メロハママジャナイ、タダノノラバット
ペットの存在を忘れてはいけません。喋れるようになるとかなり辛辣なことを言いますよ。
「ミミちゃーん、ママでちゅよ!」店に戻るなりメロはミミちゃんを捜して飛び回った。
「ママ?マジデチュカ?」
「あ?」メロは固まった。ミミちゃんが喋った。
「アンタ、ママチガウ。ママハエラ。」
「あら、ミミちゃん、喋れるようになったのね。」エラが駆け寄ってきた。
「ママ、ママ、オナカスイタ。」
「あらあら、待っててね。魔獣の餌を取ってくるから。」エラは厨房へ飛んだ。
「ミミちゃん...ごめんてば...」メロはうなだれてミミちゃんに謝った。
「エサクレナイヤツ、ママジャナイ。ママガエサクレナイト、コドモシヌ。」
それを聞いてメロは泣き崩れた。そこにエラが魔獣の餌を持って飛んできた。
「あらあら、どうしたの?」
「ウワァ~ン!もうママじゃなくても良いから許して!」
「メロハママジャナクテタダノノラバット。キニスンナ。」
そのころモフ子は上級学校の帰り道で、コンカフェに寄ろうとしていた。久しぶりにプリモに会って、学校の様子を報告するつもりだった。
「あら、**じゃないの?」ファザリアがモフ子を見つけて声をかけた。
「あ、ファザリアちゃん、お久しぶり。私の本当の名前、人間には発音できないからモフ子で良いよ。」
「モフ子は王都で何してるんだ?」
「奨学金をもらって上級学校に通ってるの。ファザリアちゃんは?」
「自分の道を開くために格闘家としてクエストをこなしている。」
「すごい!ファザリアちゃん、同級生の中で一番強かったもんね。」
「モフ子だって同級生の中で一番頭が良かったぞ。読み書きを覚えたの、私より1日早かった。」
「楽しかったね、獣人学校。」
「ああ、知識がスポンジに水が吸い込まれるように入ってきた。」
「そうそう、毎日が知識で満腹の日々だったよ。」
「モフ子はこれからどこへ行こうとしてたんだ?」
「お兄ちゃんのコンカフェ。」
「え、おまえプリモを知ってるのか?」
「うん、お兄ちゃんがお腹空かせてたときに黄色い果実を取ってあげてから友だちなんだ。」
「そうか。良い縁に恵まれたな。プリモは私にとっても大事な友だ。」
「これから2人で行ってびっくりさせようよ」
「そうだな。こんな幸せな偶然があると知ってプリモもびっくりするだろう。」
「あら?小さい子?」モフ子とファザリアがコンカフェのドアを開けて、エラは初顔合わせのモフ子を見て驚いた。
「このお店はお酒を飲む大人のお店だから、小さい子は入れませんよ。」
「違うんだ、エラさん、この子はプリモの友だちなんだ。」ファザリアが説明してくれた。
「あら、そうだったの。じゃあ、メロ、泣いてないでこの子をプリモのところまで連れて行って。」
「お兄ちゃん!」
「モフ子とファザリア!どうした?」
「同級生のファザリアちゃんと会ったんだ。」
「同級生だったのか。」
「うん、ファザリアちゃんは読み書きを覚えてすぐ王都へ行っちゃったけど。」
「早く一人前になって故郷の親に仕送りしたかったしな。プリモのおかげでそれもかなったよ。」
「俺のおかげというわけでもないけれどな。ファザリアが自分の道を切り開いたんだ。」
「お兄ちゃん、モフ子ね、こないだのテストで一番だったの。」
「すごいな、モフ子。」
「エヘン。賞品の図書カードで大きな国語辞典を買ったんだ。言葉をたくさん覚える。」
「それは良い買物をしたな。言葉を覚えると世界が広がる。時空を超えてな。」
「モフ子、お兄ちゃんみたいに物語が書けるようになりたいの。」
モフ子は獣人作家になるのでしょうか?そのためには言葉だけではなくていろいろ経験する必要がありそうです。




