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攻略を終えて恩返し

お金がたくさん手に入ったのでお世話になった人に恩返しです。恩返しは大事ですよ、皆さん。

 魔王城を攻略した俺たちは報奨金10万ゴールドを得た。だがそれ以上に、必死になって集めた素材の価値は計り知れない。俺たちはガトリングガンで世話になった鍛冶屋へ行って、主人にいくつか欲しい素材を分けてやった。曖昧な約束こそ、忘れたころに果たしてやると相手の印象に残るものである。


「お兄ちゃん!」


挿絵(By みてみん)


 モフ子が駆け寄ってきた。


「お兄ちゃん、私、学校で読み書きを習ってるんだよ。字が読めるようになったの。」


「そうか、良かったな。」


「家に帰ったらお父さんとお母さんにも教えてあげてるんだ。」


「モフ子がお父さんとお母さんの先生か。すごいな。」


「あとね、計算もできるようになったんだよ。」


「モフ子は頭が良いな。何でもすぐに覚える。」


「うん、いっぱい本を読んでいっぱいいろんなことを知りたい。」


「じゃあ、字が読めるようになった記念に、この本を上げよう。」


 俺はアイテムボックスから王都で出版された俺の本を3冊取り出してモフ子に渡した。


挿絵(By みてみん)


「わあ、ありがとう。お兄ちゃんの物語、読み書きを覚えたからやっと読める。」


モフ子と別れてから俺は町役場へ行って獣人学校の担当部署を訪れた。


「こんにちは。作家のプリモです。」


「ああ、プリモ先生、よくいらっしゃいました。」


「獣人学校は順調ですか?」


「はい、おかげさまでたくさんの生徒さんが来てくれています。大人の生徒さんもいるんですよ。」


「そうですか。きょう来たのは、奨学金の設立をお願いに来ました。魔王城の攻略に行ってきたので報奨金と集めた素材でかなりの資金が貯まりました。その一部を寄付しますので、獣人学校に奨学金を創設してください。」


「対象はどのような学習者でしょう?」


「読み書き計算を覚えたあとでもっと上級の学校への進学を望む者です。」


「その気高い篤志、たしかに承りました。名前はプリモ奨学金でよろしいでしょうか?」


「いや、黄色い果実奨学金にしてください。困っているときに希望を開く、甘酸っぱくてジューシーな黄色い果実、かつてはヴァンパイア事件を解決するきっかけになった黄色い果実、それを食べれば食べていけるようになる、道を開く勇気をくれる、そんな果実です。」


 係員は少し困惑した顔をしていたが、おれは満足して5万ゴールドを渡した。



 それから俺は世話になった印刷屋を訪れた。


「おや、プリモ先生、何かご用で?」


「うん、先日お世話になったのでそのお礼にと思って。」


 俺は回収したグレーターデーモンの青黒い血を渡した。


「これはグレーターデーモンの血なんだけど、魔道書の印刷に使えないか?」


「おお、こんな貴重なもの、見たこともありません。超一流品の魔道書が刷れます。使い手を選びますが、生きた魔道書になるでしょう。いただいてもよろしいので?」


「ああ、世話になったお礼だ。」



それから俺たちは来たときと同じルートを逆にたどって王都へ帰還することにした。途中、山姥が湯量を倍にすると約束した温泉に立ち寄った。湯量が倍になった山麓の町は温泉町として栄えていた。


「なあ、エラ、温泉に入ったらぷふぁあは我慢できないのか?」


「無理ね。あれは自然の摂理よ。」


「まあ地味子になるだけだから実害はないがな。」


「すぐ補充するから大丈夫なの。」そう言ってエラは俺を見て舌なめずりをした。


挿絵(By みてみん)


「ねえ、メロ。あんた急に成長したわね。」


「うーん、今回の攻略で上質なのいっぱい吸ったからかな。」


「なんかずるくない?こないだまでチビガキだったのに。」


「あれはレッサーデーモンの呪いのせいだから。これが本来の私よ。」


「ホストに貢ぐバカ女だったもんね。」


「あ、その黒歴史、言っちゃだめなやつ。」


「そのまま呪われていれば良かったのに。たわわが負けてる気がしてむかつく。」


 「美しいナイスボディ、これがサキュバスのデフォルトだからね~。」



挿絵(By みてみん)


「気持ちいいですね。」


「はい、極楽です、行ったことはありませんが。」


「行くこともないでしょう、私たち。」


「ですね、私たち、収束して元素に帰るだけですから。」


「それにしても、こんな露わな姿、よく画像にできましたね。」


「苦労なさったみたいですよ、プリモ様の中の人。人文知でソラ子様を出し抜いたとか。」


挿絵(By みてみん)


「温泉のあとのアイスは格別ですね。」


「アイスをペロペロはガイドラインに引っかからないのかしら?」


「France Gall - Les sucettes その案件を運営は知らないでしょうからね。」


「IT業界は歴史に疎い――政治的にやばいものは別として、ですね。」


「ですね、そのおかげでお風呂上がりにアイスをペロペロできます。」


「はい、ペロリペロペロペロ、私ペロリスト♪」



 翡翠の計らいで、分身3人組も温泉を堪能したようだ。アイスをペロペロして満足して収束した。


アイス食べてる分身3人組、なんか目線がこっち向いてますけど、今にもビームを出しそうですね。

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