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巫女とサキュバスと異世界と、そして人文知は役立たず  作者: 青水


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温泉とテキサス娘と

クエストを終えて温泉。今回は温泉回ですね。温泉シーンをSoraに描かせるのは大変なんですよ。ぼくは抜け道を見つけましたが。

 クエストを終えた俺たちは、館の随所から証拠になりそうなものを抜き取ってギルドへ向かった。ラスボス婆から取り上げた館の鍵、玉座のはめ石、ケルベロスの心臓、他にもがらくたを持ってきたが、もうこれ以上はいらないと言われたのでゴミ箱行きとなった。報酬を手にした俺たちにはやることが2つあった。温泉でくつろぐのとアタランタの送別会だ。大事なパーティなので極上の料理を振る舞うようにと、料理人ひとりひとりにチップをはずんでおいた。風呂上がりは、この町の特産品の白ワインで乾杯だ。


挿絵(By みてみん)


「やっぱり温泉って良いね。日本人は風呂だ!」ミナが伸びをする。


「山麓の露天風呂というのが味わい深いですね。」翡翠が目を細める。


「きょう奥義を使ったから潤いを補充しなくっちゃ。」ルナが潜る。


「あの技、すごかったですね。あれが忍術というやつですか?」翡翠が尋ねた。


「あれは忍者とは関係ないよ。アイドル術ね、強いて言えば。」ルナのいいかげんな返事。


「お客さんにカワイイを届けたいというピュアなハートが爆発すると出るの。」ミナは説明しようとしたが、カワイイとピュアなハートという、意味がありそうでなさそうなワードによって、スライムのような不定形の答えにしかならなかった。


「1週間に1回しか出せない技なんだよ。」ルナの説明はそれなりの情報を伝えている。



「あ、いたいた。やっほー!」メロが来た。


挿絵(By みてみん)


「気持ちいいわね♩ ぶは~!」エラが来た。


「あら?エラさん...」みんなびっくり。そこにいるのは「あんた誰?」のエラだった。


「あ、またやっちゃった。エラさん、ぶは~で抜けちゃいましたよ、サキュバスの精気。気持ちよくてぶは~ってやると貯め込んだエロスオーラが全部抜けてしまうんです、この人。」メロが困った顔で説明する。


「心なしか縮んじゃいましたね...」翡翠が心配そうにエラを見る。


「あ、いいの、いいの。今夜は無礼講だから♩」エラの言う「無礼講」が今の状況にどう関係するかわからないが、楽しそうなので良いだろう。




「ふう、風呂上がりのアイス、最高ね。」


挿絵(By みてみん)


「明日でお別れですけど、アタランタさん、あなたとお友だちになれて本当に良かった。」


「ええ、私も。初めての連携は王都に出現したワイバーンを掃討したときでしたね。あなたの氷の魔法、陰陽術でしたね、すごく美しかった。」


「ありがとうございます。アタランテさんの月光の矢もとても美しいものでした。」



 朝になった。俺たちはみんなでアタランタを見送ることにした。涙は流さない。みんな笑顔で送り出す。そう決めた。決めたのだが、俺だけ泣きそうになっている。一番仲の良かった翡翠さんが毅然とした笑顔で見送っているのに...涙を見せたリーダーとして失格だ。


「アタランタ、1週間ご苦労だった。元の世界に戻ったら...その...リンゴは拾うな、良いな。」


「なんのことだかわからないが心しておこう。それではさらばだ、翡翠、そしてみんな!」


 金色の霧のようなものがアタランタを包み、少しずつ薄くなって、存在を消した。



 サロメが消え、アタランタが消えた。次の町に行く前に補充すべきだろか。いや、アタランタの1週間限定枠は、行動開始日に補充したほうが良い。それだけで1日の余裕ができる。サロメの後釜だけ補充しておこう。俺の作品からの補充...女性で強い...あ、いた!翡翠さんと同じ時間線からの召喚。(https://ncode.syosetu.com/n5112kj/)


「人文知を極めしプリモが召喚する。兄の遺志を継ぐテキサスのガンマン、エミリー・モリス、顕現せよ!」



「Oh, what? What happened?」


挿絵(By みてみん)


「エミリー・モリス、俺が君の作者だ。異世界へようこそ。」


「Who....あれ?英語が喋れない。」


「そりゃそうです。英語で喋られたら読者の皆様が迷惑しますからね。」


「は?読者?何言ってるの?」


「あなたはそもそも俺が別の作品の中へ書き込んだ登場人物なんですよ。俺があなたを造形したんです。生みの親のようなものです。」


「なんか若返って子どもっぽくなってるんだけど、これ何の真似?」


「リアリティより萌えが優先されるラノベのマーケッティングに従った結果です。ちなみに、年齢をいじる前のあなたの姿はこれでした。」


挿絵(By みてみん)


「あ、これだよ、私の姿!これに戻せよ!」


「ダメです。読者は今のあなたを支持します。目の下の小じわとほうれい線...」


 Bang! エミリーのピースメーカーが火を吹いた。


「おい、ふざけんな!女の成長を否定するのか?」


「いえ、あくまでもラノベの中の話ですので、ここは作者である俺に従ってもらえませんか?他の仲間との組み合わせの問題もありますので。」


「1人だけ婆じゃかっこつかねえってか?しかたねえな。ただし、こんななりだけどバーボンとビールは飲むからな。」


「それはもう。誰もとがめ立てなんかしませんよ。」


「まあ、私もテキサスの女だ。細かいことでガタガタ言うのは性に合わない。楽しくやれるってんなら一緒について行こうじゃないか。」


「はい、ありがとございます。これから俺たちは次の町へ行ってクエストに挑みます。強力な戦力として期待してますよ。」


 次の目的地は、いよいよ山を越えた先にある最初の町、俺がメフィストとともにたどり着いた町だ。モフ子は元気にしているだろうか?



テキサスのガンマン、エミリー・モリスが参戦してくれました。こんななりですが、中身は「姐さん」ですね。

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