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【完結・旧ver】宇宙人が家にやってきた!  作者: 桜月零歌
第二章 宇宙人と企画開発課
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第41話 夏祭り (その壱)


 沖縄旅行から約三週間が経ったある日。ビーチバレーで勝ち取った有給休暇書を使い、二日間の休みを得た多田。久々の休日で、日々の仕事に疲れ切っていた多田は、お昼ごろまで爆睡をかましていた。 

 一方、ちゅうじんはいつまで経っても起きてこない多田を起こしに、ベンジャミンと多田の部屋へと向かう。扉を開けるとカーテンが閉められているため、全体的に暗い。これではなかなか起きてこないのも当然だ。

 だが、そろそろ起きてもらわないと、ちゅうじんのお腹が空きすぎて死んでしまう。そこでちゅうじんは試しにカーテンを思いっきり開けた。それと同時にベンジャミンは、多田の布団の上に乗って起こそうとする。

 

「おーい、いい加減起きろよ〜」

「ばふばふ!」

「ん゛ー……重い……」


 ちゅうじんとベンジャミンが声をかけるも、多田は空返事をするだけで一向に目を開けようとしない。その後も何度か声をかけてみるがなかなか起きようとしないので、ちゅうじんは強硬手段に出る。

 危険を察知したベンジャミンはベッドから飛び降りて、部屋の隅に移動し始めた。ちゅうじんはいつも通り光線銃を手に持つと、多田に向かって照準を合わせる。


「おい、今すぐ起きないとこの銃で――」

「はい、起きます……! 今すぐ起きるんで、その銃下ろしてください!」

「……良いだろう」


 多田は銃という単語を聞くと、すぐさまベッドから飛び起きた。前にちゅうじんが本気で撃とうとしてきたので、そのことが多田の頭に残っているのだろう。ちゅうじんは多田が起きると、銃を下ろす。


「んで、起きたけど何の用だ?」

「お昼ご飯」

「はい?」

「今日はお前が当番だろ?」


 ちゅうじんがそう言うと多田は、あー、やべっ……と声を漏らした。ちゅうじんが甘野に料理を習い始めてから、料理は当番制にしようということになっていたのだが、すっかりそのことを忘れていた多田。多田は軽く謝ると、ちゅうじんたちを部屋から出て行かせ、身支度を始めた。


 数分後、部屋から出てきた多田はお昼ご飯の準備を始める。その間にちゅうじんはソファに寝転がりながら、最近新しくリリースされたスマホゲームを進めていく。ベンジャミンは先にご飯を食べたようで、犬小屋の方でお昼寝中だ。

 ちゅうじんがゲームを攻略していると、多田から声がかかった。


「もう出来上がるから席につけー」

「はーい!」


 多田にそう言われると、ちゅうじんはスマホを一旦閉じてソファに放り投げると席についた。少し待っていると、テーブルに料理の入ったお皿が置かれる。どうやら今日はスパゲッティーのようだ。二人は黙々とパスタを食べ始めた。リビングにはテレビの音とパスタを食べる音だけが響き渡る。

 十分ほどで食べ終わり、片付けや休憩をしていると、家のチャイムが鳴った。


「はーい」

「なんだなんだ?」


 多田は食器を洗う手を止めてさっと手を洗うと、玄関の方へと向かう。ちゅうじんは誰が来たのか気になったようで、うーたんに擬態すると同じく玄関へと足を進める。


 今日は大家か? そうかここの住人か?


