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#8 想定外の戦いなのですが

こんにちは、COCOAです。

小説を投稿する時間帯に悩んでおります。

ということで今回は朝にしてみました。

私が着るような服なの…?

そう思いながらも渡された青と白のワンピースを持って試着室に入っていく。渡されたからには着るけど…浮いちゃいそうな気がしてならない。泣き言言ってもこの服は私の前から無くならないからいい加減諦めて着る。見た目に反して着心地はかなり好印象な感じ。こういったワンピース系って中がゴワゴワしてるとか着づらいとかあると思ったんだけど全然そんなこと無かった。後は、似合ってるかどうかなんだけど…

「お待たせ、着替えてきたよ。どうかなシル、こんな感じなんだけど…」

「わぁ〜!可愛いじゃんマスター!やっぱり綺麗な色合いの服が似合うね!このワンピースみたいな青系統とか特に!」

「そ、そうかな…?着心地は思ったより良かったから結構好きなんだけど…」

「そうなの?質感とか違和感無い?」

「私もそういう部分を心配してたんだけど、全然そんなこと無かったよ。シルも来てみる?」

「いや〜…着てみたいけど、色合いが合わないからさ…その服はマスターが着ててよ」

「そっか…って、え。私がこの服着るのはもう確定事項なの?」

「うん!だってすっごく似合ってるし、マスターもその服気に入ったんでしょ?なら買うべきじゃない?」

「ま、まぁそうだけど…そうだね、せっかくだしこの服買おうかな」

「うんうん!そうした方が良いよ!」

「それじゃあ…」

そういって買おうとすると目の前に購入画面が出てきた。吃驚した。着たままでも、というかレジに行かなくても買えるんだ。楽だからいいんだけど。お値段は2万G(ゴールド)。やっぱり洋服はどの世界でもお高いものなんだね。迷わず購入欄をタップすると、お金が減って装備欄にワンピースがそのまま入ってきた。あ、着たまま買ったらその状態で帰れるんだ…そこら辺は現実と同じ感じなんだね。

「あ、でもこの服着た状態だと戦えないね…せっかくシルに選んでもらって買った洋服を汚したくないし…」

「大丈夫だよ、私が居るから。というか服は汚れないから安心して良いよ」

「あ、そうなんだ。なんだ、それなら普段から着ていようかな」

「うんうん、そうして!私もその方が嬉しいし」

「じゃあシルの服も選ぶ?」

「ん〜…私は自力で好きな服着れるから良いかな…」

「あ、そっか…じゃあ着て欲しい服があったらリクエストでもしようかな」

「良いよ〜」

「それじゃあ洋服も買ったし、また街を適当に歩き始めよっか」

「そうだね、お邪魔しました〜!」

シルが元気に挨拶をしてお店から出ると先程よりも少し人数が減った通りへ戻ってくる。次は何処に行こうかな〜。

「ねね、マスター。次はどこ行こっか」

「ふふ、丁度私も考えてたところ」

「う〜ん…それなら、任務とは別にちょっとザリオスから出てみない?」

「良いけど…何処に行くつもりなの…?」

「私が好きな所!」

「な、なるほど…?って、結局場所分からないんだけど…」

「それは秘密〜」

「えぇ…まあ時間はあるし今日は少しゆっくり歩いても良いかな」

「やった!それじゃあ行こ〜!」

「分かった」

そんな会話をして歩き出したら、無意識にシルに手を伸ばしていた。…あ、握られた。自分としては別に意識して繋ごうとした訳じゃないけど…嬉しいから良いや。そういう風に私の気持ちを察して色々気遣いしてくれる所は凄く年上っぽいんだよね。そんなタイミングで私は少し悪戯を思いついてしまった。今の私は元よりの身長と格好も相まってまるで妹のような姿になっている…だから。

「…」

クイクイっと繋いでいる手とは反対の手でシルの服の端っこを引っ張る。

「ん、どうしたのマスター?」

「ねえねえ、シルお姉ちゃん?」

「…」

「あ、あれ…?お〜い、シル〜…?」

シルのことをお姉ちゃんと呼んでみたらフリーズしてしまった。歩きもせず、まるで時が止まったかのように完全にフリーズしている。

「…もう1回」

「…え?」

「もう1回言って、マスター」

「え、うん…シルお姉ちゃん」

「…!」

そうすると何かに目覚めたかのように私のことを目にも止まらぬ速さで抱き上げて来た。それも幼稚園児を抱えるときみたいな腕に乗せるような形で。なんで私はこんな事になっているんだろう…

