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【完結・旧ver】宇宙人が家にやってきた!  作者: 桜月零歌
第三章 宇宙人と多田家
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第62話 大晦日 (後編)

 

 掃除を開始してから二時間が経過するころには、十分に忘年会を行うことができるまでには綺麗になっていた。みんな掃除が終わると用具を片づけたり、仕上げに綺麗な布巾でテーブルなどを拭いていく。


「よし、これだけやれば大丈夫だろ」

「そうだな」

「時間的にも良いころ合いになってきたので、そろそろ始めましょうかね」

「そうね」


 掃除が完了すると、甘野と恵美が台所に立って何やら準備をし始める。ちゅうじんが何か作るのかと疑問に思っていると、恵美が口を開いてこう言った。

 

「今から年越しそばと明日に食べるおせちの準備をするのよ」

「ってことは手作りなのか?」

「ええ。ここに来てからは毎年こうして二人で作ってるんですよ」

「へえ~、面白そうだな!」

「けど、お前は一旦家に戻って大掃除な」

「え~」

 

 ちゅうじんは後ろから多田に圧のかかった口調で声をかけられると、渋々二〇三号室へと戻っていく。

 家に戻ると、もので散らかっている部屋を片付けたり、先日届いた本棚を組み立てる作業をするちゅうじん。ベンジャミンが途中から一緒に手伝ってくれたので、三時間ほどで部屋の中の片づけは完了した。


「つ、疲れたぞ……」

「お疲れ様~」


 ちゅうじんは自室のベッドに寝転ぶと、深く息を吐いた。その様子を見ながらベンジャミンは、何かいい匂いがするなと感じたようで、ちゅうじんに声をかける。


「それはそうと、下の方から良い匂いがするね?」

「あー、甘野さんと恵美さんが料理を作ってるんだぞ」

「そういうことか。ボクも下に行けるんだよね?」

「多田の片づけが完了したらな。今は、会社の資料とかまとめてるらしいぞ」


 ちゅうじんはそう言いながら目を閉じる。多田の片づけが終わるまで仮眠を取るつもりなのだろう。ベンジャミンもちゅうじんの傍に寄ると仲良く眠り始めるのだった。



 仮眠をし始めてから一時間が経った頃、片づけが終わったのか多田が起こしに来たようで、起きろと大きな声が部屋に響いた。


「はっ! いつの間に寝てたんだ……」

「ふわあ……。おはよう」

「早く下に降りる準備しろよ」


 多田にそう言われると、ちゅうじんとベンジャミンは慌てて準備に取り掛かる。多田はその様子を見ると溜息を吐いた。

 そして、準備が完了した二人と一匹は再び一〇三号室へと向かうのだった。玄関の扉を開けると、大家とみやびが出迎えてくれた。


「あ、やっと戻ってきた。もう始まってるよ~」

「遅れてすいません」

「ばふばふ」

「あら、ベンジャミン久しぶりね。元気にしてた?」


 大家は二人に対してそう言うと、リビングの方に案内し始めた。一方のみやびは久しぶりにベンジャミンに会えたのか、頭を撫でまわしている。

 多田とちゅうじんがリビングに着くと、既に年越しそばがテーブルに置かれていた。


「おお~、天ぷらが乗ってる! それも二つも!」

「いつにも増して狭いな」

「一人増えたから仕方ないですね」


 多田とちゅうじんが席に着くと、思ったよりも間隔が狭く多田がそう言った。全員が揃ったところで、食前の挨拶をして各自食べ始める。

 いつも食べている天ぷらよりも少し大きいのか、ちゅうじんは嬉しそうにかぶりついた。


「ぷりぷりしてて美味しいぞ」

「出汁もちゃんと効いてるな」

「いつものよりも大きめの天ぷらが売られていたので、奮発しちゃいました」

「おかげで、私たちの財布の残高はもうゼロよ」

「おいおい」


 そんな会話をしながら食べ進めていくちゅうじんたち。すると、特番が始まったのか皆テレビの方に視線をやる。今年は例年やっていた番組が取りやめになったようで、代わりに別の番組が放送されていた。

 ちゅうじんたちが特番を見始める中、恵美と大家はどこから持ってきたのか、酒瓶を開けていく。多田はまた始まったと呟きながら、その様子を眺める。ちゅうじんはお酒が飲めないというか飲んではいけないので、引き続き武尊と一緒にテレビを見ていた。

 一方のベンジャミンはみやびの愛犬と戯れているようで、テーブルの周りをぐるぐると回っている。

 そんなこんなでどんちゃん騒ぎが始まってから四時間が経過すると、特番も終わり年を越していた。


「今年の紅白は白組が勝利したのか」

「あ、そうなんですね」


 多田がそう呟くと、知らなかったと甘野が反応する。ちゅうじんがふと周囲を見てみると、遊び疲れて眠っている犬たちと、酔いつぶれて眠っている大人たちがいた。


 何だこの差は……。


 ちゅうじんは内心呆れながら、お正月のログインボーナスをゲットするためにひたすらゲームにログインしていくのだった。

 

 年を越してから一時間が経過すると、大人たちはふらふらの足取りで自分たちの部屋へと戻っていく。その様子を苦笑いを浮かべながら見送ると、甘野からおせちの入った重箱を渡された。


「いつもすいません」

「いえいえ。あんな大人たちは放っておけば良いんですよ」

「それじゃあ、またな!」

「はい! 第二十一回料理講座のときに会いましょうね~」

「何回開いてんだよ……」


 ちゅうじんはおせちを落とさないように両手で持つと、甘野に別れを告げる。多田はベンジャミンに声をかけると、一〇三号室へと戻るのだった。

 

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