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【完結・旧ver】宇宙人が家にやってきた!  作者: 桜月零歌
第二章 宇宙人と企画開発課
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第31話 夏だ!海だ!宇宙人だ! (その壱)

 

 飛行機に乗って沖縄にやってきた企画課一行はひとまず、荷物を旅館に預けるために宿泊先である、旅館・めんそーれへと向かう。そこは沖縄でも有名な旅館で、一般的な料理の他に沖縄料理も堪能できる人気の旅館だ。那覇空港からも近いため交通の便も良い。

 旅館のロビーに到着すると、課長がまとめてチェックインをし、部屋の鍵を各部屋の代表者に渡していった。ちなみに部屋割りは、上司、ジュリア・夜宵、王子・下条、多田・うーたんの四部屋になっている。


「よし。それじゃあ、各自部屋の方に荷物置いてこい。一時間したら集合だ」


 課長が指示を出すと、皆、部屋の方に向かっていった。多田とちゅうじんの部屋は五階にあるため、エレベーターで向かう。五階に到着すると、スーツケースを引っ張りながら自分たちの部屋へと進んでいく。多田が部屋の鍵を開けると、中は和室と洋室が合わさった部屋で、寝室がベッドになっていた。ちゅうじんはスーツケースを適当な場所に置くと、ベッドにダイブする。


「うお〜! ふかふかで気持ちいいぞ!」

「と言っても、ちゅうじんに睡眠は必要ないだろ?」

「んー、それはそうだ。でも、今日ぐらいは寝てみようかなーって思ったり」


 ベッドに寝転びながら話すちゅうじんに、多田はたまには良いんじゃないか? と返す。飛行機に乗って疲れたのか、多田もベッドに寝転ぶ。

  

 なんかこのまま寝ちまいそうだな……。


 そんなことを思いながら目を瞑りかけると、ちゅうじんが思い出したようにベッドから飛び起きた。


「どうした?」

「ベンジャミンをキャリーケースの中から出すんだよ。ずっと中に居ても退屈だろうし」

「あー、そういや連れてきてたな」


 ちゅうじんはそう言いながら、キャリーケースの扉を開けてベンジャミンを外に出してやる。窮屈そうにしていたベンジャミンは、やっと開放されて喜んでいるようだ。

 多田はベッドから起き上がって、スーツケースの蓋を開けると、これから必要なものを取り出す。この後は皆で海に行く予定なので、それに必要なものを取り出すと、手さげのバックに入れていく。多田は、ベンジャミンと何時間ぶりかの戯れを楽しんでいるちゅうじんにも声をかける。


「おーい、早く準備しろー。時間なくなるぞー」

「あ、はーい! ベンジャミンも連れてくからな」 

「ばふ!」

  

 ちゅうじんはベンジャミンに向かってそう言うと、愛犬は嬉しそうに返事をした。ちゅうじんは時計を見ると、ロビーへ集合するまで後三十分しかないことに気づく。急いでスーツケースを開けると、空港で買った水着や日焼け止めクリームなどをバックに入れる。

 準備が終わると、ちゅうじんはベンジャミンの首輪にリードをつけた。


「よし! こっちは準備できたぞー」

「ばふばふ!」

「おっし。それじゃあ行くか」


 二人は荷物を持って部屋を出る。多田が部屋の鍵をかけると、同じ階に居た夜宵とジュリアと鉢合わせしたので、一緒に集合場所であるロビーへ向かう。


「さて、全員揃ったことだし行くとするか!」

「おー!」


 ……何で皆、そんなにノリ気なんだ。


 多田はそう思いながら、課長たちの後をついていく。しばらく道なりに進んでいくと、海が見えた。

 横で歩いていたちゅうじんが感嘆の声を上げる。ジュリアや下条たちも海の景色に目を輝かせていた。

 ビーチに着いた一行は、それぞれ更衣室で着替えをしに行った。

 先に着替え終わった男性陣はビーチにて夜宵とジュリアを待つことに。


「女子の着替えって何でこうも遅いんだ?」

「あー、まあ色々男子に比べてやることあるからな……」

「まあ、気長に待ちましょう」

「ばふばふ!」 


 ちゅうじんがそう訊くと、多田は少しぼかして応えた。

 気長に待つこと十五分。女性陣二人がやっと更衣室から出てきた。夜宵は黒の水着にカーディガン。ジュリアはフリル付きの下がスカートのようになった白の水着を着ている。

 一方の男性陣は海パン姿の課長以外はカーディガンを羽織っていた。一人を除き皆、日焼けはしたくないようだ。


「よし。それじゃあ今からは各自好きにしてもらって構わん。だが、集合時間は忘れるなよ。それじゃあ俺は泳ぎに行ってくる!」

「相変わらず、課長は元気だな〜」

「あの中年親父は、こういうイベントごととか大好きだからな」


 全員にそう言い渡すと、課長は全力疾走をして海に消えていった。


 中年なのに何であんなに元気なんだよ。てか自分が泳ぎたいから沖縄にしたんだよな? 絶対そうだよな⁇


 そう思いながら課長の様子を眺める多田。下条もジト目で多田の言葉に同意する。一方のちゅうじんとジュリア、下条は課長が泳ぎに行くなら行くかと、泳ぐことにノリ気なようだ。