「ね、ねぇシル…流石に恥ずかしいから止めない…?」

「…」

「あ、あれ…シル?」

「…」

…まさか。

「ねえ、シルお姉ちゃん」

「なぁに?」

なんてこと、私が軽率にシルのことをお姉ちゃんと呼んでしまったがばっかりに目覚めてしまったのかお姉ちゃんと呼ばないと反応してくれなくなってしまった。

「い、色んな人に見られてるから…止めない?」

「もう…お姫様抱っことかハグとか頭撫でたりとかしてるんだから、今更でしょ?」

何も言い返せない。なまじ、私からやっているものが存在するからである。

「で、でも…」

「大丈夫、マスターが可愛いから皆見てるだけだよ」

「そ、そうかなぁ…?」

「そうそう、だから気にしないで良いよ!」

そうなのかなぁ…確かにそうかも。とはならないけど今更っていう点に関してはその通りだし最早諦めるのが一番良いのかもしれない。ということで私は周りの目を気にしないことにした。そんなことをしているがばっかりにゲーム内掲示板で話題となっていることも知らずに…






お姉ちゃんモードになってしまったシルに連れられて私は今森の中を歩いていた。

「シル〜?」

「…」

まだ続いているみたい。

「シルお姉ちゃん、今どこに向かってるの?」

「それは秘密だって言ったでしょ〜?でも、もうちょっと歩いたら着くから待っててね」

「分かった」

私達は広葉樹が生い茂っている森を歩き続け、やがて広い空間があるのか、目線の先に木々の隙間から光が差し込んでいる場所を見つける。その方向へ進むとそこには綺麗なお花畑へ辿り着く。

「おぉ…!」

「ね、綺麗でしょ?」

「そうだね…一言では言い表せられないくらいに綺麗…」

「私のとっておきのお気に入り、どう?」

「…うん、私もお気に入りにしようかな」

「やった、マスターにもこの場所を知ってもらいたくて連れてきたんだよ〜」

「ありがとう、シルお姉ちゃん」

「!」

今度は後ろからハグをしてきたシル。もう今更リアクションすることは無い。甘んじて受け入れるだけである。

「えいっ」

「わ〜!」

後ろに力を込めて倒れるとシルごとゆっくり倒れてお花畑に体を沈める。所々チクチクするけど、それも醍醐味だよね。

「はぁ〜、景色とシルお姉ちゃんで癒される〜…」

私は寝返りをしてうつ伏せになり、背中で感じるシルの身体に正面から向き合う。

「どうしたの?」

「いや…なんとなくこうしたかっただけだよ」

「そっかぁ〜…!」

そう言うとシルが私の頭を撫でてきた。抵抗の意を見せるため見上げる形でシルの顔をじっと見つめるとより撫でる勢いが強くなった。解せない。まあ、でも。今は良いかな…

「この後は何しよっか〜…」

「もう今日はここで過ごしてもいいんじゃない?」

「でもなんとなく勿体なく感じちゃって…」

「ふふ、言いたいことは分かるけどね〜」

この後何するかをのんびりシルと話し合う。やっぱり今やった方が良いのはレベリング、もとい任務だと思う。お金も経験値も入るからやって損は無い。他には装備とかもそうだけど、新しく服を買っちゃったばかりだからせっかくだしある程度は着ていたいんだよね…スキルの練習は討伐系の任務をやれば自ずと練習出来るし…他の召喚士のスキルでも調べてみて良さげなのあったら手に入れようかな…今のところ基本的なスキルと一心同体によるシルのスキルだけだから他にも強そうなスキルとか便利そうなスキルは手に入れておいた方がいいと思うんだけど…戦闘系のスキルは要らないかな。そんなとこを考えていると花畑に嫌な風が流れる。

