ミミちゃんの餌集め
キャットバットのミミちゃん、魔王城攻略の準備で動物商から買ったペットのことをすっかり忘れていました。メロが飽きて忘れたことにしてしまって申し訳ありません。
「お帰り。ずいぶん稼いだみたいね。」エラが笑顔で出迎えた。
「エラは店が休みの日に何してるんだ?」
「ミミちゃんと遊んだり...」あ、キャットバットだ。ペットがいることをすっかり忘れてた。
「こいつ、メロがママって呼ばせてたんじゃなかったっけ。」
「あの子、飽きたみたい。ペットを飼う資格がないわね。」
「餌はどうしてるんだ?」
「ふつうにお客さんが残したおつまみを食べてるわよ。」
「たまにダンジョンに連れて行ってやらないとな。元々は魔物なんだし。」
「そうね...そうだ!」エラが目を輝かせた。
「ナイトハント、行きましょ、2人とこの子で。」
「え、危ないだろ。」
「大丈夫、そこはしっかり調べが付いてるの。オークの群れを狩るの。」
「豚肉を集めたいのか?」
「バカね、オークが落とすのは豚肉じゃなくて魔獣の餌よ。オークは知能が低いけど、魔獣を飼ってることが多いの。魔獣の餌はこの子へのプレゼント。いつもお客の食べ残しじゃかわいそうだし、身体にも悪いかも知れないもの。」
「でも、やはり火力が1人だけだと心配だな。」
「大丈夫だけど、ならばミナルナも連れて行きましょうか?」
「うん、それじゃちょっくら行ってみよう。」
「行こう、行こう!」ミナルナがユニゾンで加わった。
「おまえら、何だそのかっこうは?」こいつら、ちょっとエロい新衣装を着ていた。
「ステージにも使える便利衣装だよ。安かったから買ったの。」
「そりゃ安いだろうよ。防御力ゼロじゃないか。」
「当たらなければどうということはない!」17世紀人が決して知り得ない台詞で返された。
「こんばんは。ナイトハントに行きたいんだけど、オークは空いてるかしら?」エラはギルドの受付に尋ねた。
「オークですか。最近は人気がないので、うじゃうじゃ増えてるかもしれませんよ。」
「ちょうど良かった。では4人と1匹でお願いね。」
「ねえ、ミナルナさん、今日の相手は格下で、本当は私ひとりでも大丈夫なくらいなの。だから、銃弾はもったいないので、もっぱら刀で切り伏せて。」コンカフェの会計責任者だけあって、エラはコストカットを意識している。
「はーい!じゃあ邪魔だから、プリモ、銃はアイテムボックスに入れといて。」
「剣戟モードね?ならっ!」ミナルナは目にも止まらぬ速さでコスチェンジした。
「ピー!」キャットバットのミミがさっそく索敵で敵を発見した。
「出たわね。」ミナルナは抜刀してオークの群れに向かう。
エラは上空に飛んで広範囲にヴァイタルアブソーブで敵を弱体化した。俺は...何もできないので心の中で応援している。いや、ミミを抱き抱えて守っている。弱体化するまでもなく、遅鈍なオークはミナルナの敵ではなかった。被弾ゼロで次々と死体の山を築いて行く剣戟モードの2人。
「プリモ~、魔獣の餌を回収して!」エラの命令が飛ぶ。
「ピーピー!」ん?これは索敵じゃなくて餌が欲しいのか。「ピーピーピー!」かなり腹が減っていたようだ。
「良かったわね、ミミちゃん。パパにたくさん食べさせてもらいなさい!」誰がパパだ!
「ピー!」今度は索敵だ。出たな!