「おーい、多田も一緒に泳がないか?」

「誰が一番早く泳げるか勝負しましょうよ!」

「いや、俺は良いわ。お前らだけで行ってこい」


 そうちゅうじんとジュリアに誘われる多田。しかし、多田はその誘いを断る。ちゅうじんが何故と理由を尋ねるも、なかなか口を開かない。ちゅうじんとジュリア、下条が不思議に思っていると、王子が後ろからやってきてこう言った。


「あれぇ? もしかして多田くん泳げないのお〜?」

「……だよ」

「え?」


 王子に指摘されて、黙る多田。少ししてから多田が何かを話したようだが、聞き取れない。思わず、聞き返す王子。周りも多田が何を話したのか分からずに、はてなを浮かべている。


「だから、泳げないんだよ! 何か悪いか⁉︎」

「おお、マジか。ここに来て多田の弱点が見つかるとは〜」

「え、そうだったんですか⁉︎」


 多田の告白に皆、驚きの表情を浮かべる。そんな中、王子は爆笑しながら多田の弱点を発見できて喜んでいた。そんな笑っている王子にドロップキックをかましてやる。撃沈する王子を放置した多田はちゅうじんたちに言った。


「と言うわけだから、お前らで行ってこい」

「お、おう」

「それじゃあ行きましょうか」


 戸惑い気味に返事をするちゅうじん。ちゅうじんとジュリア、下条にいつの間にか復活した王子は海の方に向かっていく。すると多田は、パラソルでゆったりくつろいでいる夜宵を発見する。


「先輩は泳がないんですか?」

「まあな。お前はどうした?」

「いや、俺泳げないというかそもそも海が苦手なんで。遠くから眺めときます」

「なるほどな。それじゃあ暇なお前に任務をやる」


 設置されているビーチチェアに座っている夜宵に、泳げないということを説明するとそう言われた。


 任務ってなんだ?


 そう思いながら、夜宵に任務とはどういうものなのかを聞いてみる多田。夜宵は背もたれから背中を離して身を起こすと、足を組んでこう言った。


「あそこの売店にかき氷が売ってるからそれ買ってこい。味はブルーハワイ、勿論お前の奢りな」

「いや、なんでそうなるんですか⁉︎」

「文句垂れる暇があったらさっさと行ってこい」

「はいはい、分かりましたよ」


 従わなかったら拳が飛んでくるので、素直に買いに行く多田。夜宵は普通に締め技をキメてくる強くて怖いお姉さんなので、下手な発言や行動をしたら殺されかねない。多田が売店に行くとかなりの人が並んでいた。沖縄の夏は暑いので当然といえば当然だが。

 並ぶこと二十分。やっと順番が回ってきたので、ブルーハワイとメロン味のかき氷を注文する多田。支払いを終えて夜宵の元へ戻ってくると、何故かそこには企画課の皆とちゅうじんが集まっていた。集合時間はまだ先のはずだ。

 取り敢えず、夜宵にかき氷を渡すことに。


「はい、どうぞ」

「おっ、サンキュー」

「おお! なんか美味そうなもん食ってる!」

「多田と先輩だけズルいよなあ」


 かき氷を見たちゅうじんや王子が羨ましそうな目で見てくるので、課長が一旦休憩にしようと提案してくる。時計の針を見ると十二時を回っているので、お腹が空いてくる頃だ。


 一行は海の家にて昼食を取ることにする。かき氷は勿論、焼きそばや焼きとうもろこしなど、各自好きなものを頼んで食べていく。そうして全員が完食すると、多田はさっきの集まりのことを聞いてみた。


「あの、さっきパラソルの前で集まってたのって……」

「ん? あー、あれか。実は下条から提案があったんだ」

「提案?」


 課長の言葉に首を傾げる多田。周りの皆の様子を見るに皆は何をするのか聞いているようだった。

 

 あの下条が一体何を提案したってんだ? 


 そう考え込んでいると、課長が続けて言った。


「下条からの提案はこうだ。海が苦手な多田も楽しめそうな遊びをやらないかってな」

「その遊びって?」

「ビーチバレーだ」

「……へ?」


 まさかの返答に、思わず声が漏れてしまう多田。


 この歳になって、ビーチバレーとかマジかよ。 


 呆れた表情を浮かべる多田。だが、話はそれだけではないようで、課長が再び口を開いた。


「勿論、ただのビーチバレーじゃないぞ。“有給取得を賭けた、何でもありのビーチバレー”だ」

「……はああ⁉︎」

 

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