「…?」

自然な風じゃなくて、何か起きそうな嫌な予感を含むその風は直ぐに正体を現した。

「グァァァァァ!!!」

なんと森から花畑に巨大な熊が出てきたのだ。大きさは5.6mくらいはありそうなサイズ感で、見るからに強そうな雰囲気が漂う原因である傷の入った顔。いきなりの来襲によって平穏な空間は弾け飛び、私とシルは起き上がってその熊に対して正対し、いつでも動けるようにしていた。

「グォォォ!!!」

その熊は再び咆哮をすると、四足歩行で物凄い勢いで私達に襲いかかってくる。

「マスター!下がってて!」

シルに言われた通り急いでシルの後ろに下がるとドゴンと大きな音をたてて、熊のシルが組み合いをしていた。熊の頭の上には【レイザーベア】と表示されており、名前が赤く書かれていた。

敵モンスターだけに関わらず名前が赤く書かれているのは、適正レベル帯の範疇から飛び出した存在であることを証明している。今の私のレベルである12レベルでは到底相手できないような敵であるようだ。

そして本格的に目の前でシルとレイザーベアの戦いが始まった。シルは翼を出して空を飛びながらブレスを吐いたり殴ったりして攻撃している。それに対してレイザーベアは爪や牙で切り裂くような攻撃を主体として場合によっては雷を纏った状態で攻撃してきていた。今までの敵モンスターとは一線を画す強さであるからか、シルも今までのように一撃で倒すことが出来たり余裕を持って対処することは出来てないようだ。

「このっ!」

「グォァァァ!!!」

何もしていない私はどうやらレイザーベアの攻撃対象では無いらしく、完全に牙の矛先はシルへの一辺倒となっている。…よし、今なら…

「一心同体」

そう呟くと私はシルのスキルを使える状態になり、翼を生やして空も飛べるになった。

「シル!そのまま引き付けておいて!」

「え!わ、分かった!」

何をしようとしているのか分からないのか少し戸惑いながらも、私のことを信じてくれたのか顔を縦に振ってくれた。

私に許されたのは一発だけ。そこで倒しきれなかったら矛先は私にも向き始める。今の私は火力は出せるけどまだ防御は出来ない。そうなると私を守りながらシルが戦わないといけなくなるから余計勝率が低くなる。だからこそ一撃で決めなければならない。私に出来るのはシルのスキルと単純な身体攻撃だけ。だからこそ私はある方法でレイザーベアを攻撃することにした。このゲームは現実と同じくダメージにはステータスやスキルの倍率は勿論、物理法則も関係してくる。そこが今回の重要な点だ。

シルがレイザーベアと戦って引き付けてくれてる間に私は飛翔を使って成る可く高度の高い所まで飛んでいく。限界はギリギリレイザーベアが目視で視認できる所。そこまで到達すると私は翼から力を抜いて落下していく。成る可く翼を空気抵抗を受けないようにして落ちていく姿はさながら隼のようで、シルは目を開いて驚いていた。私はそんなシルを見て少し笑いながらレイザーベアの頭上まで急降下で落ちてくると、両翼を最大限開いて思い切り仰ぐ。とんぼ返りの要領で私の足はレイザーベアの頭を蹴り抜いた。






「ありがとう、シル」

「どうってことないよマスター、マスターがやったことに比べればね」

「あ、あはは…」

私は倒れたレイザーベアの前でシルにお姫様抱っこされていた。レイザーベアの頭を蹴り抜いた所までは奇跡的に出来たものの、私の運動神経では到底無事着地出来る訳もなくシルに助けてもらったのだ。

今更ながら中々の無茶をした自覚はある。だけどここはゲームの世界だし、シルが必死に戦ってる姿を見て何もせずには居られなかった。

「よくそんなこと出来たよね、マスター。私でも出来る自信無いよ」

「完全にまぐれだと思う…次やってって言われても自信ないし」

「やってとも言わないし、やらないで欲しいんだけど…ほんと、心臓に悪かった…」

「ご、ごめんね…?」

「でも、まあ…」

私のおでこにシルのおでこがコツンと当てられる。

「いたっ」

「マスターが無事で良かったかな。それだけで良いよ」

「…ふふ、ありがとうね。シル」

思いがけない怒り方に私は、思わず力を抜いて笑ってしまうのだった。

誤字脱字、文の違和感等ありましたら遠慮なくお教え頂けると幸いです。

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