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ひねくれ魔術師とひねくれ勇者の冒険譚  作者: 渡辺 佐倉


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魔王とは

この世界には魔王というものがいる。


歴史を紐解いても常におり、そして何度も何度も繰り返し戦争をし、領土を取り合っている。

今もその戦いの真っ最中で、だからこそ、魔術師は殺されない。


何かあった時に戦うためにこうやって閉じ込められるだけだ。

身体を傷つけて上手く魔術が発動できなくなると困るので閉じ込めるということばかりに特化している。


その位ずっと長い間人間と魔王は戦ってきた。

ただ、その魔王がずっと同じ者だったかについて書かれている書物は俺が知っている限りない。


この研究は、人がやがて死を迎えるように魔王も代替わりを繰り返しているというものだった。

その説自体が異端という訳ではない。


魔族と戦って打ち勝っている人間は多くいる。

魔族も死ぬのだ。

死ぬのなら新たに生まれてもおかしくはない。


ただ、この研究の異端さはその代替わりには確かな理由があり、それが世界にとって必要なものだと示唆していた。

最初は仮説だったそれが長い時を経て確かな形のあるものに変わっていっていた。


魔王は世界の何を守っているのか。

何のために代替わりをするのか。


そもそもどうやって次世代の魔王は生まれてくるのか。

そしてそれと魔法との関係。


なぜ魔族も魔法が使えるのか。

その部分を確認をしながら先人たちの研究を読み進める。


同時に確認をするためにそっと外の世界に妖精ちゃんたちを放つ。

実際の魔族との研究の齟齬、そして研究で言われている世界の法則が現実のものかを確認しつつ自分の研究も続けていく。

足を失ったときのことが役に立ちそうだった。


そして、妖精ちゃんを外に送り出して確認したことの中に、彼女のこともあった。

弟子の行く末に責任をもてなかった師匠として、できるだけのことをせねばと思った。


そっと彼女の学園生活に必要なものを届けていた。

遠隔の魔術の精度がまた一段上がった気がしたけれど、比較対象が無いのでよくわからない。


そして、彼女が、ナタリアがその稀有な魔法の才で厄災ともいえるものを召喚してしまったのを見てしまった。

本来召喚というのは術者と被召喚者の間の話だ。

他の者が入っていはいけない聖域だ。


けれど手を貸してしまった。

ユナが知ったら馬鹿にされるだろう。


だけど、あのままだとあのこが食べられてしまっただろうから。

だから俺は彼女の召喚した者の行動を魔術で縛った。


それからもこの場所で、ひたすら研究を続けていた。

外から得られる情報は戦争の本格化、いよいよ魔族と人間の全面衝突だと言われるようなものが増えていた。


とりあえず勇者と呼ばれる者達を単独で送り込んで魔王の勢力をそぐという、場当たり的な対応から、いよいよ多数の人間で軍勢を作り戦わねばならないという雰囲気になっていることが分かった。

何故最初からそうしないのかと、ため息をつきたくなる。


少なくとも子供たちを争いの場に差し出す前にできることがあったはずなのに。

ついに魔王が姿を現すという噂もまことしやかに出ていた。

逆に魔王は魔王城から出られないという噂も。


研究はここでやれることはほぼ終わっていた。

後は実際の魔王にどう会うかだった。

妖精をと思ったが危険を顧みない方法以外では顔を見ることさえできなかった。


危険なことをするのであれば自分でやった方が確実だった。

おりしも、どの国も戦力になる魔法使いを必要としていた。


「恩赦が出た」とだけ告げられ俺は外の世界に戻った。

一人で魔王を見に行くつもりだった。


戦うのかすら決めていなかった。

ただ、話し合いをするようなガラでもない。


俺が収監されていた施設を出た時景色を見渡そうとしてできなかった。


そこにはかつて喧嘩別れになった弟子と、勇者が当たり前の様に立っていたからだ。

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