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20/23

#20 次の街に行くのですが

こんにちは、COCOAです。

折角の休日が梅雨で重たい空気となってますが、私のようなインドア派には関係ないですね。

皆さんは休日どう過ごしますか?

「まあマスターを弄る話は一旦置いといて」

「ずっと置いといて欲しいねそれは」

「これからどうするの?」

「ん〜…冒険者ランクがBランクに上がったから、もう次の街のルミネに向かおうかな」

「ルミネに行ってダンジョンの依頼をやるの?」

「まだダンジョンについては詳しく知らないから一旦ダンジョンについてのあれこれを調べたいかな」

「なるほど…次の街ってどの方角何だろうね」

「確かに、ちょっと聞いてくるね」

シルの膝の上からひょいっと降りて受付の人のところへ向かう。

「すみません、ルミネまでってどう行けば良いですか?」

「ルミネですか?それでしたら…この地図通りに行けば着きますので、是非この地図をお使いください」

「あ、ありがとうございます」

「いえいえ、お気を付けて向かってくださいね」

「はい、分かりました。ありがとうございます」

お礼を言ってからシルの元へ戻ってまた膝の上に乗る。

「貰ってきたよ」

「ありがとうマスター!どれどれ〜…」

一緒に貰った地図を見てみる。どうやらこの地図を見るに、北の山脈に開通しているトンネルがあるらしく、そこを通って行けばルミネに行くことが出来るみたい。道は分かりやすくて助かるんだけど単純に距離が遠いね。

