今は…
彩夏にとって、思い出してはいけない記憶。 真里は、それを知っているようだった。
「千紗、今はまだ“それ”を思い出させないで…」
真里は、結原と知り合いだった。
彩夏の記憶の事を知っている同士という、少しミステリアスな知り合いだ。
「いや、話しかけてきたのは彩夏だけど…」
「え………!?」
その結原の言い分には、彩夏も、縦にうなずいて同意していた。
「…そんなに思い出しちゃいけないものなのか? 私の記憶は……」
そう彩夏が言った瞬間、場の空気が凍る。
まるで2人とも、それに関して“話すのは禁じられている”ように…。
そこで、彩夏は思い出す。
真里までもが言った「今は」で、あの日のことを思い出す。
―――――それは、魔法が使えることを思い出した一件。
曽江川は、彩夏の記憶を引きずり出そうとした。
しかし、そこに謎の2人組が現れ……
その2人組の1人、前髪で目の隠れた女が言った、この言葉。
「その記憶は、“今は”思い出させてはいけない…」
―――――彩夏は、脳裏で何かが引っ掛かる。
(みんな“今は”って言ってるんだよな…。 思い出すには“まだ早い”ってことなのか…?)
「彩夏が全てを思い出すには、まだ早いんだよ」
「!?」
真里は、彩夏の心を読んでいたように、話しかける。
「……いま私が考えてたことに答えた? 真里…」
「え……?」
そんな偶然が起きていたんだ…? と言わんばかりの表情。
どうやら心を読んだわけでは無いようだ。
「分かったよ。でも、それを“彩夏が思い出そうとしたら”どうすればいいのよ?」
話に割り込んで、問う結原。
「その時は、彩夏を止めて。 “思い出してもいい時”までは…止めきって」
……彩夏の脳内で、2つのワードがぐるぐると回る。
「全世界最強になった時、全て思い出す」
「思い出してもいい時」
しかし、この2つはこの先、ずっと悩み続けることとなる。
……と、そこへ誰かがやってくる。
「ここにいたのね…。ようやく見つけたよ、結原さん」
「お前は……!」
その女は“清魔団”に所属する、インテリ女性団員だった……―――――――
真里、彩夏、結原の前に突然現れた、清魔団のインテリ女団員。 いったい何しに来たのか……。




