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【完結・旧ver】宇宙人が家にやってきた!  作者: 桜月零歌
第三章 宇宙人と多田家
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第67話 送別会 (後編)


 送別会が始まってからかれこれ三時間が経過し、送別会は終盤を迎えた。バーベキューの台や小皿などは綺麗に片づけられ、今はプレゼント渡しの時間で、ちゅうじんの両手は紙袋でいっぱいになっている。持ちきれないものは、隣にいた多田が持つことに。


「こんな短期間でよくこんな量のプレゼントが用意できたな」


 多田はそう言いながら、ちゅうじんと自分の手首にかかった紙袋を見つめる。

 

「いや~、本当に大変だったよ。みやびさんはお金がないって言いながら、僕に泣きついてきたからね。あ、後でちゃんと請求させてもらうよ」

「本当に大家さんには感謝しかないわ」

 

 いや、金欠にもほどがあるだろ。


 多田はみやびを見ながら思わずツッコもうとするが、何とか口に出さないように留める。すると、ちゅうじんが大家からマイクを受け取った。スイッチは入れてあるようで、そのまま話し始める。


「今日はボクのために送別会に参加してくれてありがとうございました。みんなとはこれでお別れになるけど、ここでのことは一生忘れません! 短い間だったけど、色んな経験をさせてもらって学ぶことがたくさんあって、本当にここに来られて、みんなと出会えて良かったです。本当にありがとうございました!」


 ちゅうじんが言い終えると、拍手に包まれた。ちゅうじんがマイクを大家に預けると、みんなちゅうじんの方へ寄ってきた。中には泣き出す人もチラホラおり、辺りは非常にカオスな状況となっている。多田が一歩引いたところで見守っていると、隣に亜莉朱がやってきた。


「ほら、お兄も行かなくていいん?」

「まだ良いだろ。ラストの見送りの時で十分だ」

「あ、そう。なら、うちは行ってくるな~」


 亜莉朱はそう言うと、ちゅうじんの元へと走っていった。ちゅうじんは亜莉朱に声をかけられると、嬉しそうな表情をして話し出す。

 その様子を見ていると、今度はベンジャミンが多田の方へとやってきた。


「今度はお前か」

「別にいいでしょ。これが終わったら裏山に行くんだよね?」

「ああ、そうだ。でも、これはしばらくは行けそうにないな」


 多田はちゅうじんの方を見ながらそう話すと、ベンジャミンも同意するように頷いた。しばらくは待った方が良いかと思いながら、ベンジャミンと雑談を始める。

 そうして待つこと三十分。ラストは大家の言葉で締めくくられ、送別会は幕を閉じるのだった。

 参加者たちがぽつぽつと帰り始める中、多田はちゅうじんに声をかける。


「よし、それじゃあ行くか」

「そうだな。あ、亜莉朱とベンジャミンも来るか?」

「え、良いん?」


 ちゅうじんがそう提案すると、亜莉朱は驚いた表情をしながら応えた。自分も見送りにいけるとは思っていなかったのだろう。

 

「最後だしな。それにベンジャミンをそのまま実家の方に連れて行ってくれると嬉しいぞ」

「ってな訳だが、どうする?」

「勿論行くに決まってるやろ! 宿題は徹夜で終わらしたら済む話やしな」

「おいおい」


 多田が訊くと、亜莉朱は行く気満々の表情を浮かべてそう言う。亜莉朱も多田たちと共に裏山に行くことが決まったので、夕日が沈む中、一行は裏山へと向かうのだった。


 

◇◆◇◆

 


 無事、裏山へと到着するころにはすっかり日も沈んで真っ暗になっていた。多田と亜莉朱はスマホのライトを照らしながらUFOのある地点に進んでいく。


「裏山があるのは知ってたけど、入るのは初めてだな」

「暗すぎて、ライトが無いと何も見えへん」


 多田たちは何気ない会話をしながら、ちゅうじんの後をついていく。夜ということもあってか、不気味さを感じる多田。しばらく進んでいくと、何もないところでちゅうじんが止まった。


「どうした?」

「ここだぞ」

「え、何にもないけど……」


 亜莉朱がそう言いながら辺りを見回すも、特にUFOらしき姿が見当たらない。多田と亜莉朱が不思議に思っていると、ちゅうじんが迷彩を解いたのか目の前に円盤状の機体が現れる。


「おお~、久々に見たな」

「え、ガチやん。やばっ!」

「ふふん! これがボクの機体だぞ」


 亜莉朱が唖然とした表情でUFOを見つめていると、ちゅうじんが誇らしげに応えた。


 家に突っ込んできたときはそんなだったけど、改めて見るとデカいな。


 多田が当時のことを思い出しながらじっとUFOを見ていると、入り口が開いてスロープが自動で下りてきた。ちゅうじんはそのまま中に入ろうと進み始めるが、ふと多田と亜莉朱の方を向く。


「あー、良かったら入るか? 流石にこの量のプレゼントを一人で運ぶのは大変だからな」

「え、良いの?」

「ああ。別に見られて困るようなものもないし」

「それじゃあ、お邪魔します……」


 多田と亜莉朱は恐る恐るちゅうじんの後に続いて、UFOの中へと入っていく。ベンジャミンは何度か入ったことがあるようで、慣れたようにちゅうじんの斜め後ろを歩いていた。思ったよりも広く、見慣れないものもあるため、少し未来に来たような感覚に陥る多田。

