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紅いサキュバス

空飛ぶ火吹き強盗を捕らえなければ。戦闘になるのでしょうか?


「さて、今夜は出るのかしら?」


「金持ちを狙うっていうから、高級住宅街で待ち伏せしよう。」


「そうね。あんパンは持った?」


「は?」


「いえ、気にしなくて良いわ。」


「おい、あれ!」メフィストが指差す先に獲物を物色しながらパタパタ飛んでる赤い人影があった。


挿絵(By みてみん)


「あら、何よ、あれサキュバスじゃないの!」


「どうやらあんたの同族らしいな。どうする?」


「もちろん捕まえるわよ。プリモの命令だし。」


「わかった。待ってろ。」メフィストはマントを翻すと赤いサキュバスに迫った。」


挿絵(By みてみん)



「きゃあ、何こいつ!」赤いサキュバスは器用に宙返りをしてメフィストをかわし距離を取った。


「あちゃあ、逃げられてるじゃないの、ポンコツ悪魔!」エラは下で歯ぎしりしてる。


「おい、聞こえてるぞ。誰がポンコツ悪魔だ!」メフィストが眼下のエラを睨む。


「良いから早く捕まえなさい。逃げられちゃうわよ!」


 そのとき赤いサキュバスは思いがけない行動を取った。メフィストに攻撃を仕掛けたのだ。


挿絵(By みてみん)



「そんな...サキュバスなのにブレス?何あの子?」エラは驚いて固まった。


「ふ、私にそんなヘロヘロの炎は効きませんよ。さあ、おとなしく諦めてお縄に付くことですな。王宮から依頼書を預かっています。」


 ドラゴンのブレスにも耐えるメフィストに赤いサキュバスの弱々しい炎は何の効果もなく、少女サキュバスは簡単に捕まえられてしまった。


「はい、おとなしくしなさい。同族に乱暴なことはしたくないの。」地上でエラが珍しく真面目な顔で待っていた。


「放せ、放せよう!」悪魔の拘束具で縛られた少女サキュバスは半泣きでジタバタしている。


挿絵(By みてみん)


「では答えてもらうわよ。お名前は?」


「メロだよ。」


「サキュバスなのになんで炎をを吐けるの?」


「ファイアードラゴンの精気を吸ったら吐けるようになった。」


「あらまあ、そんな危ない真似を。」


「ファイアー・サキュバスの爆誕だよ。」メロはエッヘンという顔をしたが、拘束されているのでちぐはぐだ。


「どうしてお金を盗みまくっているの?」


「推しに貢ぐためだよ。私がナンバーワンの姫なんだ、ルシファーくんの。」


「ルシファーですと?悪魔のですかな?」メフィストが興味津々で尋ねた。


「サタンワールドっていう悪魔コンセプトのホストクラブだよ。」


「はあ、ややこしいことをしてくれますな...」メフィストは頭を振った。


「空飛ぶ火吹き強盗としてあなたは使命手配されてるんだけど、どうする?このまま王宮警察に引き渡しても良いのよ。」


「いやだ、それ困る!ねえ、どうにかならない?」メロの瞳が紅く輝いた。


「あなたねえ、女に、しかもサキュバスに魅了が通じると思ってるの?バカなのかしら?」


「ちなみに私にも通じませんぞ。悪魔ですからな。」メフィストが嬉しそうに付け足した。


「ねえ、助けて...助けてください...」メロは必死で頭を下げまくった。


「とりあえず宿屋へ行きましょう。私たち、プリモの命令で動いているので、あなたの処遇はプリモに任せるわ。」



俺は驚いた。エラの他にもサキュバスがいるんだ。しかも若いというより幼い。だがサキュバスだ。ロリ婆という可能性も十分にある。


「エラ、こいつの年齢はいくつだ?」


「あ、訊くの忘れてた。でも良いんじゃない、人間じゃないのでどうせ歳はとらないし。」


 まあたしかにそうだ。訊いても意味がない。訊くだけ無駄だ。創業400年の老舗サキュバスが言うのだから間違いないだろう。さて、こいつの処遇だがどうしたものだろう。王宮警察に引き渡せば、もしかしたら報奨金がもらえるかも知れないし、価値のない表彰状だけかも知れない。魔物だったので激しい戦闘の結果、塵になってしまいました、とでも報告するか。人外の者を人間の警察に引き渡すのは躊躇われる。となると同行させることになるが、この姿では悪目立ちしすぎる。


「おい、エラ、こいつもおまえのように人間に擬態できるのか?」


「さあ、サキュバスであるならできるはずだけど...あなた!聞いてたでしょ?人間の姿になれるわよね?」


「はい、なれます。ルシファーくんに逢いに行くときはいつも人間モードでした。ロリータ服を着て。」


「じゃあ、今ここで人間の姿になって、私が良いと言うまでその姿を保ちなさい。」


「わかりました。」


挿絵(By みてみん)



「よし、それでOKだ...って、おまえ何で台に乗ってるんだよ。擬態しても小さいんだから諦めろ。」


「やだ、エラさんみたいになりたい。」


「ああ、なるほど...」エラはすべてを察したという顔をした。「あなた、栄養失調ね。吸ってないでしょ?」


「吸ってるよ。ルシファーくんがお金を貢ぐと吸わせてくれるの。とても甘々な精気だよ。」メロは思い出してうっとりとした顔で答えた。


「そんなんじゃ足りないのよ。私なんか今日5人から吸わせて頂いたわ。影響が出ないように少しずつだけど。」


「おい、メロ、俺たちと一緒に行動したいなら、そのルシファーって奴に貢ぐのやめろ。おまえの貢ぐと泥棒はセットになってる。生活を改めるためには、まずそこから治さないとダメだ。」メロは「え~!」と不満そうな顔をしたが、エラのキリッとした睨みですぐ諦めた。どうやら同族であるが故にエラに懐いたようだ。


なんとも扱いにくい仲間が増えてしまいました。エラも大概だったけど、メロと比べると常識人に見えてしまいます。

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