表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
novelmber まとめ  作者: tei
3/10

ゆらり

 ようやく見つけた嘗ての師は、私の記憶に残る彼とは全く変わり果てていた。

「私はもう、しがない教師でしかないよ。何も期待せんでくれ」

 くたびれた服装、ほつれた毛髪、目元の隈。彼は現役だった頃には浮かべたことのなかった、気の抜けた笑みを見せた。

「では先生、あなたは何も感じなくなったと仰るのですか。この世界の荒廃を、人心の惑乱を目の当たりにしても、心動かぬと?」

 私は彼に訴えかけた。この乱れ切った世の中を今一度整えられるのは、彼しかいない。

 先生は私の訴えをじっと聞いている。

 私にはわかっている。彼の目の奥の、ちらちらと赤く光るものの正体が。

 熾火(おきび)のように燃え続ける熱く輝く炎が、再び薪を()べられるのを待ち続けていたのだということが。

 陽炎がたつ。

お題「熾火」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