第6話 榊原との決闘
もうダメだ。
そう思った時、何かが俺達を包んだ。
よく見ると水だった。
遠くからボロボロのユナさんが来た。
「良かった。間に合った。」
そう言って倒れ込んだ。
全員一命は取り留めているようだがまだ戦えるのは俺と山田だけだ。
「この雹をよけられるかな?」
そう言って無数の雹を飛ばしてきた。
俺は全て回避し、榊原の懐へ突っ込む。
山田はかわせなかったが、アーマーを着ていたおかげで無傷だ。
「死ねぇ!」
俺は榊原の頭から腹までを斬った。
しかし全く効かない。
山田が叫んだ。
「榊原は再生能力も持っている!気をつけろ!」
そういうことは先に言ってくれよ。
そんな呑気なことを考えていると榊原が刀を振った。
「いいねぇ!面白いねぇ!こんどはこっちの番だぁ!」
「くぅ!」
俺は瞬時にバックステップで距離を取る。
しかしコンマ1秒反応が遅れて、顔を軽く斬られた。
「くっ!痛いな。」
「誰か忘れていないか?」
そう言って山田が飛び出した。
「蜂の巣になっとけやぁ!」
そうして銃を撃った。
「いててて!」
榊原には全弾命中したがあまり効いていない。
「すっかり忘れてたよ。死んどけぇ!」
「ぐはぁ!」
「ぐぅ!」
山田はアーマーの隙間を斬られた。
ついでに俺も斬られた。
まさか俺も斬られると思わなかったから回避が遅れた。
後ろに飛んだのが遅くてまあまあの傷がついた。
俺は倒れ込んだ。
「おもちゃみたいな銃だね。こんなものゴミだろう。」
そう言って榊原は山田の銃を斬った。
紙だったのかと思うくらい綺麗に切っていた。
「君たちの負けだ。死ね。」
刀が振り下ろされた。
もうダメだ。
そう思った時、金属音が響いた。
「誰か忘れていない?」
エリーだった。
「貴様1人で何ができる…何!?力が入らない?」
「私もいるよ。」
ユナさんだった。
「この魔法は力が抜けるものだけど大丈夫?」
エリーの力が上回って榊原の頭部を切断した。
「何故だ。何故戦える?」
ユナさんが答えた。
「そんなの回復魔法に決まってるでしょ。やれ久野ちゃん!」
俺は凄まじい斬撃を繰り出した。
榊原の体はバラバラになった。
「この私が負けるなんて…」
しかしやつは生きている。
その時、発砲音がした。
「お前、心臓は耐えられないだろ。見てたぞ。さっきの斬り合いで心臓の辺りをガードしてたな。」
ヒロの銃撃だった。
「あ、あ、ああああああ!」
断末魔を上げて榊原は倒れた。
「クソが!串刺しにしてやる!」
今度は槍が降ってきた。
しかし俺達はユナさんが張ったバリアで無事だ。
「私の人生って何だったんだろう。虐げられて、復讐に囚われ力を求めて、復讐される。もっと普通に生きたかったよ。」
榊原は槍が刺さって今度こそ完全に息絶えた。
俺は可哀想だと思ったが榊原がやったことは許されることではない。
複雑な感情を抱きながらその場を後にした。