「どうやって移動するの?」

「ルミネに行ったらダンジョンの依頼をやるつもりだから、休憩がてらゆっくり歩いて行こっか」

「分かった!」

この後の動きを決めた私達は冒険者ギルドから出て歩き出した。

「にしてもこの街は結構お世話になったよね」

「確かにそうだね」

「ご飯食べたり洋服を買ったり、お風呂にも入ったし」

「思ったより満喫してるね」

「まあ…マスターがずっと依頼ばっかりしてると疲れちゃうだろうしそれで良かったと思うけどね」

「あはは…急ぐ必要は無いからね」

「こんなマイペースなのに戦う時だけ人が変わったように動くんだから…」

「そりゃそうでしょ…戦ってる時までこんなゆるゆるで居たら勝てないよ」

「それはそう」

「でしょ?…あ、ほら。あそこの屋台、前にフルーツサンド買ったところだよ」

「あ、ほんとだ!また買っても良い?」

「良いよ、じゃあ2人で買いに行こっか」

「うん!」

2人してとてとて歩いてくと

「すみません、フルーツサンドを2つお願いします」

「はいよ!って前の嬢ちゃん達じゃねぇか」

「よく分かりましたね」

「そりゃそうだ、大切なお客さんだからな!」

「ふふ、ありがとうございます」

「今回はどうしたんだ?」

「私達、次の街のルミネに行こうと思いまして…それで最後にもう一度買おうと」

「なんだ!もう行っちまうのか!」

「はい、少し寂しくなりますね。結構この街にはお世話になりましたから」

「そうだなぁ…因みにルミネで何するつもりなんだ?」

「ダンジョンの依頼をやってみたいなと思ってまして」

「ダンジョンってことは…嬢ちゃん達Bランク以上なのか?」

「そうですね、取り敢えずBランクまでは上げました」

「はっはっは!思ったより強いじゃねぇか!」

「そうですかね?」

「見た目からしたら想像もつかんよ。っと待たせたな。フルーツサンド2つで1200G(ゴールド)だ」

「はい、これでお願いします」

画面を操作して支払いを済ませる。

「うし、ピッタリだな。ルミネでも頑張れよ!」

「ありがとうございます」

2つのフルーツサンドを受け取ると、手を振ってくれるおじさんに私達も手を振ってから再び歩き始める。

「良い人だったね」

「そうだね!私達のこと覚えててくれたし!」

「あ、そうだ。忘れないうちに…はい」

袋から取り出したフルーツサンドを1つシルに渡す。

「ありがとうマスター!ここのフルーツサンド美味しかったんだよね」

そう言いながら早速食べ始めるシル。

「ん〜!やっぱり美味しい!」

シルがパクっと1口食べるとすぐさまそんな感想を漏らす。

「じゃあ私も食べよっかな」

シルが食べ始めたので私も袋からフルーツサンドを取り出して食べ始める。うん、美味しい。こんなに美味しくて結構大きいのに1つ600G(ゴールド)って安いと思う。

「ん、もうそろそろ街の外にでるね」

目線を正面に向けるともうザリオスの出入口が見えていた。

「北の山脈まではぼちぼちあるしのんびり行こ」

「うん!」

美味しそうにフルーツサンドを食べるシルを見ながら出入口を通る。

「あ、シル。口の周りにクリームついてるよ」

「んぅ?」

「ちょっとそのままで居て」

シルの口周りに付いたクリームを指で取る。

「あ、ありがとうマスター…」

少し顔が赤くなったシルがお礼を伝えてきた。

「どういたしまして、ちなみにどうする?」

「?」

「このクリーム私が食べよっか?パンケーキの時みたいに」

そう、ザリオスのお店で食べたパンケーキの時も同じような事になっていた。その時は私が取ったクリームをそのまま食べたらしるが恥ずかしがっていたので今回はどうするか聞いてみることにした。

「…他の場合はどうなるの?」

「シルが食べる」

「わ、私が?!」

「うん、別に私が食べても良いけど」

「う、うぅ…」

クリームを指で取った時より顔を赤くしてしまったシルに対して私は悩み始めた。どうしようかな、私がまた食べても同じ反応が返ってくるだけだろうし…あ、そうだ。

ふとあることを思いついた私は少し小悪魔的な笑みを浮かべると

「ねぇシル」

「な、何?」

「はい、あ〜ん」

「?!」

「ふふ、どうしたの?」

「た、食べろってこと…?」

「他にある?」

「うっ…」

私はシルに食べさせることにした。その方が反応が良さs…可愛いシルが見れると思ったからね。ほらそんなシルは顔を真っ赤にして困ってる。ふふ、可愛い。

「…食べないの?」

「ちょ、ちょっとたげ待って…」

そう言ってシルは深呼吸をし始めた。そんなに緊張する?とは思うけどシルなりの感性なんだろう。

「ふぅ〜…よし」

「ん、準備出来た?」

「う、うん」

「じゃあ改めて…あ〜ん」

クリームの付いた指をシルの口元に持っていくと

「あ…あ〜ん…」

恥ずかしそうにしながらも私の指をパクっと咥えた。小動物に餌をあげてるみたいで癒される。必死に指を咥えるシルが可愛いすぎて思わず空いてる手で頭を撫で始める。

「ん、んぅ〜…」

「シルは気にしないで食べて?」

頭を撫で続ける。…さて、ふと思ったなんだけどまだクリームを食べられて無いのかな。食べたら指を口から離すと思うんだけど…未だに指先にシルの舌の感触が伝わってくる。ちょっと擽ったいかも。

