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#1 初めてのVRMMOなのですが

こんにちは皆さん、COCOAです。

初投稿どころか初小説になりますがよろしくお願いします。

桜が咲いて新たな出会いを感じる季節になった頃、私はヘッドギアを被っていた。

ここで軽く自己紹介をしたいと思う。

私こと幻青 錨(げんそう いかり)はこの春に女子高生になった15歳なんだけど、神のいたずらか今になっても小学生に間違われてしまう。

それもそう、驚くことに身長が142cmなのだ。そのせいでと言うべきなのかおかげと言うべきなのかは何とも言えないけど、低身長ならではの出来事が色々あるんだけど…

おっと、話が逸れてしまった。私の悩みはさておいて、髪は真っ黒。まあ日本人だし当然だけど。長さはセミロングくらいかな。よく童顔って言われるんだけど絶対に身長のせいでそう見えてるだけだと思うんだよね。絶対。

それっぽく自己紹介した所で今の状況を説明しよう。今日は高校の入学式だったのだけれど入学初日に何かする訳でもなく午前中で学校は終わってしまった。家に帰ってきてすることが無くなった私はふとあることを思い出した。

「そう言えば、中学卒業して直ぐに買ったあれが…」

何のきっかけも無く思い出した物を探し始め、それはすぐに見つかった。

「やろうと思ってたんだけど、すっかり忘れちゃってたや…」

手に取ったのは頭部に装着するハードといかにも剣と魔法を使って戦ってそうなイラストが描かれているパッケージ。名を【Fate of Fantasy】、通称FoF(フォフ)。ゲームが好きな友達が凄い推してくるものだからあまりの勢いに買ってしまった代物である。推されて買ったとはいえ、私自身も少し興味があったからそう躊躇することも無く買った為いざやろうとしたのだけど入学の為の書類に不備があったとかなんとかでバタバタして買った事自体を忘れていたのだ。いや、だとしても1ヶ月近く忘れてたのは何でだろう…認知症の3文字を頭を振って思考の外に弾き出す。それはまだ早い、あまりにも。

なんて言い訳をしながら目の前にある物を見る。入学式が午前中で終わってしまった為私は現在進行形で手持ち無沙汰、その上興味のあるゲームが今手元に。

「まあ、ここで思い出したのも何かの因果かな」

そう言ってパッケージを剥いてヘッドギアの電源を入れてからカセットを差し込む。ベッドに横たわって装着するとゲームスタートだ。






"これよりキャラクター設定に移ります"

機械音から出されるその声に耳を傾けていると白い空間が目の前に広がる。

「え〜…っと、設定する部分は…名前、見た目、職業、ステータス…か」

一通り目の前に表示される画面を見てから早速決めていく。

「名前…本名じゃない方が良いだろうし……う〜ん…」

名前から考えようかな…錨……よし。

「アンカー…っと。それで見た目は…あ、色とかは弄れるけど大きさとかは弄れないんだ…残念」

高身長になりたかったのだけど…実際の操作感とかの問題なのかな、弄れないようになってる。

「まあ、ちょっとだけ変えようかな」

そう言って画面を操作して目の色を青にする。

「あと弄れるところは髪とかだけど…まあちょっと色だけ変えて後は変えないかな〜…」

髪色を少しだけ青みがかった白にして見た目の設定を完了する。

「職業は…色々あるけど、まあこれだよね」

そう言って迷わず本が描かれた欄を選ぶ。

「ふふ、召喚士…色んな事が出来そうな上に可愛い子が居そうだし…」

そう、私は大の可愛い物好きなのである。このゲームに引かれた理由の大部分を占めてると言っても過言では無い…かも。

「最後にステータスか〜」

ステータスに使える数値は丁度100でステータスはATK、DEF、AGI、DEX、INT、LUKの6つ。順に攻撃力、防御力、速度、器用さ、賢さ、運なのだけど…召喚士やるならINTとLUK、あと少しAGIとかなのかな。う〜ん、ゲームをあまりやらなかったせいかよく分からないや。まあ今はこれでいこう。

