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【完結・旧ver】宇宙人が家にやってきた!  作者: 桜月零歌
第二章 宇宙人と企画開発課
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第37話 美ら海水族館 (前編)


 怒涛の一日が終わり、沖縄社員旅行は二日目を迎えた。多田はベッドから起きると、身支度を始める。朝食はバイキングで、集合時間である九時までに食べて荷物をまとめなければならない。ベンジャミンはもう起きているようで、多田が寝室からやってくると挨拶をするかのように吠えた。


「ばふばふ!」

「おー、おはようベンジャミン。お前は起きるの早いな〜」

「ばふぅ〜」


 多田はそう言いながらベンジャミンを撫でた。相変わらずふさふさしていて、手入れが行き届いているのが分かる。そういえば、毎日誰よりも早く起きてるというか、そもそも寝ていないちゅうじんが見当たらない。

 どこに行ったのだろうと思い、客室内を探してみる多田。すると、ちゅうじんの方のベッドの布団が盛り上がっているのが見えた。チラリと様子を見てみると、ちゅうじんがぐっすり眠っているのが見えた。

 

 マジか……あのちゅうじんが寝てるだと⁉︎


 恐らく普通の人間に向かって言ったら怒られそうだが、多田はそう思わずにはいられなかった。取り敢えず集合時間までに諸々の準備を済ませなければならないので、起こそうとちゅうじんの肩を叩く。すると、さっきまでぐっすりと眠っていたちゅうじんが、ガバッと起き上がった。その手にはどこから持ってきたのか分からないが、光線銃が握られている。


「ちょ、ちょっと待て! 俺だよ俺!」

「……なんだ。多田かよ。敵襲かと思ったぞ」

「誰が敵襲だゴラ。……起きたんならさっさと準備しろ。今日の朝飯食えなくなっちまうぞー」

「ハッ! それは絶対に嫌だぞ!」


 ちゅうじんが光線銃を向けてきたことに多田は驚くも、起こしたのが多田だと分かった瞬間、ちゅうじんは銃を下ろした。

 

 全く、なんつー物騒なもん持ってきてんだよ……。 


 多田はそう思いながらも、敢えてさっきの行動のことは触れずに、早く準備を済ませるようにちゅうじんを急かす。多田にそう言われたちゅうじんは急いで浴衣から私服に着替えると、歯を磨きに洗面所へと向かった。それを見届けると、多田は一息ついてからベンジャミンの餌を準備しにかかる。

 

 そして三十分後。ベンジャミンの食べ終わった餌入れを片付けると、バイキングに行く準備を整えた多田とちゅうじんは二階にある食事会場へと向かった。

 

 会場に着くと、まだ朝にもかかわらず大勢のお客さんで溢れかえっているのが見える。だが、出発までにそんなに時間がないので、さっさと食べる分だけの料理をとって席につく。ちゅうじんも料理を取り終わったようで、多田とは反対側の席についた。多田はごく一般的な朝食の量なのだが、ちゅうじんの皿には多田よりも倍の量が盛られている。


「なあ、ちゅうじん。よく朝からそんな量食べられるな。見てるだけで胸焼けするわ」

「……ん? だって、食べられるうちに食べておかないとだろ? それに旅館の料理の味を知るのも情報収集の一環だからな。これぐらいは当然だぞ」

「あっそう……」


 ちゅうじんの返答に、少し引き攣った表情を浮かべる多田。現に、ちゅうじんのお皿にはパンやスクランブルエッグ、サラダは勿論、沖縄そばやタコライスといったものまで、取り敢えず並んでる料理は全部取ってきましたというぐらいには量が半端ない。そんなものを朝から見せられたら、多田に限らず誰だって胸焼けしてしまうだろう。

 数十分かけてなんとか朝食を食べ切った多田。ちゅうじんも残すはデザートのサーターアンダギーのみとなっている。


 ちゅうじんの胃袋って一体どうなってんだよ。甘野さんといい勝負できそうだな。


 多田はそう思いながら、ちゅうじんが食べ終わるのを待つ。三分ほど経つと、ちゅうじんも完食した。多田はふと左手首に嵌めている腕時計を確認する。


「げっ! 集合時間まで後一時間もないじゃないか」

「マジかよ。早く準備しないと遅刻するぞ!」


 多田とちゅうじんはすぐさま食器を返却口に返すと、急いで客室のある五階へと向かう。客室の扉を雑に開けると、ベンジャミンが何をそんなに急いでいるのだろうかと、首を傾げている。

 ちゅうじんはそんなベンジャミンに、念話で急いでいる理由を簡潔に伝えると、スーツケースを開け始めた。荷物をスーツケースに入れ始めるちゅうじん。

 そんなちゅうじんの元へ、ベンジャミンが餌の入った袋を口に咥えながらやってきた。ベンジャミンも手伝いたいということなのだろう。


「ばふ!」

「お、ありがとな」


 尻尾をふりふりしながらベンジャミンはちゅうじんに袋を渡す。ちゅうじんはそれを受け取ると、お礼を言い、それをスーツケースに詰めた。

 そうして準備を進めること三十分。ギリギリ時間内に準備し終わると、多田たちは集合場所であるロビーへと向かった。


「ギリギリになってすいません」

「まだ、集合時間になってないから大丈夫だ。全員、部屋の鍵戻しに行くから俺に渡せ」


 課長がそう言うと、鍵を持っている多田と夜宵、王子は課長に鍵を渡す。それを受け取ると、課長は受付へと向かい鍵をまとめて返却した。課長が皆の元に戻ってくると、全員旅館から出てスーツケースを預けるために、空港近くの観光案内所へと向かう。


 観光案内所に着くと、課長が手続きをしてから各自コインロッカーにスーツケースを入れていく。それが終わると集合時間を確認後、自由散策へとそれぞれ観光案内所を出て行った。ちゅうじんは多田と共に行動することに。


「よし。つーわけで、どこ行きたい?」

「んー、そうだな……。水族館とかどうだ?」

「えっ......」


 よりにもよって水族館かよ……。


 口には出さないが、思わずそう思ってしまう多田。多田は海は勿論、海鮮から海の生き物まで、丸ごと海系がダメなのだ。ちゅうじんは水族館に行きたいようだが、多田は渋った表情を浮かべる。


「えっ、って何だよ。今後の企画に役立つだろうから行って損はないと思うぞ! それにイルカショー見たい」

「はいはい。分かったからさっさと行って、さっさと別のところ行くぞー」

「やったー!」 


 ちゅうじんの説得に折れる多田。ちゅうじんは水族館に行けると喜んでいる。こうして、多田たちは高速バスに乗って、沖縄でも人気な水族館の一つである沖縄(ちゅ)ら海水族館へと向かうのだった。 

 


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