「シル?」

「?」

「…いつまで私の指を舐めるつもりなの?」

「?………?!」

まだ指を咥えてる事にふと気付いたのかバッと指から少し離れる。頭を撫でていた手も離れる。

「ご、ごめんマスター!頭の中がこんがらかっちゃって何も考えれなくなって…」

「なるほどね、脳の回路が止まってたのね」

「そ、そう…」

手のひらを顔に当ててシルは顔を隠そうとする。ほんとに可愛いね。離れたシルに近づいてまた頭を撫で始める。

「ほら…落ち着いて?」

「うん…」

恥ずかしそうにしているシルを何とか落ち着かせようと頑張る。頭を撫でたおかげが思ったより早くシルが普段通りになった。いや、まだちょっと顔が赤いけど。

「ご、ごめんねマスター…」

「気にしなくて良いよ?」

現に何に対して謝ってるのか分からないし。

「…と、取り敢えず歩こ?」

「そうだね、ルミネまではまだまだあるからね」

「うん…」

平常に戻ってきたシルの手を握ってまたルミネに向かって歩き出した。握った手は少し温かく感じる。

「ほ〜ら、いつまで恥ずかしがってるの?」

「だ、だって〜…」

歩き出したは良いもののさっきの出来事がぶり返してきたのか、シルが繋いでない方の手で自分の顔を抑える。

「そもそも何でそんな恥ずかしいのに食べたの?」

「そ、それは反射的にというか…衝動的にというか…」

「…なるほど?」

「思わず食べちゃって、食べた自分に驚いて動けなくなっちゃった…」

「後から恥ずかしくなったのね」

「そう…」

思わず食べちゃうのがちょっとよく分からないけど…衝動的に動いちゃったのは分かった。覆水盆に返らずってところかな。その節あるよね、シルは。

そうして成る可くその話題に触れないようにして歩き続けた私達は程なくして麓の方に人通りのある通りを見つけた。

「あっちの方かな?地図上でもそうなってるし人が結構居るし」

「う〜ん…そうだね、そっちだと思う!」

調子を戻してきたシルも同じ考えらしいので私達は道の方に出ると道沿いに歩き出す。遠くの方にトンネルが見えるからもうそろそろだね。

そういえばトンネルの中ってどうなってるんだろう。現実と同じようなトンネルなのかな?車は無いから徒歩だろうし…どっちかというと水中トンネルみたいに大勢の人が行き交う感じかも。

「ん、どうやら此処で合ってるみたいだね」

「そうだね〜」

トンネルの出入口には警備員らしき人と案内人らしき人が居る。列になってるので私達も並ぶ、けど結構進みが早くて直ぐに私達の順番が来た。

「こんにちは」

「こんにちは〜、ルミネへ行けるこのトンネルは通行料があります」

「あ、そうなんですね」

「はい、1人300G(ゴールド)です」

思ったよりも安かった。画面を操作して私とシルの2人分である600G(ゴールド)を払う。

「ありがとうございます〜、それではお通りください」

「ありがとうございます」

何か起こるわけでもなく通ることが出来た。

「思ったより明るいね」

「うん!色んな所に電灯があるから結構見通し良いかも」

「開通費とか維持費を考えると通行料無いと確かに厳しいかもね」

「でもあんなに安くて大丈夫なんだね」

「そこは利用する人が多いからじゃない?」

「なるほど〜」

そんな会話をしながらトンネルの中を進んでいく。人が多いとはいえトンネル自体が大きいので渋滞になることもなく進むことが出来る。シルとしりとりや山手線ゲームをしながら歩くこと2時間弱。トンネルの出口が近付いてきたのか少し明るくなってきた。

「結構歩いたね!」

「山脈のトンネルを通るならこれぐらい掛かっちゃうよね」

「これなら山脈の上の方を飛んだ方が早かったんじゃない?」

「でもその場合だと今シルが食べてるコロッケは買えなかったよ?」

「確かに…」

トンネルの中には屋台があったりお店があったりと思ったよりも栄えていた。その屋台でコロッケを買って食べ歩きしたりしていたので結構楽しく過ごすことが出来た。にしてもゲーム内だからかこれだけ歩き続けても疲れを感じないのはシンプルに凄いと思う。移動どうこう言うなら黒雷の神子を使ったら良いって話になっちゃうけど、それだと流石に面白くないからね。

「あ、そろそろ出れるよ!」

「そうだね」

「ルミネが出迎えてくれるのかな?」

「それならコロッケ食べながらだと失礼かもね」

「えぇ!許して欲しいなぁ〜…」

「ふふ、それは一旦置いとこ?もう出るから」

「うん!」

なんて緩い会話をしながらトンネルから出ると一気に風を感じる。そして眼下に広がっていたのは

「わぁ〜!名前にある通り大っきいね!」

「これは巨大都市の名に恥じない大きさだね」

ザリオスより数倍は広いであろう街と多くの人が行き交う大通りの姿だった。

誤字脱字、文の違和感等ありましたら遠慮なくお教え頂けると幸いです。

評価もして頂けると嬉しいです。

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