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#18 冒険者ランクを上げたいのですが

こんにちは、COCOAです。

誤字等の報告ありがとうございます、非常に助かっております。

現段階で見つかっている誤字等に関しましては修正しましたので、引き続きこの作品をよろしくお願いします。

北の山脈に向かっている最中、シルとライトニングドラゴンの話になった。

「そう言えばライトニングドラゴンってどれくらいの大きさなんだろうね?」

「ん〜…私と同じくらい…?」

「だとしたら結構大きいよね、近距離の攻撃も強そうな感じがする」

「でもドラゴンの中では弱い方なんでしょ?」

「って説明には書いてあったけど…」

「じゃあ私より小さいかな?」

「遠距離攻撃が主体なんだろうしその可能性が高いかもね」

「な〜んだ、じゃあそんなに大変じゃなさそうだね」

「まあ薄々私もそう思ってるけど、油断して負けたら大惨事だし一応気を引き締めていこ」

「分かった!というかマスターのスキルの方が強いんじゃない?ライトニングドラゴンよりも」

「そんなことある?」

「だって向こうは普通の雷だよ?」

「まあ名前からしてそうなんだろうけど…」

「マスターは黒雷じゃん」

「これで私のスキルの方が強かったら可哀想なまであるんだけど…最初は一心同体の方だけ使って戦ってみようかな」

「小手調べみたいな?」

「そうそう、Cランクの冒険者で受けられるような依頼なんだし多分大丈夫なはず…」

「いざと言う時は私が守るから安心して?」

「うん、頼りにしてる」

最初は一心同体を使ってシルのスキルだけで戦ってみることにする。ドラゴン相手にする時にいい基準になりそうだし、スキルの練習もしたいからね。これで倒されたら笑えないけど…

「あそこが北の山脈だよね」

「そうだね、またワイバーンが群がってる」

山の斜面がはっきり分かるくらいの距離感になってくるとワイバーンも見えてきた。また前みたいに沢山居るけど今日はワイバーン目的じゃないから適当に掻い潜って山頂へ向かう。

「山頂となるとやっぱり寒いのかな…?」

「見た感じそんなに標高が高そうな感じはしないけど、もしかしたら寒いかもね」

「寒い方がまだマシとはいえ長時間は居たくないなぁ…ライトニングドラゴンの強さがある程度分かったらなるべく早く倒そうかな」

「寒いからって理由でパパっと倒されるライトニングドラゴンも可哀想だけどね」

「仕方がないよ、一種のコラテラルダメージだと思ってもらうしかないね」

「あはは…」

「ライトニングドラゴンは私の冒険者ランク上げの犠牲です」

「そっかぁ…私も戦った方が良い?」

「ん〜ん、取り敢えずは見てて欲しいな」

「分かった!直ぐにマスターの所に向かう準備だけはしておくね」

「うん、もしもの時はお願いね」

「は〜い!」

ある程度のライトニングドラゴンとの戦い方に関する考えを共有したところでもうすぐ山頂となる。少し肌寒いけど雪が降るほどじゃないみたい。天候が晴れなのも関係してるのかな。時々ライトニングドラゴンが暴れてる音が聞こえてくるから居場所が分かりやすくて助かるね。あ、見えてきた。山頂付近でドラゴンっぽいのはあのモンスターしか居ないし、あのドラゴンの上だけ黒い雲が立ち込めてるから間違い無さそう。

「それじゃあシル、行ってくるね」

「うん、念の為に準備はしておくけど気を付けてね」

「ありがと」

そう言うと私は一心同体を使って背中から翼を生やす。飛翔を使ってライトニングドラゴンの元へひとっ飛びする。私を見つけたのか此方の方を向いて咆哮する。

「グオォォォォォ!」

ライトニングドラゴンの上の雲はより色濃くなって量が増える。

よし、そろそろ臨戦態勢に入ったみたいだし攻撃を仕掛けていくよ。様子見の威圧からブレスを放つ。ライトニングドラゴンは1秒に満たないくらいの間硬直した。が、ブレスは避けられた。流石に当たらないか。空がゴロゴロ鳴ってるので向こうも攻撃してきそうだね。