「INT、LUKに40ずつ、AGIに20…っと」

レベル上がる事に割り振れるステータスは貰えるし、困ったら振ってく感じにしとく。

「これで設定は完了かな、それじゃあスタートっ」

そう言って設定画面の1番下にあるSTARTボタンを押すと視界が一瞬で白に染まった。






「おぉ、凄い現実感のある視界だ」

何処か他人事の様な独り言を呟くほど視線の先には圧巻の景色が映っていた。丘の上にある街なのか少し遠くを見ると現実と変わらない様な街並みが眼下に広がっている。立っている大地の感触も、ささやかに感じる空気の流れも、聞こえてくる人々の声も、何ら現実と変わらない程のクオリティを出すこのゲーム(FoF)に暫しの感動を与える。

「今のゲームはここまで進んでるんだ…凄いなぁ……っと、取り敢えず【ステータス】」

そう言って表示されるのはつい先程に自分で振り分けた6つのステータスと職業、その他諸々が表示される。その中で自分が唯一迷わず選んだ職業の欄を開いて説明を見てみる。

「なになに〜?【召喚士:モンスター等を召喚して戦う職業。レベルが上がる事に召喚出来るモンスターが増える。テイムしたモンスターでも戦う事が可能。自分の指揮下にあるモンスターが死んだ場合、24時間後に復活する。】…なるほど、取り敢えず折角仲間になった子たちが死んだら二度と会えないなんて事は無さげか…」

今更だけど召喚士自体はそんなに人気のある職業じゃないみたい。ゲーマーの方々は自分で戦う方が楽しかったり、レベルが低いと召喚出来る数が少ない上に召喚したモンスターが死んだら24時間居ない為序盤が大変らしい。まあ私はそんなにヘビーにやる予定は無いし、可愛い子たちと戦いたいからやるんだけど。

「何はともあれまずは散策だよね」

そう言って正面にある門をくぐって街に入る。始まりの街【リザーブ】に入ると自分の頭上のHPが表記されなくなる。どうやら非戦闘エリアみたい。

「最初に入る街なだけあって色々ある〜、武器屋に雑貨屋、ご飯屋さんもあるんだ」

ゲーム内で食べたらどんな感じなんだろう。カロリーは取らないから色々食べられそうだけどいざ現実に戻ったらお腹が逆に空いちゃいそう。そんな事を考えながらリザーブを練り歩いていると

「ん、テイム屋?…なんだろうここ」

召喚士に関係ありそうなお店を見つけた為なんとなく入ってみる。すると身長が私よりだいぶ高いお姉さんが居た。

「いらっしゃい、ここはテイム屋。色んなモンスターの卵を売ってるわ」

どうやらCPUのようで、お姉さんの頭上には【店主 ミクリ】と出ている。なるほど、召喚士がテイムして共に戦うモンスターが産まれてくる卵を此処で買えるみたい。けどお金はそんなに無い、また今度ここに来よう、そう思ってお店から出ていこうとしたその時に

「あら?初めての子じゃない。それならここにある卵を1つだけタダで貰えるわよ」

と言われた。どうやら此処は初心者召喚士用のお店のようだ。道理で人が居ない訳だ、それとなく納得してご厚意に甘えて貰う卵を見ていると1番隅によく分からない卵が置いてあった。

