魔法世界
ごく普通の女子高生「彩夏」は、魔法世界を、崩壊の危機から救おうと向かう「疾風」に、ついていく……―――――
魔法世界に到着した。
そこで彩夏が見たのは、魔法世界の悲惨な状況だった。
…民家も、ビルも、そして道路も、ことごとく木端微塵になっている都市。
地下街の建造物は無事だが、地下に住む人々は、地上に出れなくなっていた。
しかも、それが“たった1人の女”によって行われたという………。
「ひどいな…これ」
彩夏の最初の一言だった。
「やはり“アイツ”が…まだ生きてたんだ…!」
これが、疾風の最初の一言。
魔法世界全体で、この事件の犯人は確定している。
こんな状況に出来るのは、たった1人だけなのだから…。
と、その時!
彩夏に異変が起きた。
ズキッ…と、頭に激痛が走り、地面に膝をついた。
「あぐっ!? いてぇっ……!!」
「お、おい、彩夏!?」
と、彩夏の身を心配するのも束の間。
敵襲だ……!
「ふっ、まだ生き残ってやがったか! 魔法世界の住民が!!」
突如として、その奇襲は疾風に向かってきた。
……と、思ったが…
「……って、あれ? 疾風か」
「…? …あ、もしかしておまえ………綾井?」
この男の名は「綾井 幻也」。
彼は…出身地不明。 『魔法っぽい能力』を駆使する。
駆使している能力名は“魔核消失”だそうだ。
「疾風…おまえ、何しに来たんだよ?」
しかも、不思議なことに、疾風と知り合い…どころか、友達みたいだ。
「そういうおまえこそ…何してんだよ?」
「魔法世界を壊してる最中だったんだがなぁ…まさか疾風に会うとはな」
「悪かったな。…俺は、この世界を救おうとして、来ただけだ」
この部分を聞くと、敵対関係としか思えないのだが…
なんとも不思議なことに、敵対なんてしていないのである。
「……でさ、そっちの女は誰なんだよ?」
綾井が疾風に聞く。
「あぁ。こいつは彩夏、俺の妹だよ」
「そういえばそんなこと言ってたな、疾風」
綾井はクスッと笑う。
だが……
「……!?」
…クスッと笑ったのも束の間。
綾井だけ、彩夏に対して違和感を感じていた。
(……? まさか、この女って………)
綾井だけが感じた「何か」。 しかし、それを気にしていられるほど、世界が崩壊するまでに時間はなく…彩夏、疾風、幻也の3人は………―――――