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【完結・旧ver】宇宙人が家にやってきた!  作者: 桜月零歌
第二章 宇宙人と企画開発課
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第43話 夏祭り (その参)


「はー、お腹いっぱいだぞ」

「そりゃあ、あれだけの量食べたらそうなるだろ」


 買ってきたものを無事に完食した多田たち。多田はちゅうじんに冷静なツッコミを入れる。流石にあれだけの量を食べたら、誰だってお腹いっぱいになるだろう。


「やっぱりこういう屋台のものって、美味しいですよね〜」

「人の金で食ったチョコバナナは最高だったな」

「おい」


 そう各々感想を言いながら、ゴミを捨てに向かう。屋台の傍にゴミ箱があったので、そこにゴミを投げ入れると、次はどこを回ろうかという話になった。食べ物系の屋台は回ったため、必然的にゲーム系の屋台を回ることになるのだが、いかんせん屋台の種類が多い。取り敢えず、行きたいところを上げていくことに。


「俺は何でも良いぞ。うーたんの付き添いみたいなもんだしな」

「それなら俺は射的で多田をぶちのめしたい」

「射的にそんな要素ねえよ。まあ、競争したいって認識で良いか?」

「あー、そうそう」


 王子の発言に即座にツッコむ多田。ひとまず射的をすることが決まったので、一行は屋台に移動する。王子と多田は屋台の店主から二丁のコルク銃を貰う。配布された玉は全部で五つ。王子と多田はそれぞれのタイミングで、撃ち始めるが、なかなか命中しない。結果として、王子と多田共に一つも景品を取ることは叶わなかった。


「当たるのは当たるけど、なかなか倒れないんだよな」

「なんか細工してありそう何だけど……」

「おいおい。流石にそれは……」

「ならボクがやってみても良いか?」


 多田と王子が射的の結果について話していると、ちゅうじんが声をあげた。突然のことに二人は揃って、え? と言いながら驚きの表情を浮かべる。多田は間を置いてからちゅうじんに良いんじゃないか? と話す。多田の許可をえたちゅうじんは、そのまま射的の店主からコルク銃を受け取ると、構えの姿勢をとって撃ち始める。結果は全弾命中。置かれた五つの景品も倒れて、設置された台から落ちた。


「ま、マジか……」

「どれだけ撃っても落ちなかったのに……うーさん何者だよ」

「おお〜!」


 撃ち終わったちゅうじんがドヤ顔で多田たちの方を見ると、ちゅうじんの射的を見守っていた三人から驚きと称賛の声が上がった。流石の店主も目を見開いているようで、慌てて地面に落ちた景品を拾う。ちゅうじんは店主から景品を貰うと、嬉しそうな表情を浮かべている。ちなみに当たった景品にはおもちゃの他に、ぬいぐるみやたくさんのお菓子が詰められた袋があった。


「やったぞー! これで当分のお菓子にも困らないな」

「お前は食べ過ぎなんだよ」


 ちゅうじんは一日に三袋は完食するので、それを思い返した多田は思わずそう話す。ちゅうじんはそれに対して、ここのお菓子は美味しいんだから仕方ないと言い訳を述べる。

 ジュリアは言い合っている二人を見て、仲裁に入ろうと多田たちの方へと歩き出した。


「あ、いやこれは……」

「取り敢えず、次どこ回るか決めようぜ!」

「うんうん」


 ジュリアが近づいてくるのを感じた多田とちゅうじんは、言い合いを止めて次の屋台へ行こうと提案する。

 すると、先ほどまでの怖い表情は消え、明るい雰囲気に戻ったジュリア。多田とちゅうじんは怒られなくて済んだと思い、息を吐く。


「それじゃあ金魚すくいなんかどうだ?」

「金魚すくいか。良いな」

「これぞお祭りの定番ですね!」


 多田がそう提案すると、ジュリアと王子の二人が賛成した。だが、ちゅうじんはそもそもの金魚すくいというのが、どういうものなのか知らないので首を傾げている。

 王子がちゅうじんの様子に気づいて、口を開く。


「習うより慣れろ。体験した方が早いから、まずは屋台の方に行こう」

「わ、分かったぞ」


 王子がそう言うと、一行は金魚すくいの屋台へと向かった。屋台に着くと、店主から人数分のポイを渡される。ちゅうじんがポイの和紙部分を指で触っていると、先に多田と王子で見本を見せるために金魚のいる水槽へ近づいた。その様子を見守るちゅうじん。二人はポイを斜めの角度で水につけると、金魚を水槽の端に追い込むようにしてすくった。


「あっ……破けた」

「何やってんだよ多田くん。はい、一匹ゲット」


 すると、多田のポイが破けた。金魚の重さとすくい方が悪かったのだろう。王子は多田に茶々を入れながらも、金魚を救えたようで水の入ったポリ袋の中に金魚を移動させる。

 一方、二人の様子を見ていたちゅうじんは頭に疑問符を浮かべていた。


「ん? 今、紙が破けなかったか?」

「それが金魚すくいの醍醐味何ですよね〜。えっと、まず金魚すくいに使われている紙というのは――」


 ちゅうじんがそう疑問を口にすると、ジュリアが熱心に説明し始めた。その様子を眺めていた多田は、流石だなと思うと同時にちゅうじんが可哀想に思えてくる。だが、ちゅうじんも真剣に説明を聞いているので、話終わるまでは順番を急かさないように待機する多田。

 それから約三分間、ジュリアが金魚すくい愛を語っていたところを、王子が痺れを切らしたのか、いい加減にしろとストップをかけた。


「先のお客さん待ってるけど」

「あー、すいません。つい、やっちゃいましたね。それではやってみましょうか!」

「おう!」


 ジュリアとちゅうじんが金魚すくいを始める。ちゅうじんは事前にジュリアからコツを教えてもらっていたので、みるみるうちにポチ袋に金魚が入れられていった。ジュリアも同様に次々とすくっていく。その光景は凄まじいもので、途中で店主から他のお客さんの分がなくなってしまうからと、ストップをかけられた。


「ふう〜。ジュリアのおかげで大量に取れたぞ!」

「おめでとうございます。にしても、やっぱりうーさんは覚えるのが早いですね」

「そうか?」

「はい! 今回の金魚すくいもビーチバレーの時もそうでしたけど」


 ジュリアに褒められて嬉しそうな表情をするちゅうじん。


 その後、多田たちは輪投げやヨーヨー釣りなどの屋台を回った。そして、時刻はあっという間に十九時三十分。花火が上がるまで後三十分あるかないかの時間帯だ。そろそろ境内の方へ向かった方がいいいだろうということになったので、一行は屋台を後にするのだった。



 

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