしい。記憶が全て戻ってしまうのは危険だから」
彼女はそう言い、沖城の口を手で塞いだ。
「…とは言っても、少し思い出しかけてるんだけどな…」
彩夏は、女にそう言った。
「私の名前を教えない限り、記憶は戻らないから安心して」
その女は、なぜか“記憶を戻す術”を知っていた。
そして、仮面の人物“龍峰 朱”のことも知っている。
「龍峰は私のことを知らない…。けど、私は全世界の全員を知っている」
直接的に知り合っていなくても、その人物の人柄が分かるという。
「……龍峰?」
その名前には聞き覚えがなかったため、彩夏は聞いた。
すると、女の回答は、こうだった。
「その名前は覚えておいたほうがいい。詳細は教えられないけど」
その回答で余計に頭が混乱し、考え込む彩夏。
そして彩夏は、とりあえず、「龍峰 朱」という名前を記憶の片隅に置くことにした。
「……長くここに居るのは危ない。私が話してしまいそうだ」
そう言い、女は、彩夏と沖城を、冴子たちが現在いる変幻異界へ戻した。
―――――…変幻異界 某所。
“弑逆事件”のことに悔いて足を止めていた冴子の前に、2人は戻ってきた。
「……さ、彩夏!?」
「希夢も一緒だったのね…」
優希は、沖城と知り合いだった。
「優希…」
沖城は、久々に会った優希を抱きしめた。
彩夏は、さっきまで何が起きていたのかを冴子に話す。
「さっき……たぶんだけど、私の“姉さん”に会った…」
……そう話した時だった。
冴子の表情が急変し、驚きを隠せない感じの口調で、
「まさか、“あの空間”に飛ばされたのか!?」
と、聞いた。
「あの…空間……?」
そのことについては、何も知らない様子だった。
「……よかった。思い出したわけじゃないらしいし、ちょっと安心…」
その空間を、本当なら知っている彩夏。 それを思い出さなければ、彩夏の“記憶のピース”はハマらない。
冴子は、心の底から安心した。
……そして、そこに銀色のオーラの彼女が来る。
現れてすぐにこう言った。
「久しぶりね、彩夏。昔と変わらないね」
その女は、彩夏の知り合いだった……―――――――