「あの〜、すみません。この【不思議な卵】って何ですか?」

他の卵には産まれてくるモンスターの種類が名前に入っているのにこの卵だけモンスターの種類が分からないのだ。特に深い理由もなく店主のミクリさんに聞いてみると

「その卵はね、何の種類のモンスターが出てくるか分からない卵なのよ。」

率直な感想を言わせてもらおう。

「ガチャかなにかですか」

卵として存在している時点で種類が決まっていそうな物だと言うのに、卵のガチャとは…

「でもその卵、あんまり売れないのよねぇ…」

それはそうだろう。最序盤で召喚出来るモンスターは1体。その唯一の枠をガチャでやる人はそうそう居ないだろう。だけど私はその卵に何処か惹かれた。

「店主さん、この不思議な卵を貰います」

「あら、良いの?言ったらあれだけど、欲しいモンスターが出てくるとは限らないのよ?」

「良いんです、それでも」

「そう…なら止める必要も無いわね。じゃあ不思議な卵ね、大事に育ててあげてちょうだい!」

ミクリがそう笑顔を浮かべながら言うと、私の目の前に突然通知が出る。

「おわっ、これでもう貰えるんだ…」

【不思議な卵を入手しました】

その通知の確認をすると持ち物の中に不思議な卵が入っていた。

「そういえば、卵ってどうやったらモンスターが出てくるんです?」

「外に出して、1時間くらい人肌で暖めてあげればいいわ」

「分かりました、ありがとうございます」

そう言ってお辞儀をしてお店から出ていく。

「またいらっしゃいね〜」

背中で店主さんの声を受け止めながら外に出る。

何故私が不思議な卵を選んだか、それは単純である。可愛い子が産まれてくる卵が無かったからである。最序盤だから仕方がないとは思うが流石に猪のようなモンスターを従えたりでっかいコウモリみたいなモンスターを従えるのは些か不満である。ならガチャで可愛い子が出てくる可能性に賭けたのだ。

まぁ、それでも出てくるとは限らないのだけど…






さて人肌で暖めるのに最適な場所は何処だろう。

「流石に街で暖めてモンスターが出てきたら人に迷惑だろうし、最初の丘で良っか」

そう言って来た道を戻って行く。門を通り抜け陽のよく当たる丘に戻ってくると持ち物から不思議な卵を取り出す。

「思ったより大っきいけど、モンスターが出てくるなら当たり前か…」

草原の上に座り込んで足で卵を挟む。「人肌で暖める、という判定がどこからなのか分からないけど、接触してれば大丈夫でしょ。」

そう言って卵を暖め始める。

「1時間かぁ〜…暇だなぁ…」

1時間、それはただ待つだけにしてはあまりにも長かった。

「草原でこんなに陽に当たってたら眠くなっちゃうよ…でも、此処は非戦闘エリアじゃないし、起きてないと…」

錨はリザーブの中だけを非戦闘エリアだと思っているらしいが、今居る場所も非戦闘エリアである。普通に考えて最初に出てくる場所が戦闘エリアだったら大分問題なのだが、どうやら抜け落ちているようだ。

暖かい陽とそよ風によって肩に触れる程度の髪が揺れる。午前中入学式だったからか精神的には少し疲れているらしく、段々とウトウトし始めてしまう。

「ん〜…、起きてないと…でも眠いし……」

少し考えてから

「でも、始まりの街から近いし、人も少ないから…ちょっとだけ寝ちゃお…」

そう言って座っている状態から後ろに倒れて仰向けになる。足で挟んでいた卵を自分の胸元に持ってくる。そこまで重くはないらしい。

「どんな子が仲間になるかな……出来たら、可愛くて強い子だったら…いい、な……」

そう言いながらゆっくりと瞼を閉じて、眠りにつく。

近くを通る人々が微笑ましそうに錨を見る。傍から見たら小学生の女の子が卵を抱えてゆっくり眠っているようにしか見えないからである。






その事がゲーム内掲示板で話題になり始めた頃、錨は身動きが取れないせいか目を覚ます。するとお腹付近に違和感がある事に疑問に思いながら重い瞼を開くと

「あ、起きた!おはようマスター!私を放ったらかしてする昼寝は気持ちよかった?」

瞼を再び閉じたくなるような明るい声と酷く可憐でいて愛らしい銀髪を靡かせるお姉さんが私のお腹に跨っていた。

誤字脱字、文の違和感等ありましたら遠慮なくお教え頂けると幸いです。

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