冒険者の町へ
王都のクエストではあまり稼げなくなってきたので、冒険者の町へ遠征します。
「エラ、相談がある。」
「何かしら?」
「翡翠と天使たちが遠征したいと言ってる。イナンナも同行するそうだ。」
「イナンナさん、期限がもうすぐね。」
「そうなんだ。戻る前に思い出作りしたいらしい。」
「昇天移動サービスとThe Jadeがないと店が盛り上がらないわね。いっそのこと全員で遠征しましょうか。留守の間にお店のリフォームもしてしまいましょう。玉座も片付けないといけないし。」
「それは心強いな。エラとメロのヴァイタルアブソーブがないと少し心配だった。」
「イナンナさんの期限もあるし、今日中に出発しましょう。」
「学校が夏休みだから私も行きたい。お父さんとお母さんにも会いたいし。」
いつのまにかいたのか、モフ子も参加を表明した。そうか、あの魔王城があった冒険者の町はモフ子の故郷でもあったな。
「わかった。連れて行くけど、そのドレスのままでダンジョンへは入れない。後衛であっても何が飛んでくるかわからないので、防具を買いに行こう。エラたちはどうする?」
「サキュバスが防具なんか着けたらかっこ悪いわ。私たち、人間じゃないので元々の防御力とHPが違うから大丈夫よ。」
「私たちも人間ではありませんが、防御力とHPは人間より低いので防具を買ってください。」エルフたちは防具が必要らしい。
「翡翠さんは?」
「人間ですけど...巫女のアイデンティティの問題があるので防具は遠慮しておきます。」
「こんにちは。防具屋パシオン王都店へようこそ。」
「エルフ2人とこの獣人の子に軽い防具を。」
「プリモさんと同じで、これなんかどうです?」
「うわ、何これ、かっこいい!」モフ子たちは大喜びだ。
「新素材のガードスーツです。ライトアーマー並みの防御力があってしかも軽い。」
「よし、これでOKだ。店に戻って冒険者の町へ出発だ!」
「ねえセレス、その鎧どうしたの?それにその髪の毛...」
「前のはヒラヒラのミニスカで戦闘中にパンチラの悲劇が起こりそうだったから。髪の毛はアーマーに合わせて染めたのよ。」
「別にかまわなくない?私たち哺乳類じゃないのでおっぱいもないし、お股も何もないのよ。」
「そうなんだけど、長く人間界にいるとそういう感情が芽生えているものなのよ。」
「ふうん...私は昇天サービスのとき、この胸の飛翔用筋肉を触らせてるけどな。」
「ちょっと...そういうのやめなさい。人間の常識を身に付けないと痴女天使って呼ばれるわよ。」
「ファザリナはどんどん垢抜けて行くねえ。」
「そうですか?田舎者ですけどね。これから行く冒険者の町が故郷です。」
「あたしなんてテキサスの田舎から出てきたんだ。ブティックなんてしゃれたもんはなかったぜ。服が欲しいときは仕立屋の婆さんに頼むんだ、はっはっは。」
「プリモさんの誠意と甲斐性でこんな良い服を買ってもらいました。」
「だよなあ。あのときはまだ3000ゴールドまでってルールがなかったから、もっと買っておけば良かったぜ。」
「翡翠さん、全魔法の適性があるんですって?」
「はい、費用がかさみましたがすべて習得いたしました。」
「私、四大のエレメントに適性があるというだけで鼻を高くしていたのが恥ずかしいわ。」
「私は適性があると知っても習得しようとしなかった自分が恥ずかしいです。どこかに驕りがあったのでしょう。深く自戒いたします。」
「うむ、その志や良し。今後も励むように。」
「その偉そうな小さいのは何?」
「これは私の守護式神で、名前は月煌です。この上からの言葉遣い、私も少し腹に据えかねています。」
「イナンナさん、その衣装は?」
「ああ、これか。これはイモジャージと言うらしい。軽くて動きやすい。旅路にピッタリだ。」
「そうですか。何か懐かしいものを感じます。俺にも青春があったんだなって。」
「あ、お兄ちゃん、冒険者の町が見えてきたよ。お父さんとお母さん、元気かな?モフ子のこの姿をみたらびっくりするだろうな。」
「モフ子!」
「お父さん、お母さん、ただいま!」
「見違えたわよ、そんなピカピカのスーツを着て!」
「お兄ちゃんに買ってもらったの。」
「プリモさんは?」
「ギルドに行ったよ。私は今夜お家に泊まって、明日の朝に宿屋へ行って合流するんだ。」
「じゃあ今夜は腕によりをかけてモフ子の好物を作らなきゃね。」
「わーい、楽しみ!」
「モフ子の両親」とプロンプトに書いたら、ケモ耳ではなく完全に獣の頭部の両親が出てきました。作画AIは、成長するとモフ子も人間顔を失って獣化すると考えていたのでしょうか。勝手にストーリーに侵入されてはかないませんね。




