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【完結・旧ver】宇宙人が家にやってきた!  作者: 桜月零歌
第三章 宇宙人と多田家
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第55話 ついに正体がバレる!? (後編)


「おとーさん! おかーさん! ついでにお兄ー! たたた、大変や!」


 何を上で騒いでいるかと思っていると、亜莉朱が階段を駆け下りてきて、リビングのドアを容赦なく思いっきり開けた。


 ついでって何だよ。


 多田は慌てている亜莉朱を見て、声をかける。


「どうした? ゴキブリでも出たのか?」

「んなわけあるかい! お兄の阿保ッ! それよりもヤバいんやって!」


 なんでそんな兄に対して当たりがきついんだ……。


 多田が亜莉朱の言動に対してそう思っていると、祥子が落ち着くように促す。亜莉朱は一度深呼吸をすると、かなり大きめの声でこう言った。


「犬が喋ったんよ! 後、物が宙に浮いててな、マジびっくりやで!」

「疲れすぎじゃないか?」

「ちゃうちゃう! ホンマやって!」


 話を聞いた一郎がそう言うが、亜莉朱はすぐさま否定する。母の祥子も亜莉朱の話を信じられないでいるようだ。

 その一方で、多田は顔面蒼白になりながら内心焦っていた。

 

 何やってんだよちゅうじん。しかも、一番見られたら面倒なやつに見られてるじゃねーか。てか、犬が喋ったって何だよ。犬までいわくつきとか俺、聞いてねえけど⁉︎

 

 多田が内心でちゅうじんのやらかしについてツッコミを入れていると、いつの間に下りてきたのか目の前にはちゅうじんとベンジャミンの姿があった。


「あ、うーさんにベンジャミン」

「亜莉朱から聞いたけど、本当なの?」

「どうなんだ?」

 

 ちゅうじんとベンジャミンが下りてきたことに気づいた亜莉朱は振り向き、祥子と一郎はちゅうじんに娘の言っていることが本当なのか尋ねる。今は口を挟む時ではないだろうと、多田はちゅうじんが口を開くのを待つ。

 しばらくリビングに沈黙が流れるが、意を決したのかちゅうじんが話し始めた。


「亜莉朱が言ったことは本当で、ボクはこの星の人間が言うところの宇宙人なんだ。今まで黙っててごめんなさい」


 ちゅうじんは話し終えると同時に頭を下げた。その様子を静かに見守る一同。みんなが突然のことに困惑する中、一郎はちゅうじんに声をかけた。


「取りあえず、頭をあげてくれ」

「は、はい」


 一郎に言われたとおり、ゆっくりと頭を上げるちゅうじん。その表情は今まで見たこともないくらいに強張っていた。自分が宇宙人だとバレた今、どんな反応が返ってくるのか怖いのだろう。


 このまま知らんぷりも出来んしな……。かと言ってどのタイミングで言えばいいのやら。


 多田はちゅうじんの様子を窺いながら、頭を悩ませる。多田がぐるぐると考えていると、黙って話を聞いていた亜莉朱が声を上げた。


「へえ~宇宙人って本当に居たんやな! まさか会えるとは思わんかったわ~」

「こ、怖くないのか?」

「んー、驚きはしたけど、怖くはないで! 逆に知り合いに宇宙人がいるって自慢できるやん!」


 亜莉朱は怖いなどとは微塵も思っておらず、逆に嬉しそうに目を輝かせている。それを見たちゅうじんはホッと一安心して、ふう~と息を吐いた。両親も興味深そうにちゅうじんを見ているので、拒絶されるようなことはなかったなと多田は頬を緩ませる。

 

「それで、太郎はうーさんの正体を知ってたのか?」

「え、ああ、そうだな」

「一番最初に会ったときはめちゃくちゃ怒ってたもんな!」

「それはお前が悪いだろうが」

「仲が良くて何より何より」


 ちゅうじんが深夜に多田の家へ墜落してきたときのことを話し出す。そのやりとりを見ていた一郎は、微笑ましげに笑った。とにかく、ちゅうじんの存在が受け入れられたようで安堵する多田。だが、まだ問題が一つ残っている。


「そういえば、犬が喋るってのは……」

「あー、それはだな――」

「それについてはボクから説明するよ。色々とややこしいからね」

「うおっ! 本当に喋った」


 多田がベンジャミンのことについてちゅうじんに訊くと、沈黙を保っていたベンジャミンが口を開いた。何の前触れもなく喋り始めるので、思わず驚きの声を上げる多田。そんな中、亜莉朱が興味深そうにベンジャミンを見つめているので、本人は困ったような表情を浮かべている。

 

「そんなに見つめなくても、今からちゃんと説明するって。でも、ボクも詳しいことは分からないんだけどね」


 ベンジャミンはそう前置きをすると、UFOの中でちゅうじんに話したことを多田たちに話し出した。

 話を聞き終えた多田たちは、改めて奇異市について振り返ることに。


「確かに昔から隕石が落ちたり、心霊スポットが多かったり、変な噂が多い街よね」

「ってことは、うーさんが太郎の家に落ちてきたっていうのも何かありそうだよな」

「その何かはまだ分からないんだけどね」


 そう口々に述べていく一同。奇異市は不思議な街だと思っていると、黙ってベンジャミンの話を聞いていた亜莉朱が口を開いた。

 

「んー、なんかオカルトのにおいがするんは気のせいやろか?」

「亜莉朱はテレビの見過ぎ」

「もー、うるさいな」


 多田が亜莉朱の発言に対して苦言を呈すと、すぐに亜莉朱が反発した。その様子を傍で見ていたちゅうじんは苦笑いを浮かべながら、仲のいい兄妹だと呟く。

 

「まあ、でも今考えても仕方ないし、謎は謎のままにしておく方が良いこともある」


 多田が話を終わらすと、何を思い出したのか亜莉朱が席を立って、二階へと上がっていった。突然どうしたのかと多田が首を傾げていると、亜莉朱がこちらに戻ってきた。

 

「うーさん、お兄、はいこれ」

「何だこれ?」

「あ、チケット」


 亜莉朱が渡してきたのは、二枚のチケットだった。チケットには、文化祭入場チケットと太めに文字が書かれている。このチケットに見覚えのあるちゅうじんはボソッと呟いた。

 

「え、知ってるのか?」

「ボクが切ったからな」

「そうそう。うーさんが手伝ってくれたおかげで、ギリギリ間におうたんよ」


 多田が隣にいるちゅうじんに尋ねると、誇らしげな表情をしてそう応えた。ちゅうじんが手伝ってくれなければ間に合わなかったと、亜莉朱が昨日のことを思い出しながら語っていると、多田から指摘が入る。

 

「お前、他人様に何やらせてんだよ。てか、できるの遅すぎじゃないか?」

「しゃーないやん。生徒会企画の準備とかパンフレットの表紙も作らなあかんかったし」

「おお……それはお疲れ様です……」


 多田が何やってんだという目で亜莉朱の方を見ると、亜莉朱は困った表情で話し出した。妹と同じ学校に通っていた多田は、生徒会企画の規模がどれだけものかを思い出すと、労わりの言葉を述べる。


「とにかく! 明日から始まるし、よかったら来てな」

「勿論だぞ」

「はいはい分かりましたよ」


 亜莉朱のよかったらは絶対に来いということを意味しているので、多田は思わず面相臭そうな表情を浮かべる。それと同時にちゅうじんの正体がバレることにはなったが、今までと変わらず過ごしていけそうだと安堵するのだった。

 

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