「ルナミナ、ちょっと休んでいて。精気が溜まりすぎて苦しいの。」そう言うとエラは空中に舞い上がり広範囲に闇魔法を放った。オークのように知能が低い魔物は闇魔法に弱い。10体以上がその場で倒れた。
「はふう。」地上に降りたエラが息を漏らした。俺は「プファア」じゃないかと警戒したがセーフだった。
「雑兵が尽きたころね。そろそろ上位種が来るわよ。」
「ピー!」
「来たっ!」ミナルナが抜刀して敵に迫る。
さっきまで戦っていた個体の倍以上はある巨大なオークが3匹。オークロードだ。体長は3メートルほどだろうか。ミナルナはまず脚を切り、動きを封じてから宙に跳んで首や胸を刺した。斬撃は厚い皮膚に阻まれてあまり効果がない。エラは落ち着いてひとしきり精気を吸い、それから敵全体に闇魔法を放った。ミナルナの忍刀で身体中を刺されまくってダメージを蓄積していたオークロードたちは、とどめの闇魔法でその場に沈んだ。
「なぁ~んだ、ロードとかいって超弱い!」刀に付いた血を振り落としながら、ミナルナはユニゾンで敵をディスった。
「これが相性ってやつね。オークは闇魔法に弱いのよ。」エラは、どこから取り出したのか、扇であおぎながら着地した。
「プリモ、餌はどのくらい集まった?」
「2~3ヶ月分はあるんじゃないかな?ミミがどのくらい食うかわからんけど。」
「魔獣の餌はね、進化を促すこともあるのよ。ミミちゃん、どんな風に育つのか、ママ、楽しみだわ。ねえ、あなた?」おい、勝手に俺をパパにするな。
「ピー!!!」おや、ミミがすごく警戒している。
「わ、デカイのが来たよ!」ミナルナが叫んで指差している。
なんだ、これは?体長が5メートルぐらいある。しかも、オークと言えばふつうは雄しかいないのに、こいつはあきらかに雌だ。たわわが波打っている。
「マズいわね。」あの冷静なエラが動揺している。
「どうした、エラ?」
「あれは雌だわ。それも超弩級の。雌はヴァイタルアブソーブで弱体化できないの。弱体化どころか精気も吸えないの。あの体力お化け、私たちの火力で倒せるかしら...」
「プリモ、銃を出して!」ミナルナはまず銃弾を撃ち込んで体力を削る気らしい。
「ほらよ!予備の弾倉も全部持ってけ!」
銃を撃ち弾を込めまた銃を撃つ。何度繰り返しただろう。オーククイーンはにやにや笑ってまるでダメージを受けたようには見えない。
「ねえ、ルナ、あれ...」ミナが指差す先にはオーククイーンの胸があったが、その胸当てが外れそうになっていた。
「小さくなったんじゃない、あいつのおっぱい?」ルナが小首をかしげながら言った。
「ひょっとしてあの胸にHP回復の素が入ってるんじゃないか?」俺は当てずっぽうでいい加減なことを言った。
「そうかも知れないわね。ちょっと待ってて。」エラは闇魔法を放った。オーククイーンの胸がさらに縮んで胸装備が落ちた。うわ、見たくはないが見えてしまった。胸がしなびている。
「もうそろそろHP回復もなくなるわね。ミナルナ、あのおっぱいの残骸を切りまくって破壊して!」
「ラジャー!」2人は豹のようにジャンプして集中的に胸を切りつけた。オーククイーンは両腕を振り回して2人を殴り落とそうとするが、ベテランくノ一の動体視力にかかれば、攻撃はかすりもしなかった。
「プリモ、ちょっと...」エラが俺をぐっと抱き寄せて唇を重ねてきた。「悪いわね。」
「さあ、これでとどめね。」エラは最大出力の闇魔法を放ち、オーククイーンはその場に崩れ落ちた。
「ねえ、ミナルナ、悪いんだけど素材回収お願い。プリモはいま瀕死だから。」
いや、ラスボス戦は絵面的にエグくて申し訳ありませんでした。ふつう画像生成AIって、「バストを大きくして」という指示はガイドライン的に拒否するものですが、オークの場合、「性的コンテンツ」とみなされないのではと思って要求したら、案の定でかくなりました。まあ、「HP回復の素」と理由付けはしたのですがね。なので読者の皆さんも、「ここにMPがつまってる」とか屁理屈を言い添えると、ひょっとしたら大きくなるかも知れませんよ。