 多田がそう思いながら扉を開けると、そこにはジュリアと王子がいた。


「は? え、どゆこと?」

「どうも〜。二日ぶりですね多田さん!」

「多田くんってアパート住まいだったのか。あ、うーさん久しぶり〜」

「おお! 久しぶりだな王子!」


 突然の同僚の来訪に驚く多田。ジュリアと王子は多田の住所を知らないはずなのに、どうしてこんな所にいるのだろうか。多田の頭の中にははてなが大量に浮かぶ。一方のちゅうじんは、沖縄旅行以来会っていなかった王子と久しぶりの再会を果たして大喜び。


「てか、なんで俺ん家の住所知ってるんだよ?」

「あー、それはだね。課長にこっそり教えてもらったんだ」


 課長は何を勝手に人の住所教えてるんだよ……。課長はプライバシーってものを知らないのだろうか。


 王子の言葉を聞いた多田は内心、頭を抱えた。にしてもだ。ただ何の用もなくこんな所まで来るとは思えない。アホなジュリアはともかく、サボり魔の王子がわざわざ足を運ぶとは。きっと何かあるに違いないだろう。

 多田はそこまで考えると、ここに来た理由を二人に訊いた。


「ん? ああ、実はですね。今日の夕方から伏瀬大社でお祭りが行われるらしいんで、せっかくだから今日オフの多田さんたちと行こうと思って」

「けど、なんで面倒くさがりの王子まで?」


 伏瀬大社というのは、ここら一帯の地域の氏神様を祀っている神社で、毎年この時期になると神社で夏祭りが開かれるのだ。どうやら今年もその時期がやってきたらしい。だが、何故サボり魔の王子まで行くことになったのだろうか。多田は気になったので、王子に訊いてみる。すると、王子は不機嫌そうな顔でこう応えた。


「夜宵先輩に言われたんだよ。四人で来なかったら俺の仕事量今の倍に増やすぞってな。一応、あそこの神社は夜宵先輩の実家らしいから」

「え、マジかよ。確かに神社の名前と名字が一緒だとは思ってたけど……」


 まさかの夜宵の実家が神社だったとは思ってもいなかった多田が、驚きの表情を見せる。まあ、夜宵が今の今まで話していなかったというのが大きいだろうが、今振り返ってみれば、毎年この時期になると有給を取っていた。

 多田はそれに気づくと、ああ、なるほどと内心納得する。にしてもここ最近、企画課の意外な一面が発覚することが多いが、変に突っ込むのはやめておこう。


「ま、そう言うことだ。つーわけだから多田、お前も強制参加な。うーさんは当然行くだろ?」

「勿論だぞ!」


 流石の王子も夜宵には逆らえないらしい。王子は自分が怒られたくないからと、半強制的に多田とちゅうじんの参加を決めつける。ちゅうじんは言われなくてもそういうイベントごとには基本参加したい性質なため、王子の言葉に了承した。


 王子からそう言われるのは癪だが、後で夜宵に怒られるのも面倒だ。そして何よりも、ちゅうじんを一人でそんな場所に行かせたら何をするか分からない。


 多田はそう考えると、参加することを王子に伝える。それを横で聞いていたジュリアは、持っていた鞄の中からチラシを二枚取り出すと、それを多田とちゅうじんに渡した。


「これは……」

「今日のお祭りの要項ですよ。伏瀬大社は最寄りの駅からだいぶ歩かなきゃいけないから、それ見て来いってことだと思います」

「なるほどな! ん? この花火ってのはなんだ?」


 そう指摘するちゅうじんの目線の先には、打ち上げ花火と大きく書かれた文字が。すかさず多田が説明に入る。それを聞いたちゅうじんは納得の表情を見せ、見てみたいと言った。チラシによると、花火の時間は夜の九時かららしい。多田は帰りが遅くなるなと思いながら、ちゅうじんにそれでも良いかと訊いてみる。


「おう! 全然大丈夫だぞ」

「よし、なら後は何時に現地に集まるかだな」

「準備とかもあるだろうから、大体十七時集合で良いんじゃない?」

「了解だ」


 王子の提案に乗る三人。無事に集合時間と集合場所も決まったので、王子とジュリアは一度家に帰るために、キテレツ荘を去る。二人を見送った多田とちゅうじんは、さっそく祭りに出かける準備に入るのだった。



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