翡翠の旅立ち、ミナルナのピースメーカー、イナンナの玉座
いっぱいお金を貯めていっぱいお金を使うと、充実感より心の疲労が溜まりますね。翡翠さん、いつ帰ってくるのでしょう?滝行姿を見てみたい。
店に戻ると、旅姿の翡翠さんがいた。
「あれ、翡翠さん、どこかへ行くの?」
「はい、この間のようなことがないよう、霊力を鍛え直してきます。」
「霊力はどこで鍛えるの?」
「昔は霊山で滝行を行いました。この世界で見つかるかどうか...」
「どうやって捜すの?」
「できるだけ山のあるところに進み、式神を放って捜索させます。」
「1人で大丈夫?」
「私は1人でも複数になれますから。」
「そうか。長くかかるの?」
「わかりません、今はまだ。」
「帰って...来るよね?」
「もちろんです。」そう言って翡翠さんは微笑んだ。
「気をつけて行ってらっしゃい。」
「はい、行って参ります。」
翡翠さんがしばらくいないとなると、ステージが少し寂しくなる。まあJKが成長したし、女神のイナンナは...期待するのはやめよう。ステージもさることながら、そもそも接待なんてできるのか?同じ女神でもフレイヤは、立派にこなしてダンスまで披露してくれたが...イナンナはあまりにも神々しい。
「お帰りなさい...あら?」エラが出迎えてイナンナに気づいた。
「ああ、紹介するよ。こちらは女神のイナンナだ。例の1週間限定の枠で召喚した。」
「クラリモンドさんの後ってことね。私はエラ、よろしくね。」
「エラはこの店の店長をしてもらっている。この店の3階と4階が俺たちの居住スペースだ。あとで案内させよう。」
「うむ、これはまた奇妙な装飾だな。」イナンナは店内を見回して不思議そうな顔をした。
「あちらにステージがあって、客に歌や踊りを疲労するんだ。奥のカウンターとこっちのボックス席では客を酒でもてなす。」
「ふむ、ならば2階に私の玉座を作ってもらおう。本当は神殿を所望したいところだが、たった1週間では完成する前に戻されてしまう。」
「わかった。さっそく工務店に依頼するので、しばらく待っていてくれ。」
「夜の営業はどうする?」
「ふむ、私への奉納を許そう。そうかしこまらずとも良いぞ。女神といえど私はこの世界では異物であるからな。」
「きょうは店は閉まってる。営業は明日からだ。」
バキューン!外から銃声が聞こえる。何だ?
エミリーが射撃練習をしている。弾はすべて中心から3cm以内に撃ち込まれており、精度がすごい。
「わあ、私もやりたい!」ルナが銃を抜いた。
当たることは当たるが、弾は中心から10cm以内の円内に着弾している。エミリーとの差は歴然だった。ミナが交代したが、双子だけあって結果は同じだった。
「なるほどな。この差は腕前のせいだけではないかも知れない。」エミリーが観察して言った。
「どういうこと?」ミナルナがユニゾンで尋ねた。
「銃が違う。おまえたちのはすごく古い時代に作られた銃だ。その時代には最新式だったかも知れないが、私のピースメーカーと比べると性能は雲泥の差だ。」
それを聞いたミナルナは俺のところへ詰め寄ってきた。
「私たちにも新しい銃を買ってよ!」
そりゃそうなるよな。でもこの異世界の武器屋に銃なんて売ってたっけ?困っている俺を見てエミリーが助け船を出してくれた。
「武器屋に銃はないぞ。こないだ行ったときに確認した。銃は鍛冶屋に頼んで作ってもらうしかない。私のピースメーカーを貸してやるから、これを手本に作ってもらうと良い。あの鍛冶屋はガトリングガンを作れたんだ。ピースメーカーなんて簡単に作れるさ。」
「わあ、エミリーさん、ありがとう!」ミナルナはピースメーカーを受け取ると、悦びのあまりバク転をした。
「なあ、エラ、エルフの2人はどこに行ったんだ?」
「あの2人ならお買い物とサウナね。最近すっかりはまってしまって。」
「なんだ、そのサウナとは?」珍しいものが大好きなイナンナがサウナという単語に反応した。
「蒸気のお風呂よ。我慢して汗をいっぱいかくと、その後のビールが格別なの。」エラが思わず「ぷふぁあ」と言うのではないかと俺は危惧した。
「よし、私をそこへ連れて行け。」イナンナは俄然行く気になった。
「プリモも行く?」エラが軽くチャームをかけて誘った。
「いや、きょうはいろいろありすぎたので、部屋で休ませてもらう。物語の構想も練りたいし。」
「あら、そう?じゃあ私とイナンナさんとメロで行ってくるわね。」
イナンナとエラとメロのサウナシーン、いろいろトライアンドエラーを重ねれば描かせることも出来そうですが、魔法適性測定シーンでもさんざんAIに翻弄されて疲れたので、きょうは挑む気になれません。




