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巫女とサキュバスと異世界と、そして人文知は役立たず  作者: 青い水


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悪魔ダンジョン攻略6

地獄温泉はやはり血の池地獄のような色をしていましたか。これは酸化鉄ですからね、血とは関係ないと言いたいところですが、ヘモグロビンには大量の鉄分が含まれており、貧血の対処療法として昔からアイゼンプレパラーテ(鉄剤)が投与されてきました。南部鉄瓶で沸かした湯で入れたお茶も貧血に良いらしいですよ。

「さて、左へ行けばダイヤモンド採掘場、右へ行けば地獄温泉だ。」


「まず温泉でリフレッシュだよ。ダンジョンで埃まみれになったしさ。」


 そう言いながらメロはパタパタと飛んで行ってしまった。まあたしかに、スッキリして再スタートというのが良いだろう。地下洞窟温泉は血のような赤い湯を湛えていた。そのような温泉は現実にもある鉄分が豊富だと血のような色になり、しばしばその由来として戦いで流された人血が語り継がれることが多い。メロとエラは真っ先に服を脱ぎ、文字通り羽を伸ばしてくつろいでいる。


挿絵(By みてみん)



「あらあ、見かけない顔ね。新人さんたちかしら?」


 エラたちと同じ温泉に先客がいた。女悪魔たちがのんびりとくつろいでいる。エラもメロも悪魔のビジュアルなので怪しまれてはいないようだ。俺たちは隠れてやりすごそう。


挿絵(By みてみん)


「はい~、新人のメイドですの。」エラは機転が利く。


「私は新人の勇者だよ。」メロはアホだ。


「勇者?」


「そう、悪魔勇者メロ、悪も正義もこの手で倒す!」


「まあ強そう。」


 話が面倒くさいことになってきた。どうしたものか?介入するか?


「うん、超強いので困ったときは連絡してね...って、住所がない流れ者だった。てへ♪」


「流れ者ってなんだかかっこいい。」


「うん、流れ流れて異世界を~♪ そぞろ羽ばたき軟派でも~♪ 心にゃ硬派の血が騒ぐ~♪ ああ異世界流れ者~♩」


「よっ、悪魔勇者の姐さん!」


 女悪魔たちは喝采した。「ど~もど~も~!」エラとメロは喝采に答えながら湯からパタパタ上がってきた。なんだ、この茶番は!


「いいなあ、私も温泉で喝采を浴びたい。」


 アイドルなので喝采に飢えてるミナとルナは心底羨ましそうに見ていた。温泉は思ったより広くて、他のメンバーは女悪魔の目が届かない場所を選んでしっかりくつろいでいた。


「さて次はダイアモンド採掘場だが、先に採掘を始めると悪魔に発見されたときが厄介だ。ここはまず中ボスを叩いて、敵がいなくなってからゆっくりいただこう。」


 俺たちは採掘場の北にある中ボスマークの付いた部屋を目指した。扉を開けると豪華な部屋の真ん中に高貴な身なりをした悪魔がいた。


挿絵(By みてみん)


「おや、闖入者であるか。」


「お命頂戴する!」メロは方向性が迷子になった台詞を決めた。


「あ、それ私たちの台詞なのに!」ミナルナが抗議の声を上げた。


「我は地獄の大公爵アスタロト、貴様たちの相手などしていられん。せいぜいあがいてみせよ!」


 アスタロトが合図をするとたくさんのスチールゴーレムが出現した。


挿絵(By みてみん)


「言っておくが、こいつたちには魔法も物理攻撃も効かんぞ。さあ、一方的に蹂躙されるが良い。我はここでくつろいで見物することにしよう。」


 アスタロトが言ったとおり、スチールゴーレムは魔法耐性を備えており、硬い鋼のボディーに剣や槍は歯が立たなかった。やつらは近接武器と遠隔武器を装備しており、味方の損傷が止まらない。


「くそ、これでも食らえ!」


挿絵(By みてみん)


 何と、俺の電撃棒の一撃がスチールゴーレムを破壊した。こいつは電撃が弱点だ。


「天使とエルフとモフ子とファザリアは前衛をヒールで治癒し続け、前衛は肉の壁となって俺を守れ。敵は1体ずつ俺が片付ける。」


 このコンビネーションで1体づつ確実に電撃で片付け、7体のスチールゴーレムは全滅した。


「さて、次はあなたの便です。お命頂戴します。」


 凜とした声で翡翠が言い放った。ミナとルナは顔を見合わせ、仕方がない、負けた、という顔をした。アスタロトは、怠惰をモットーにしている悪魔らしく、心底うんざりだという顔で闇魔法の漆黒の壁を展開し、剣を抜いて攻撃に備えた。


「ヴァイタルアブソーブ!」「あぶそ~ぶ!」


 エラとメロは精気を吸ったが、そのとたん「あうっ」とその場に墜落し、もだえ始めた。アスタロトの精気はサキュバスを蝕むようだ。仲間たちは各属性魔法で攻撃したが、火も水も風もあまり効果がない。唯一光魔法の攻撃だけが有効なダメージを与えている。


「光魔法攻撃以外のメンバーはヒールで治癒および物理で削れ。シューターはありったけくれてやれ。敵の体力は確実に減っている。」


 電撃棒から稲妻を落としながら俺は指示を飛ばした。アスタロトは過酷な攻撃に体力を奪われて攻撃する暇もなくなり、ひたすら自己治癒で延命を図っていたが、ついに倒れた。


「やれやれだぜ。」メロは空中でジョジョ・ポーズを決めようとしたが、翼が邪魔をしてこんがらがった。


「これでダイヤモンドをザクザク掘れる。」俺は心が躍った。


挿絵(By みてみん)


 採掘場に入ると2体のゴールドラミアが待ち構えていた。高価な資源は高価な悪魔が守ることになっているのか。厄介だな。こいつらゴールド系は、たしか闇魔法が効いたが、それで倒すと黄金の質が激しく劣化するのだった。そして物理はあまり効かない。闇魔法を使えるのはサキュバスの2人と闇のくノ一2人、この4人で削って、体力が残り少なくなったら光魔法でとどめを刺す。この作戦で良質なゴールドをたくさん採取できる。俺たちは過去に経験した金ピカ大作戦をそのまま実行し、安定して2体のゴールドラミアを倒すことができた。大量のゴールドとダイヤの原石が入手できた。


「待ってください!」式神の報告を受けた翡翠が言った。


「この先にゴールド系の敵数体とジェムドラゴンがいます。ジェムドラゴンは分身を犠牲にして突貫させ、体内で増殖型ナノマシン毒を展開できれば倒せますが、私の霊力の大半を消費します。ジェムドラゴンを倒せば大量の資金を手に入れられますが、私が作戦に参加不可能になるので、あと1体いる中ボスとラスボス戦の戦力が心許なくなります。提案ですが、今日はここまでにして、明日の攻略で先に中ボスとラスボスを倒し、それからジェムドラゴンを倒して、安心してダイヤモンドを採掘しませんか?」


「うん、たくさんのゴールドとダイヤの原石を確保できた。今日はこれを持って帰り、町の復興に寄与し、ラストバトルは明日に取っておこう。」


 俺たちは数百万ゴールドに相当する素材を手にしてダンジョンを出た。


このままラスボスまで突撃という気運が高まりましたが、翡翠さんの冷静な提案で明日に延期となりました。現在15:50なので、ラスボスを倒すのはリアルな明日になりそうです。

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