雲の上のラプソディー
天国の曇って水蒸気じゃないの?
雲の上には神様でも住んでいるか?あの女神様でも良いから、そろそろ目覚めさせてくれないか。周りを見渡しても雲ばかりで何もない。殺風景だな。こんなところが天国なはずがない。あ、あれはステラじゃないか。おいでおいでをしてるぞ。
「どうですか?天国は?」
「ここが天国なのか?何もないぞ。」
「天にある国だから天国なのれす...」
なんだ、こいつ酔っ払ってるのか?目元もトロンとしている。危ないなあ。雲から落っこちたりしないのか?
「良いからこっちへ来るのれす。ほら、抱っこして欲しいんでしょ?困った子リスちゃんね。」
甘い香りが漂った。気持ちいい。雲はマシュマロのように甘くてフワフワだ。ん?マシュマロ?俺は雲をひとつかみ掴んで口に入れてみた。マシュマロじゃないか。ということは....
「初めまして、子リスのプリモ!」
出た!甘やかしの女神だ。こいつ、天水美夜を原宿から召喚して魔王にした危ない女神だ。
「俺、いちおう試練の女神の信徒なんですけど。」俺は警戒してライバル女神の名を出した。
「良いんですよ、誰の信徒でも。私の前では平等です。いらっしゃい、抱いてあげますよ。」
いや、そんな正面からそんなことを言われると、さすがに気まずくて動けない。抱いてあげますよと言われて抱かれに行く人なんているのか?まあ一定数はいるだろうな、母数に幼児も含めれば。
「ほら、アーンして。」女神は俺の頭を抱えて無理矢理マシュマロを食べさせた。
うう、こんな姿を誰かに見られたら...
「おや、誠意を学ぶプリモではありませんか。こんなところで甘やかされるなんて。」
声のするほうを見ると試練の女神がニタニタ笑いながらこちらを見ている。最悪だ、一番見られたくない...いや、一番見られたくないのは翡翠さんなので、2番目に見られたくない相手に見られてしまった。いつの間にかセレスとステラもニヤニヤしながらこちらを見ている。気まずい。
「女神様、もうお腹いっぱいなので、離してもらっても良いですか?」俺は膝から下ろしてもらった。
「うちの信徒は試練を重ねて成長しているのですよ。なぜ甘やかすのです?」試練の女神が甘やかしの女神を睨む。
「甘やかされたくらいで成長が止まるならそれだけの人間です。彼は成長し続けていますよ。危機に際しては自分のの精気をすべて差し出すほどに。」
「あれは差し出したのか、単にチュウで甘やかされたかったのか判断に苦しむところです。」
「そんな厳しいことばかり言ってると小じわが増えますよ。」
「女神に劣化の概念はありません。それよりあなた、少し体重が増えていませんか?」
「まさか!女神に体重の概念はありません。この姿は慈愛の具現化です。あなたの姿が意地悪の具現化であるように。」
「意地悪の具現化?胸に脂肪を付けすぎて語彙が貧弱になりましたね。そんな話し方をする女神っているのかしら?」
「あら、胸が平らなのは慈愛が少ない証拠ですのよ。慈愛のない女神、そんなものはアルテミスくらいですわ。あの子も胸が平らだった。それを見られて逆ギレして...」
「ふふふ、胸の脂肪によほど自信があるようですね。愚かしい。あのアフロディーテもそうでした。これは愛だと自分を言い含めて、やっていることは邪な欲望の暴走。あなたもそんな風に脂肪肉を押しつけまくっていると物笑いの種になりますよ。」
女神同士の口げんかに天使のセレスとステラは慌てだした。このままでは変なとばっちりが回避できそうにない。現に、言い合いをしている女神の手には神罰の光が宿り始めている。氷結と電撃を同時に浴びせる試練の光と脱力と恍惚で相手を役立たずにする甘々光線。こんなものがぶつかり合ったら....まあ、いいか、どうせ夢だし。
「もう起きる!」俺は手を挙げて宣言した。「もう起きます。あとはご自由に。」
この雲の隙間から飛び降りれば...たぶんベッドの上だな。付き合ってられるかよ、女神のおっぱい論争なんて。よし、ではバイバーイ!....って、おい、すぐ目が覚めるんじゃなかったのかよ?ふつうに落下してるんですけど。え?落ちて死ぬの?
「あら?」
エラが受け止めてくれた。うん、ぎゅっと抱きしめてくれた。女神たちよりエラのおっぱいが最高だ。俺は恍惚感に包まれながら気絶した。
「プリモ、ねえ、プリモったら!」エラの声がする。「ねえ、ニヤニヤ笑ってよだれ垂らしながら寝てるわよ。」
「ああ、悪い。どのくらい寝てた?」
「半日以上ね。もう開店の時間よ。」
二柱の女神、天空の戦い。いや、戦ってはだめですよ。それにしても、「甘やかしの女神」、何度作図を命じても、ふくよか系ばかり出てきて、いや、言葉を選ばずに言えば「デブ」ばかり出てきて、もっと痩せろとかもっと若々しくとか、修正に修正を重ねてあの結果でした。しょうがないので、胸の脂肪論争というしょうもない話になってしまいました。