「おわっ、とと…」

そんなことを考えてる隙に雷が降ってきた。見た感じ純粋な雷らしく、翼を使って体を捻って避ける。操れるだけあってかなり精度良く私の居る所に降らせてくるから、そんな雷を避けていきながら全力で殴ってみる。

「おりゃっ」

雷を避けながらだから顔は殴れなかったけど、横腹を殴れた。ドゴンと大きな音を立てながら殴ったけど少しよろめくくらいであんまりダメージにはなってなさそう。

「いや、ドラゴンを1発殴るだけでよろめかせる威力って考えたら普通に強いよね」

もう少し物理攻撃を続けてみようかな。

そんな思惑を持ってライトニングドラゴンを殴りと蹴りで攻撃していく。10分くらい続けてライトニングドラゴンの様子を見るに、ダメージ自体は入ってるみたいだけど削りきるにはあまりにも時間が掛かるとみた。

「まあ、単純な格闘だけでここまでダメージを与えられるなら十分かな」

これ以上は埒が明かなさそうなので、黒雷の神子を使う。

私の頭上にどす黒い雲が一点に集まってくるとライトニングドラゴンが降らせる雷よりも大きい音で黒雷が轟く。その黒雷を受けた私は光の速さで顔に近づくと

「せいっ!」

黒雷を纏った腕で思い切り殴り飛ばす。

するとライトニングドラゴンはたたらを踏んで大きく仰け反る。どうやらこれなら結構効くみたい。相手に余裕を持たせないように連続で攻撃していく。こうやって動きながら攻撃するの結構楽しいな〜。

「よっ…えいっ…そりゃっ!」

掛け声と共に7、8回くらい素手で攻撃すると

「グォァァァァァ……!!」

叫び声とも思えるような咆哮を発すると後ろに力無く倒れてやがて討伐判定となった。するとシルが物凄いスピードで私に突っ込んでくる。

「マスター!!」

「わぁ!」

勢いを受け止めきれずにシルに押し倒される形となった。

「ずっと見てたよ!すっごく強いじゃんマスター!」

「えへへ、そうかな?」

「そうだよ!目で追うのも一苦労だったもん!」

「これで少しはシルにとって誇れるマスターに近付けたかな?」

「マスターは最初から私が誇れる最高のマスターだよぉ!」

胸元に顔を押し付けてくる。止めよ?私の胸は全然無いんだから。ってそんなこと考えてる場合じゃないか。

「いやぁ…私ってへなちょこだったからさ…」

「そりゃ素手だったらそうかもしれないけど」

自分から言っておいてなんだけど否定出来ないの悲しくなるね。

「マスターの魅力はそこだけじゃないんだから!」

「そっか、ありがとね」

「良いの!これぐらい」

したくなったからシルの頭を撫でる。さっきまでの戦ってた雰囲気はどこに行ったんだろう、とツッコミたくなるこの展開に私は安心感を覚えていた。結局のところシルが傍に居たっていうことが1番私にとって心の支えになってたみたい。そう考えると私はもうシルが居ないと駄目みたいだね。

話は変わって確認し忘れてたけどライトニングドラゴンの素材アイテムがドロップしてることは通知で今確認出来た。レベルも上がってるみたいだけど今は良いかな。ステータスの振り分けが悩みどころだから。取り敢えず冒険者ギルドに戻って依頼達成をしたい、んだけど…

「ん〜!」

私の胸元で何やら楽しそうに声を出しているシルをどうしようかな。

「ねえシル?」

「何〜?」

「ザリオスに戻ろ?」

「ん〜…もうちょっとだけ!」

「分かった、あとちょっとね」

どうやらまだ満足してないみたいです。こうなったシルはてこでも動かないから諦めて受け入れることにする。まあいっか。依頼の期間に余裕はあるし、私もこの体勢が結構好きだから。自分より身長が高い人を撫でられる状態って良いよね。何か凄く優越感がある。

「何か今変なこと考えたでしょ」

ジト目のシルが私に目を向けてくる。何故バレたし。エスパーでも出来るのかな?