 しばらく廊下を進んでいくと、ちゅうじんが大きな扉の前で立ち止まった。ちゅうじんはポケットからカードキーを出すと、それを機械に翳してロックを解除する。すると、目の前の扉が開き、ちゅうじんは中へと進んでいく。

 多田と亜莉朱も置いて行かれないようにちゅうじんの後を追うと、何やら精密な機械がそこかしこにあった。


「おお、凄い!」

「ちゅうじんって本当に宇宙人だったんだな」

「宇宙人じゃなかったら何なのさ……」


 周囲を観察している間、ちゅうじんはプレゼントを台に置き、慣れた手つきでコントロールパネルを操作していく。すると、後ろで見ていた多田たちに向かってこう言った。

 

「あー、プレゼントはそこの白い台に置いておいてくれ」

「わ、分かった」


 多田は白く長細い台を見つけると、そこにみんなから貰ったプレゼントの紙袋を置く。その間にもちゅうじんは発進準備を終わらせていく。数分すると、準備が整ったのか再度、多田たちを出口まで案内してくれた。


「よし。着いたぞ」

「ちょっとだけやったけど、中見せてくれてありがとう」

「お安い御用だぞ。多田もプレゼント運ぶの手伝ってくれてありがとうな」

「ああ。それじゃあ今度こそ最後だな」

「おう」


 多田がちゅうじんにそう言うと、亜莉朱が名残惜しそうな表情をして話し始めた。


「これでうーさんともお別れやな。ちょっとの間やったけど、一緒に過ごせて楽しかったで」

「ボクも亜莉朱と一緒に出掛けたり話したりできて楽しかったぞ。亜莉朱が文化祭に誘ってくれたおかげで、多田の意外な一面も知ることができたしな」

「もうその話はやめろ」


 ちゅうじんがそう話すと、多田はちゅうじんの頭を叩きながらそう言った。その様子を見た亜莉朱は、笑いをこらえるのに必死になっており、口元を震わせている。多田はそこまで笑わなくても良いだろうとボソッと呟く。

 ちゅうじんはベンジャミンに視線を合わせるようにしてしゃがむと、ベンジャミンの頭を撫でながら話し始めた。


「お前ともこれで最後だな。最初に拾った時よりも大きくなってボクは嬉しいぞ」

「これもちゅうじんのおかげだよ」

「にしても、お前が喋りだしたときは驚いたぞ。でも、そのおかげでもっと仲良くなれたしな」

「そうだね!」


 ちゅうじんは撫でていた手を止めると、立ち上がってこう言った。

 

「ボクが居なくなっても、ちゃんと亜莉朱たちの言うこと聞くんだぞ?」

「言われなくても! てか、元々そんなに騒がしくないし」

「そうか? まあ、とにかくベンジャミンのこと頼んだぞ、亜莉朱」

「勿論、任せといて!」


 ちゅうじんにそう言われた亜莉朱は、自信満々な表情を浮かべながら返事をする。ちゅうじんは亜莉朱の方を見て頷くと、多田の方に向き直った。すると、多田が話し始める。


「お前と出会ってから一年も経ってないが、それなりに楽しかったよ。改めてお礼を言わせてくれ」

「ボクも多田と会えて良かったぞ。じゃなかったらキテレツ荘のみんなとも企画課の人たちとも、多田の家族とも会えてないわけだしな。煩いときもあったけどな。それも良い思い出だ。ボクが居なくなっても元気でやれよ!」

「そんなの言われなくても分かってるし、煩いは余計だ。まあ、ぼちぼちやってくよ」

 

 多田がそう言うと、ちゅうじんは笑顔で頷き、入り口の方へと足を進める。


 これで本当に最後だ。ちゅうじんがこっちに来てから慌ただしかったけど、それも今日で終わりか。


 多田はそう思いながら、ちゅうじんを方を見る。すると、ちゅうじんが再びこちらを向いた。

 

「それじゃあ向こうでも頑張ってな!」

「もう落ちてくるなよ~」

「勿論だぞ!」


 最後に二人と一匹がそう言うと、ちゅうじんは手を振りながらUFOの中へと消えていった。数分経つと、さっきまで暗かった周囲が光に照らされる。どうやら、UFOのエンジンがかかったようだ。UFOはふわりと空に浮くと、ある程度の高度まで上昇し始める。


「おお、浮いてる」

「凄いな~」


 上昇しきったのかUFOは一瞬その場に停止すると、光の速さで宇宙へと飛んで行った。その様子を見ていた二人と一匹は呆然とした表情をしながら、話し始める。


「行ったね」

「せやね。マジでUFOやったな」

「今更かよ」


 多田がUFOの飛んで行った方向を眺めながらそうツッコむと、亜莉朱が気合を入れるように拳を握りしめた。

 

「よし! それじゃあ帰ってベンジャミンと戯れよか!」

「宿題はどうした」

「それはベンジャミンと一緒にやるで」

「え、ボクも道連れ朝までオールコースなの?」


 ベンジャミンが絶望するかのような声色でそう言うと、亜莉朱がぐいっと顔を近づけてこう言った。

 

「なんか文句あるか?」

「い、いやないです」

 

 ベンジャミンは声を震わせながらそう話す。その様子を見ていた多田は容赦ないなと思いながら、帰るために来た時と同様、スマホのライトで足元を照らした。


「それじゃあ帰るぞ~」

「はーい。ほら行くで」

「はいはい」


 多田は亜莉朱とベンジャミンに声をかけると、一緒に裏山を下りるのだった。



明日で最終話になります!

最後まで見届けてもらえると嬉しいです。

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