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巫女とサキュバスと異世界と、そして人文知は役立たず  作者: 青い水


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悪魔ダンジョン攻略1

いよいよイナンナとはお別れです。新メンバーが代わりに召喚されます。そして、フルメンバーで悪魔に占領されたダンジョンを攻略します。

 宿に到着して、俺は全員を集めて今回の威力偵察の全容を報告した。入り口を固めていた元冒険者のアンデッドを一掃できたので、明日からの攻略は回廊から始められること。中級クラスの悪魔でもかなり強力で、白兵戦になるとこちらに被害が出る可能性が高いこと。こちらの利点はあまり見当たらないこと。しかし、上手く連携を取れればそう簡単に負けることはないだろうと俺は締めくくった。


「今夜はイナンナが俺たちと珊瑚の晩餐をともにする夜になる。思い切り楽しもう!」


 3000ゴールドの前金を渡したので、宿屋の食堂は総力を挙げてご馳走を用意してくれた。俺たちはみんなでイナンナと乾杯し、楽しく歓談した。


挿絵(By みてみん)


「イナンナさん、いろいろありがとうございました。」翡翠が酒を注いだ。


「最初は女神だっていうんで緊張したけど、あんた本当にいい人だったよ。」エミリーは少し涙ぐんでいる。


「私がいなくなってもおまえたちなら大丈夫だ。プリモは思った以上に頼れる男だ。信じてついていけば良い。」




挿絵(By みてみん)



「イナンナさん、送別会でお色直ししたの?」


「うむ、せっかくこの世界で買い集めた服じゃ、この世界でお披露目しておかなければの。」


「イナンナさん、金欠になったとき助けてくれてありがとう。これからは無駄遣いはやめて計画的に使うようにします。」


「なーに、金は天下の回りもの、欲しいと思ったときに買うのが一番じゃ。ケチケチすると女が下がるぞ。」


「私たち、こっちでお金を貯めたら、故郷の森に戻って、浜辺の村との間で交易を始めようと思っています。森にはお金というものが存在しなかったので、みんなに仕事とお金の関係を教えてあげたい。」


「うん、それは良いことじゃ。カネは人と人をつなぐ大事な手段じゃ。言葉と同じくらい大事じゃな。故郷の森も潤って、おまえたちが話していたエルフの女王も喜ぶことじゃろう。」



挿絵(By みてみん)


「みんな、聴いてくれ!俺たちは明日、イナンナを送り出してから悪魔のダンジョンを攻略する。イナンナの離脱は大きな戦力低下になるだろう。そこで、イナンナと別れたらすぐに後継者を召喚する。俺たちに足りないタンクを召喚するぞ。それによってパーティの安全度は格段に増加するはずだ。これまで防御力がそれほど高くないJK体を前衛に配置してきたが、明日からはJKサービス隊は2列目だ。2列目で遊撃隊として攻撃してくれ。話は以上だ。まだ料理も酒も残っている。夜が更けるまで十分に楽しんでくれ!」


 翌朝、モフ子が訪ねてきた。


「お兄ちゃん、ただいま!」


「おう、おかえり、モフ子。お父さんとお母さんはどうだった?」


「うん、元気だったけど、町の人が減ってしまってお店にお客があまり来なくなったって言ってた。」


「うん、それはな、ダンジョンが悪魔に占領されているからなんだ。俺たちはこれからダンジョンの悪魔をやっつけに行く。」


「そしたら町に人が戻ってくる?」


「ああ、きっと戻ってきて市場も活気を取り戻すさ。」


「よーし、モフ子も悪魔をやっつけるのに協力するよ。」


「おう、だがその前にイナンナさんとのお別れだ。」


挿絵(By みてみん)


「イナンナ、元の世界に戻っても元気でな!」


「おう、これだけたくさんの服や防具があるんだ。もう二度と裸にされて殺されたりはしない。無敵の女王になってやる!」


 イナンナは大きく手を振り、西の空に消えて行った。



「ではイナンナの後釜を召喚する。顕現したら拍手で出迎えるように。」


「人文知を極めたプリモが召喚する。アマゾネスの女王ペンテシレイアよ、顕現せよ!」



挿絵(By みてみん)


「う、ここはどこだ?」


「ここはおまえにとっての異世界だ。人文知を極めた俺、プリモが召喚した。」


「私を召喚して何をさせようと?」


「俺たちの作戦に協力してもらいたい。アマゾネスの女王なら百人力だろう。」


「愚かな。私は敗者だぞ。アキレウスとの一騎打ちで敗北を喫した。」


「だがアキレウスは神々の加護を得ていた。チート能力とチートアイテムをもらっていたのだから尋常の勝負とは言えない。」


「ふ、ならば協力してやろう。我が力、召喚者プリモとともに!」


「これからダンジョンの悪魔を討伐に向かうが、この世界の装備を付けてもらう。時代が違うので、悪魔に対抗するためには装備が必要だ。」




「こんにちは、防具の店パシオンへようこそ。」


「こちらの戦士の女性の防具を頼む。」


「了解しました。典型的なタンクの女性ですね。ではこれなどは?」


挿絵(By みてみん)


「おお、なんと美しい。輝いておるではないか。」


「店主、これをいただこう。彼女が付けていた防具は買い取ってくれ。」


「了解いたしました。ご武運を。」



「ペンテシレイアよ、次は魔法だ。適性を測定に行くぞ。」



「魔法屋マンソンジュへようこそ。」


「きょうはこの女戦士の適性を測定してくれ。それからMP回復薬を50本頼む。」


「了解いたしました。ではこちらへ。」


挿絵(By みてみん)


「測定できました。お客様は光と治癒の魔法適性がございます。」


「では習得で。」プリモは即決した。



「では、新しい仲間も揃ったことだし、さっそく悪魔ダンジョンへ向かおう。この町の活気を取り戻すのが今回のクエストの目的だ。連携をつないで勝利を勝ち取ろう!」


ペンテシレイアは久しぶりにギリシャ神話からの参戦です。アマゾネスの女王の1人にして、アキレウスとの一騎打ちで敗れた悲劇の女傑。パーティーではタンク役を引き受けます。

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