~ロスチャイルド家誕生~
本書の目的は、筆者自身の読書の雑記と、読者のための「知識のインデックス」である。
この雑記を、読者が、自分自身で調べるための「手がかり」としてくれれば幸いである。
広瀬隆氏『赤い楯~ロスチャイルドの謎~』集英社文庫 より抜粋あるいは改編
*マイヤー・アムシェル・ロスチャイルドの出世物語は、次のように伝えられる。
初代ロスチャイルドの生きた時代は、1744年からフランス革命をはさんで、1812年。
当時、通信手段は郵便に限られていた。
そのため、投機で稼ぐには、いかに、情報を制するかであった。
ロスチャイルド家は、ドイツ、オーストリア、イギリス、イタリア、フランスの五カ国を、同族結婚によって結び付けていた。自家製の郵便船を準備し、ヨーロッパ大陸で何か事件があれば、即座に、情報を交換できる体制を整えていた。
たとえば、ドイツ・ロスチャイルド家(二代目)は、イタリア家の長男(三代目)を養子にもらい、さらにその娘(四代目)が、フランスのロスチャイルド家に嫁いだ…
こうした同族結婚を繰り返し、ヨーロッパ全土に、家族というネットワークを構築していった。
*ドイツ語のRothschild=ロスチャイルド=「赤い楯」
*1764年 初代マイヤー(20歳)がドイツ・ロスチャイルド商会創設
1804年 三男ネイサン(27歳)がイギリス・ロスチャイルド商会創設
1817年 五男ジェームズ(25歳)がフランス・ロスチャイルド商会創設
1820年 次男サロモン(46歳)がオーストリア・ロスチャイルド商会創設
1821年 四男カール(33歳)がイタリア・ロスチャイルド商会創設
三代目ネイサンが、ロスチャイルド家の本格的な栄華を築いた大商人と呼ばれ、「金融王ネイサン」と言われている。