#23 思わずしてしまったのですが
こんにちは、COCOAです。
累計1万PVありがとうございます!
不定期かつ私の性癖の塊であるこの作品ですがこれからも是非宜しくお願いします。
「思ったよりも早く終わったね」
「そうだよね」
「想像してた感じよりも結構小さかったからそのまま全部攻略しちゃった」
「入る前は様子見とか言ってたのにね」
「まあ早く終わる分には良いんだけどね」
「…そういえば途中でマスターがログアウトする場合は入口まで戻らないといけないのかな?」
「どうなんだろう…中でログアウトしたらまたログインした時に襲われるかもだし少なくともそうした方が良いとは思うけど…」
「出来るかどうかは分かんないか〜」
「うん」
シルの肩に頭を預けたままそんな会話をする。ダンジョン自体が思ったより小さかったとは言え、単純に強いボスと戦って疲労感がある。だから…
「んふふ」
「…どうしたのマスター?」
「えいっ」
「わわっ!急に抱きついてきてどうしたの?」
「ん〜?したくなったからしてる」
「つまりはなんとなくね」
「そう」
横に座って頭を預けていた体勢から変わって、シルの方を向いてぎゅっと抱きつく。するとシルが頭を撫で始めてくれた。何だか最近シルに頭を撫でられると気持ちいいんだよね…
「よしよし〜」
「ん」
「ふふ、可愛い」
「む〜…」
「そろそろ認めたら?」
「認めたら自意識過剰みたいになっちゃうじゃん…」
「そこまでして欲しいわけじゃないけど、自認くらいはして欲しいな〜、って思って」
「また難しいことを…私の性格、シルも分かってるでしょ?」
「そうだけどさ〜…素直に受け取ってくれた方が嬉しいし…」
「うぐっ…」
それを言われると痛い。結局のところ賛辞を受け取らずに不服に思ってるわけだから相手からしたら良いものではないよね…うぐぐ。
「まぁ……受け取るくらいはするよ」
「やった!」
目を爛々に輝かせながら今度はシルの方から抱きつき返してきた。ちょっと力が強いけど、その方が充足感があるから嬉しい。負けじと私も抱きつく力を強くするんだけど如何せん元が弱いから対して変わらない…悲しいな。
「マスター、もしかして力強くした?」
「え、わかったの?」
あれ、力強くしても分かって貰えないと思ってたんだけど…
「何かちょっとだけ強くなった気がしたから…」
「そうなの?」
「マスターの雰囲気がそうだったんだよね」
「ふ、雰囲気…」
「正直力だけで判断しようとしても難しい… 」
「そ、そっか…」
どうやらまだまだみたいです。
「1回全力で抱きついてみてよ」
「大丈夫なの…?」
「マスターに限っては大丈夫だから」
「…なんか悔しいけどまぁいいや」
シルに言われた通り全力で抱きついてみる。なるべくシルを拘束する感覚で。やってから気付いたけど疲れるね…
「…今全力?」
「そうだよ…!」
「な…るほど。うん、ありがとマスター。もう良いよ」
どうやらもう良いらしいので脱力する。まさか全力で抱きつくだけでこんなに疲れるとは思わなかった。
「ど…どうだった?」
「う〜ん…弱いね」
「そっかぁ…」
「マスターはほんとに非力だよねぇ」
「…ちょっと気にしてるんだから」
「あはは、しょうがないよ」
「むぅ…」
不服そうに頬を膨らませる私を頭を撫でて慰めてくれるシル。撫でてくれるのは嬉しいんだけど、これは一種のマッチポンプじゃないかな…?まあ気にしてもしょうがないしシルはそういう子だから良いんだけどね。
「このままだと寝ちゃいそう…」
「起こしてあげよっか?マスター」
「どうやってやるつもり…?」
「こうやってやるつもり」
シルが私をひょいっと持ち上げていつも通り膝に乗るのかなと思っていたらあろうことかそのまま前面同士が密着するように抱き寄せられる。
「あっ…ちょ、近い…」
「ん〜?」
密着してることで感じる体温と言葉通り目と鼻の先にある顔によって私の全身が沸騰するように暑くなるのを感じる。
「ばっ、ばかっ…」
「あはっ、マスターの体熱〜い。これじゃあ火傷しちゃうよ〜」
「そんなこと言ってないで早く離れて…!」
両手でシルの肩を押して離れようとするも自分の体が反るだけで一向に離れられない。
「えぇ〜?酷い〜!私とくっつくの嫌になっちゃったの?」
「ちがっ…嫌なんじゃなくて、恥ずかしいんだって前も言ったじゃんっ」
「ふふ、分かってるよ」
「じゃあ何でこんなくっ付くの」
「恥ずかしがってるマスターが最高に可愛いから」
「おばかっ!」
その言葉と同時にシルの頭を軽くはたく。何故かシルのテンションが可笑しいのかいつもより押せ押せでくるんだけど。そんな理由をキリッとしながら言うんじゃありません。
「シル、落ち着こ?」
「寧ろマスターが落ち着いた方が良いと思うけど」
「それはそうだけどっ…ほ、ほら。シルが疲れるでしょ?」
「これぐらいじゃ疲れないよ?」
「…嫌々やってるでしょ?」
「好きだからやってるよ?」
「……無理やりやってるでしょ?」
「嫌じゃないんでしょ?」
「………」
何とか離して貰うための言い訳を必死に考えるけどどれもことごとく正論によって打ち負かされる。黙り込んだ私にシルは笑いながら顔を近付けてくる。
「マスター」
「な、何?」
「ん」
「なっ?!」
何をするのかと思ったら私のおでこにちゅーをしてきた。何で?本当に何で?!
