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【完結・旧ver】宇宙人が家にやってきた!  作者: 桜月零歌
第二章 宇宙人と企画開発課
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閑話 うーさんの日記 2


 伏瀬大社の夏祭りが終わり、九月も中旬に入った頃。ちゅうじんとベンジャミンはまたしても、UFOの修理のために裏山へと来ていた。今日は外装の修理を完璧に終わらせ、機内に少し手をつけるまでが目標だ。


「よし、それじゃあ前回と同様に修理が終わるまでは大人しくしてろよ」

「分かってるよ〜」


 ちゅうじんはベンジャミンの入っているキャリーケースを、機内の安全な場所に置くと外に出ていった。ベンジャミンはちゅうじんが修理をしている間、することがないので周囲を観察したり、それに飽きると眠り始める。



 そして、修理開始から三時間が経過した頃。ベンジャミンが目を覚まして身体を起こすと、目の前にちゅうじんがいた。どうやら外装修理が完了したらしい。ちゅうじんはキャリーケースの扉を開けると、ベンジャミンをそこから出す。


「ふう〜、やっと出れた……。キャリーケースの中って案外狭いんだからね?」

「それじゃあ、今度もう一回りデカいの買うか」

「そういう意味じゃないっての……」


 ベンジャミンはキャリーケースの外に出ると、身体をブルブルさせながら不満を口にする。だが、ちゅうじんはその言葉の意味をそのまま受け取ったようで、ベンジャミンに怒られた。多分、ベンジャミンは待っている間も、機内の中を自由に見学したいのだろう。


「まあ良いや、今日も見せてくれるんだよね?」

「勿論だぞ!」


 ちゅうじんとベンジャミンは会話しながら、機内の廊下を進んでいく。しばらく歩くと、ちゅうじんの自室へと到着した。カードを専用の機械にかざすちゅうじん。すると、自室への扉が開いた。

 そのまま入っていくちゅうじんとベンジャミン。ちゅうじんは前回同様、左手首につけていたデバイスを外してベッド近くの台に設置する。その間に、ベンジャミンはベッドへと飛び乗ってちゅうじんの傍に寄った。


「えーっと。よし、今回も無事に記録されてるな」

「早く早く〜」

「はいはい、ちょっと待て」


 ちゅうじんは記録に不備がないか確認する。宙に現れた画面をスクロールしながら記録の一覧を見ていくが、特に不備はないようだ。隣で見ていたベンジャミンが急かすので、ちゅうじんはさっそく動画の再生ボタンを押す。すると、初っ端から多田が上司に対する愚痴を吐いているシーンが流れた。


「多田は相変わらず、社畜だな」

「そうだね。でも、企画課に行ってみた感じだと、一部を除いて皆良い人そうだったけどな……」

「多分、人間関係的には大丈夫なんだろうけど、人員不足とそれに伴うタスクの量が半端ないんだろうな」

「人間じゃなくて良かったかもしれない」


 ベンジャミンは、企画課に訪れた時のことを思い返しながらそう言う。ちゅうじんはベンジャミンの言葉に付け足すように、企画課の実情を喋り始めた。ちゅうじんの説明を聞いたベンジャミンが、犬で良かったと安堵する。


 これは根本的に改善しないとダメだろうな……。じゃないと、多田いつか倒れるぞ。


 ちゅうじんはそう思いながら動画の続きを見ていく。次は飛行機が出発する様子が映し出される。


「へえ、飛行機の中ってこんな感じなんだね」

「そういや、ベンジャミンはここには居なかったよな」

「そうだよ……。貨物室の中は狭いし揺れるし、大変だった。もう二度と乗りたくない」


 ベンジャミンの話を聞いたちゅうじんは思わず、苦笑いをする。人間に化けておいて良かったとちゅうじんが思っていると、ベンジャミンが自分も飛行機の外の景色見たかった、と愚痴をこぼした。


 その後も、ビーチでの試合や観光の様子などが流れていく。最後に夏祭りの動画を見終わると、ちゅうじんがデバイスを左手首につけながら、ずっと頭の中にあった疑問を口にし始めた。


「そういえばベンジャミンって、なんで犬なのに人語を喋れるんだ?」

「……え、今更?」


 ちゅうじんの質問に呆れた表情を見せるベンジャミン。すると、ちゅうじんが経緯を話し始めた。


「いや、初めて聞いた時はそういうものなのかと思ってたんだが、調べたら犬は人語を喋らないって……」

「あー、なるほどね」


 ちゅうじんの話を聞いたベンジャミンは、納得したような声を出す。その後、ベンジャミンは少し間をあけてから話し始めた。


「人語を喋れる理由だけど、正直ボクもあんまり分かっていないんだよね。でも、ボクの推測で良いなら話せるよ」

「聞かせてくれ」

「よし。ならまず始めに問うけど、何故この街が奇異市なんて呼ばれているのか分かるかい?」

「え……?」


 ベンジャミンにそう訊かれたちゅうじんは、戸惑いの表情を浮かべる。それもそうだろう。突然そんなことを聞かれても誰も即答できない。ひとまず、考えてみることにするちゅうじん。しかし、いつまで経ってもそれらしい答えが見つからないので、ベンジャミンに訊き返した。


「んー、分からん。なんでだよ?」

「それはその名の通り、昔からこの街では奇妙なことがたくさん起こっているからだよ。この裏山に悪いものが出るなんて噂がたっているのもそれが原因だろうし、現に君の存在もそう。だからボクが喋れているのもその現象の一環なんじゃないかな?」

「な、なるほどな……」


 ベンジャミンの説明を聞いて、曖昧な返事をするちゅうじん。突然、そんなことを言われても理解に時間がかかるので、混乱するのも仕方ないだろう。話終わったベンジャミンは、話を変えるように早く帰ろうと言い出す。ちゅうじんはベンジャミンに急かされると、自室を出た。

 

 UFOから出たちゅうじんとベンジャミンは、そのままキテレツ荘へと続く道を歩く。ベンジャミンの説明を思い返すちゅうじん。


 んー、この星に降りてきたのも偶然ではないのかもしれないし、これはもっと調査をする必要があるんじゃないか? 


 ちゅうじんは頭の中でそう考えながら歩くのだった。

これにて二章完結です!

明日からは三章が開幕します!

ストックの都合上、三章は毎日1話更新になりますが、引き続き当作品をよろしくお願いします。

投稿時間としては十二時ごろを予定してます。

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