ドラゴニック・ヘブン攻略4
強化剤も買い込んだので、ついにドラゴニック・ヘブンを徹底攻略します。
「こんにちは、プリモさん。今日はフルメンバーですか?」
「ああ、フルではないが、ほぼ全員だ。ドラゴニック・ヘブン、今日こそクリアして見せよう。」
「期待していますよ。ところで、ここは最後の補給地というか売店のようなこともしています。何か必要なものはありますか?」
「土産物。」
「は?と申しますと?」
「懐いたゴールドドラゴンがお土産を欲しがっているんだ。何かないか?」
「でしたら、これ、キュアドラゴンのフィギュアです。
「これは?」
「いま大人気なんですよ、キュアドラゴン。」
「なら1つもらおう。」
「お客さん。フィギュアは1つ買ってはダメですよ。保存用と遊び用、最低2つは買わないと。」
「そうなのか。では2つ。」
「毎度ありがとうございます。」
ドラゴニック・ヘブンの入り口でドラゴニュートの女とゴールドドラゴンが待っていた。俺はお土産のキュアドラゴンをゴールドドラゴンに渡した。破顔一笑、ドラゴンは萌え萌えポーズでフィギュアを受け取り、ペロペロ舐めた。うむ、たしかに保存用と遊び用の2つは必要だ。ゴールドドラゴンの尻尾や爪は再生していたので、俺は仲間に命じて金を採掘した。
「布陣を整えてきたようだね。」ドラゴニュートの女が行った。
「ああ、もう負けることはない。クイーンの胸飾りも必ず持ってきてやろう。」
「頼んだよ。この子は私が預かる。」
「ピーピー。キタゾ、ツギハミドリダ!」
「グリーンドラゴンか。こいつは毒を吐くが、それ以外はたいしたことはない。属性もすべて通る。回復はプリモに任せて各自攻撃だ。」メートヒェンが司令塔になった。
銃弾、魔法、斬撃、各種属性魔法、グリーンドラゴンは毒ブレスを吐く前に簡単に倒された。大所帯パーティーの総攻撃はえげつない。俺は毒に気をつけながらすべての貴重な素材をアイテムボックスに放り込んだ。
「ピーピー、ツギノハアカイ、ソシテアツイ!」
「来たな、ファイアードラゴン!よし、メロとエラはヴァイタルアブソーブ、水魔法の持ち主は魔法攻撃、イナンナは闇魔法、銃撃隊は銃弾の嵐、エルフは水属性の矢、まとめて行っけー!」
ファイアーブレスはアイスアンダーウェアのおかげでダメージが9割カットになった。1回のブレスの間にこちらの多彩な攻撃は敵のHPの9割を削り、ファイアードラゴンは2度目のブレスを吐く力を失った。
「良し、撃ち方やめ。JK隊とミナルナの物理でとどめを刺せ!」
ファイアードラゴンの解体と素材回収が終わる前にミミちゃん警報が出た。
「ピーピー、ツギクル。クロイヤツ。」
「ブラックドラゴンだ。こいつに属性魔法は効かない。物理は通るがHPが高い。闇属性のブレスを吐く。」メートヒェン先生の解説はこちらの士気を下げるばかりだった。
「エラ、メロ、ヴァイタルアブソーブで敵のレベルを下げてくれ。シューターは一斉射撃だ。出し惜しみするなよ。弾はクエスト後にすべて100%補充する。JK隊は筋力強化するのでひたすら物理攻撃を頼む。残りのメンバーはポーションを投げる。行くぞ!」
筋力増強のブーストの威力はすさまじかった。ドラゴンの表皮が哺乳動物のように脆く切り刻まれた。ブラックドラゴンからは数多くの貴重な素材が取れた。
「ピーピーピー、ツギハシロイデカイ、タブンボス!」ミミちゃん警報が最大レベルだ。
「これはボスだな。弱点その他が一切不明!」メートヒェンが言うだけ無駄な説明をした。
「人間どもよ!」クイーンの声が響く。喋れるようだ。
「人間どもよ、このドラゴンの聖域に何をしに来た?」
「.......」みんなあっけにとられて声が出ない。
「恐ろしくて声も出ないか?」
「んなわけあるか、この大蜥蜴女!」こういう状況ならエミリーは黙っていない。
「ふっふっふ、同じ女王でもずいぶんと奇態じゃな。」イナンナがせせら笑った。
「雌じゃヴァイタルアブソーブはできないわね。」エラが肩をすくめた。
「その胸飾りをいただきに来た!」メートヒェンが余計なことをバラした。
「ほう、あの女にたきつけられたか。よかろう、骨も残らぬまで蹂躙してくれよう!」
俺はモフ子、ファザリナ、メートヒェンに命じて前衛に強化剤を投げさせた。防衛強化、攻撃強化、さらにシューターたちも同じく強化。ブレスは属性魔法とは別ジャンルなので、メロは炎、エラは氷で攻撃。イナンナは三日月の杖の無属性光弾、シューターとJK隊はポーションの支援を受けながらひたすら攻撃。クイーンは無属性のブレスでこちらのHPを削ってくるが、強化された防御力と潤沢な回復薬でこちらの被害は限定的だ。
「ミナ、ルナ、隙を見つけてあの胸飾りを奪え!」
「ラジャー!」
ミナとルナは機敏に跳躍してクイーンの攻撃をかいくぐり胸飾りを奪い取った。クイーンの顔色が変わった。人語を話さなくなり、恐ろしい咆哮とともに激しいブレスを吐き続ける。
「良し、敵が理性を失った。あと少しだ。攻撃と回復の手を緩めるな!」
激しいバトルの末にクイーンは倒れた。こちらは10000ゴールド近くの薬品を消耗したが、クイーンから取れる素材はその100倍はあるだろう。
「やったな。」メートヒェンが隊長のような口調で言った。
出口に向かう道の途中にゴールドドラゴンとドラゴニュートの女がいた。
「おう、やったか。」胸飾りを見て女は満足そうに微笑んだ。
「これが約束の礼だ。」
女は巨大なジェムの塊を俺たちに渡した。
「この子の尻尾も持って行って良いぞ。」
「おまえはなぜその胸飾りを欲しがったんだ?」俺は尋ねた。
「これはクイーンの証だ。私はこれを奪われていた。私が本来のドラゴン・クイーン。おまえたちが倒したのは王位簒奪者だ。あいつはドラゴン兵団を組織して人間界へ攻め込もうとしていた。それを阻止してくれたことに感謝する。私はこの子と一緒に、人間には踏み込めないエリアに新たなドラゴニック・ヘブンを築こう。この子は私の養子とする。このゴールドドラゴンはまだ子どもだ。いつしか私の後継者となるよう養育しよう。いろいろ世話になった、力は持たぬが誠意はあるプリモよ。」
あのゴールドドラゴン、どことなくかわいいなと思っていたらまだ子ども、それも女の子だったんですね。将来のクイーンということは、ドラゴンプリンセス。いつかまた会えると良いですね。