「何してるのっ?!」
「え、キスだけど」
「そんなことは分かってるよ!ち、ちゅーした理由を聞いてるの!」
「マスターはちゅーって言うんだ、可愛いね」
「そこじゃなくてっ」
的外れな答えを出してくるシルを問い詰めようとしたら手で口を塞がれた。
「んむっ」
「ほらマスター、そんなに大きい声出したらバレちゃうよ?」
「んんっ!」
そうだった。すっかり忘れてたけどここはまだ冒険者ギルドの中。位置的にバレにくいとは言え少し離れた所や柱の向こう側には人が居る。その人達にこんなことをしてる所を見られたら恥ずかしさで倒れる自信がある。
取り敢えずシルの言う通りにする為に首を縦に振ると口から手を離してくれた。
「ぷはっ…」
「分かった?」
「わ、分かったけど…」
抗議する意図を持ってジト目でシルを見つめる。そうしても何故かシルは微笑むばかり。私、悔しいです。どうやったらシルに勝てるんだろう…勝ち負け競うものじゃないんだろうけど、やられっぱなしは嫌だなぁ。
「結局何で私のおでこにちy…キスしてきたの?」
「ちゅーで良いんだよ?」
「何か子どもっぽいって思われてそうだし、恥ずかしくなってきたからヤダ」
「そのリアクションしてる時点でもう遅いよ?」
「嘘でしょ…?」
「あはは…まあキスした理由はそんなに無いよ」
「な、無いの?」
「したくなったからしただけだね」
「ふむ…」
シルはそういう子だってなんとなく分かってたけど、まさかここまでとは…
「マスターは嫌だった?」
シルに言われたからふと考えてみる。シルと肌を触れ合うこと自体は全く問題無いね、なんなら好きなまである。シルとちゅーをすること自体にも嫌悪感は…無い。寧ろ…いや、ここはあんまり関係無いから置いておこう。
結局私の中では嫌じゃない、っていう結論になったは良いんだけど…言うの恥ずかしくない?態々口にしてシルに伝えないといけないと思うと既に恥ずかしさでおかしくなりそう。どうしよう…
「あれ、マスター?」
「…なんでしょう」
「何で敬語…?まあ良いけど、結局私にキスされるのは嫌なの?」
「…い、嫌」
「えっ…?」
シルが驚きと絶望が混ざったような表情をする。
「シルばっかりするのは、嫌」
「え?…あっ!」
意図を理解したのかシルの顔が明るくなる。…え、ええい、勢いでどうにかしよう。
「んっ!」
「…へ?」
やり返しということで今度は私がシルにちゅーをした。ただおでこだと位置的に厳しいから首元に一つ落とす。
「わ、私からもさせてくれるんだったら…良いよ」
「ま、マスター!」
「ちょわっ」
勢いよく抱きつかれて長い椅子の上に倒れる。落ちるかと思ったけどそこは考えてくれたのかな?
っていうか
「何してるの…シル」
「だってぇ…マスターが嬉しいこと言うからぁ…」
「目立つかもしれないから静かにしてって言ったのはシルでしょ…?」
「それはそうだけどぉ〜!」
まったく…ほんとにシルは勢いが強いなぁ。ま、なんやかんや嬉しいって思ってる私も負けかな。
「取り敢えず落ちちゃうかもだから起こしてくれる?」
「ごめんねマスター…よいしょっと」
謝りながら私の上体を起こしてくれる。一瞬だけ腹筋の要領で起きようとしたら、全然無理だったからほんとに私は非力なんだなとしみじみ実感する。
「ねえねえマスター、これからは普通にキスしても良い?」
「なんてこと聞いてるの…」
「だって嫌じゃなかったんでしょ?」
「まあ、そうだね」
「じゃあ良いって事だよね?ね?」
凄い勢いで頼み込んでくるシルに思わず苦笑いしてしまう。
「…良いよ」
「やったぁ〜!」
吃驚するぐらいの喜び具合に私も押しに弱いな、と思った。
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評価もして頂けると嬉しいです。




