天使隊、ゴールドゾンビにリベンジ!
天使隊の雪辱は新装備とドーピングで!
さてダンジョンだ。天使たちが落としたに違いない大量の羽根が俺の狙いだ。必ず回収して帰る。
「新装備は揃ったのかい?」ミナルナが入り口で待っていた。
「ああ、お前たちには護衛を頼む。もっともこいつらも装備を整えたし、そう簡単にやられるとは思えないけどな。」
「それで、湧いてくる敵は何なんだい?」
「ゴールドゾンビです。お金への執着がすごいまま死んでもなお金を求めて魔物や冒険者を狩り、錬金術スキルで金に変えて貯めこみ、ついには自分の身体までゴールドになってしまったアンデッド。」
セレスとステラはほぼユニゾンで説明した。ミナルナへの対抗心のためだろう。
「ミナルナのうち1人は俺のそばにいて近寄るゾンビを倒してくれ。俺は例によって丸腰で防具もない。」
「防具ぐらいは装着したほうが良いぞ。普段着では一発で即死する。」
イナンナが指摘した。まったくその通り。次は俺自身の防具も見繕わなければ。
「出たよ!エンジェル隊とイナンナは光魔法で殲滅して!」ルナが叫んだ。
大半の敵は崩れ落ちたが、敵の数は多い。白兵戦に持ち込まれた。前回のセレスとステラはここでボロボロにされたのだろう。しかし今回は勝手が違う。装備を付けているうえに薬品でドーピングしてある。
「ステラ、後ろ!」
「セレス、ヒール!」
互いに背中を預けつつ、ダメージを受けたら治癒して、エンジェル隊は勇敢に戦っている。落とした羽毛はあとで拾ってやろう。
「ふ、昔を思い出すのお。」
イナンナの剣技は冴えわたっていた。敵に一太刀も許さず死体の山を築く。
前回の分と合わせて床にはたくさんの天使の羽根が落ちていたので、俺は夢中で回収した。貴重な天使の羽根。これを素材にして作る天使のチュニックは魔法防御力を9倍に上げる。高値で取引されるレアアイテムだが、俺はそれを仲間全員分用意したい。
「危ないっ!」
ミナが忍刀で俺に迫るゴールドゾンビを切り伏せた。
「ぼやっとして羽根集めしてたら死ぬよ。」
たしかに。今の俺は防御力ゼロだ。矢1本、銃弾1発で即死だ。このクエストが終わったら俺自身の防具を調達に行こう。
「埒があかないわね。」ミナとルナが顔を見合わせる。「やっちゃいますか?」「やっちゃおう!」
「アンジェリック・ユニゾン・クレッシェンド!」
ミナルナが1週間に1度しか仕えないデュエットの大技。聖属性で広域に効果があり、邪悪な存在が浄化されてしまう。ゴールドゾンビはすべて金塊になった。
「こんなにいっぱい!」
天使たちは心の底から喜んだ。回収した金は参加者全員で山分けということになって、活躍していない俺も5万ゴールドを受け取った。
「防具店パシオン王都店へようこそ。」
「きょうは俺の防具だ。俺は戦闘に参加しないが、流れ弾が飛んでくる可能性もあるので防具を着けることにした。ただし、俺は見ての通りの文弱。フルアーマーなどの重量系は着用すると動けなくなる。」
「後方で支援する方の防具ですね。いろいろありますが、ご予算は?」
「数万程度は払えるぞ。」
「ならばこれなんていかがでしょう?軽くて動きやすい。」
「何だ、これは?」
「サイバースーツでございます。新素材で銃弾や矢のダメージを防ぎます。斬撃も1/3に。ただ殴る蹴るに対しては防御力がゼロでが。」
「ふっむ、軽いし動きやすいな。よしこれにしよう。いくらだ?」
「35000ゴールドです。」
「いいだろう、もらおう。」
微妙な価格を提示するあたり、すごいやり手の商売人だ。
次は武器屋だ。白兵戦に参加するつもりはないが、攻撃してくる敵を一時的に無力化する武器が欲しい。
「こんにちは。武器屋モデスト王都店へようこそ。」
「敵を一時的に無力化できる武器が欲しい。麻痺とか眠りとか。」
「ならばこれ一択でございます、お客様。」
「何だ、この2本の棒は?」
「スタンロッドでございます。当てられた敵は麻痺します。」
「なるほど、これはよさそうだ。いただこう。」
ついにプリモも微妙な装備をゲットしました。