「そんなことないよ」

「本当に?」

「うん」

「ふ〜ん…まあいっか。今はマスターを満喫しよ」

「あ、はい」

どうやら助かったらしいけど、この体勢になってないといけない時間が増えたような気がする。気の所為だといいけど。

「マスター戦ってる時はカッコイイのに何で普段はこんなに可愛いんだろう…」

「えぇ…唐突だね」

「ふと思った事を口にしただけだよ」

「そうなんだ。可愛いはまだしも私って戦ってる時は格好良いんだね?」

「うん!ライトニングドラゴンを圧倒してたマスターすっごくカッコよかったよ!」

「えへへ」

やっぱりシルに褒められると嬉しいなぁ。どうしよう、口角が上がってるのが自分でも分かっちゃう。

「でも褒められて素直に喜んじゃうマスターは可愛いね」

「むぅ」

「ほら、マスターが可愛いってことはもう諦めて認めて?」

「まあ、シルに凄く言われてきてるから最低限の可愛さはあるのかなって思い始めたけどさ…」

「ほんと?良い傾向だね」

「良いようにされてる気がするけど…まあいいや」

「ふふ」

怪しげな笑い方をしてドヤ顔を見せてくるシル。やっぱりシルの方が可愛いじゃん。思わず抱きしめる力を強くする。そうしたらシルも反応してくれて抱きつかれる力が強くなったと感じる。この時間が何より安心出来て嬉しい。ずっとこうしてたいなぁ…ってダメダメ。するのは良いけど此処はまだ敵モンスターが居る可能性がある場所だからせめてザリオスに戻ってからにしないと。

「そろそろ帰ろ?」

「ん、分かった」

どうやら一旦は満足してくれたみたい。それじゃあ今のうちに早くザリオスに帰ろう。

あ、そうだ試してみたかったことがあるんだった。

「1個実験してみたい事があるんだけど良い?」

「?…良いよ!」

疑問を持ちながらも私を信用して頷いてくれるシル。

「じゃあ私が立ってる状態でシルが抱き着いてくれる?」

「前?後ろ?」

「この場合に限っては後ろの方が良いかな」

「分かった!」

言われた通り後ろに抱き着いてくれる。普段抱きついてくれる分には顔が見える前の方が良いんだけど、黒雷の神子を使って移動する時は視界が広く取れて無いと事故が起こる可能性があるから後ろから抱きつかれた方が良いと思うんだよね。

「それじゃあ黒雷の神子使うからね?」

「うん」

伝えてから黒雷の神子を使う。轟音と共に私に黒雷が降ると黒雷を纏い始める。

「じゃあしっかり捕まっててね、動くから」

「分かった!」

私に抱きつく力が強くなったことを認識すると黒雷の神子を使って移動をしてみる。ザリオスまで体感10秒くらいで着いた。流石に本当に光の速さで移動したら目が追いつけないからそこは抑えてあるのかな。

「はい、もう大丈夫だよ」

「え、あ、もうザリオスに着いてる?!」

「ふふ、驚いたでしょ」

「そりゃそうだよ!行きの時は結構時間かかってたのに、帰りは直ぐに着いちゃうんだから!」

「捕まっててくれたらシルも一緒に移動できるんじゃないかと思ったから試してみた」

「へぇ〜…よく思いついたね?」

「まあそこは何となく思いついただけだよ」

「ふむふむ…」

感心するような納得するような頷きをするシル。とまあザリオスには直ぐに着く事が出来たから早速冒険者ギルドに向かって歩き始める。

「街中じゃ使わないんだね?」

「流石にコントロール出来る自信が無いよ…」

「あ、難しいんだ」

「それなりにはね」

「へぇ〜」

直線とかだったら考えること少なくて楽なんだけどね…ここまで細かく道があると流石に難しい。

黒雷の神子について色々話しながら歩いていると冒険者ギルドに到着した。

「今回の依頼でランクBになるかな?」

「どうだろう…ワイバーンは数え切れないほど狩ったし、今回はCランクの中ではトップレベルにランク上げに強い依頼だから可能性はあるかもね」

「これで上がったら良いね!」

「ふふ、そうだね」

そんな期待を抱きながら私とシルは手を繋いで冒険者ギルドに入っていった。

誤字脱字、文の違和感等ありましたら遠慮なくお教え頂けると幸いです。

評価もして頂けると嬉しいです。

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