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ひねくれ魔術師とひねくれ勇者の冒険譚  作者: 渡辺 佐倉


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番外編:ナタリア

 朝起きて体を清めたら神様にお祈りすること、食事の前に神様に感謝する事、もう習慣になってしまったけれどそれがとても大切だという事を私は知っている。


 都会にはそういったことをしない人もいると聞いたけれど私は自分の生活の方が良いと思う。


 アスナも「礼儀正しい事は良いことです」と言っていたし、村の皆も神様の教えには意味があると言っていた。


 例えば、自らの体以外の器官を体に取り付けるのを禁止しているのなんてとても分かりやすい。

 昔魔術師同士が戦争をして兵器として体を改造された人が沢山いた。まるで道具の様に人間を使ってはいけない事は過去からみても明らかで、だからこそそれに使える技術自体避けた方が良い。

 人を不幸にするものとは決別しなくてはいけない。


 それは自分でも正しい事だと思うし、外の人達と違う服装も武器も何もかも気に入っている。

 だから、私の恰好を見て入店を拒否されても平気だし、それで考えを変えようとも思わない。


 だた、少し前の事はユナと名乗る精霊に悪い事をしてしまったかもしれないと思う。

 入店を拒否された後の憤慨っぷりはすごかった。


* * *


「なあ、恨みとかってないのか?」


 あの人が私に聞く。


「何の話ですか?」

「魔王討伐に選ばれたこととかさ……」


 もごもごと話すのは多分この人の癖だ。最後が聞きとりにくくてよく分からなかったけれど、言いたいことは分かった。


「何故恨むんですか?」


 魔王討伐に選ばれるのは名誉なことだ。

 たとえ、村でいらない人間だから選ばれたとしても、討伐に人を割いたということで村はしばらくは安泰の筈だし、名誉だと言われたのだ。


「そんな事、なんで聞くんですか?」

「いや、アルクが……、ってそういうんじゃなくて、もっと他にしたいこととかないのかな、なんて思ったというかなんというか」


 あの人に言われる。勇者様に何かを言われたってことなのだろうか。それともここでも私は邪魔なのだろうか。

 思わず俯くと、あの人は慌てた様に「あの、だから、そういうんじゃなくてっ!」と言った。


「俺なら……、そうだな恨むというよりアホ臭くなって考えない様にするんだけど、ナタリアはどうなんだろうって思ったからさ」


 あの人は手を振りかざすと、攻撃を当てるための的が十程増える。


 魔術というものは旅にでて初めて間近で見たけれど、少しの努力で習得できるものと違う事は分かっていた。

 アスナは学校できちんと勉強しないと基本的には習得できない技術だと説明していたし、事実そうなのだろう。


 その中の一部をパーティで戦うために教わっている。

 少ない知識だけでこの人が普通でないことが分かる。


 今だって、魔力の流れがよく分からないまま的は不規則に動いている。


「村から選ばれたことは名誉ですし、こうして戦うための技術を教えてもらえていて、一体何に対して不満におもうんですか」


 私が答えるとあの人は不自然に視線をそらした。


「……そうか、ならいいんだ。

じゃあ、とりあえずあの的に当ててみる練習をしようか」


 外しても周りに被害が行かない様にサポートするから思った通りにやる様にと言われて私は手を前方にかざす。

 特に難しい術は使わない、威力は無くていいのだ。魔力そのものを手の先に込めるとこぶし大の光があらわれる。


 それを的めがけて飛ばすが当たらない。


「ああ、いい感じだ」


 それなのにあの人はあらぬ方向で弾けた光を見て頷いた。


「魔力切れになりそうになったら俺のをあげるからまず慣れよう。

どの術にせよ攻撃系はこれの応用だから。」


 術は便利な魔導具を使えば発動できる。


「魔力量は増やす事って出来るんですか?」


 あの人がギクリと固まる。無理なのだろうか。戦いに使えないのであれば、頑張っている意味が無い。


「大丈夫増やせるよ。魔力が巡っているのが分かるだろそれで器官が強くなるから。

後は、療術系の魔術で成長も促進できる」


 ギクリと固まった筈なのにあの人は私が欲しかった答えをすらすらと答えた。


 何故あんな態度を取ったのか分からなかったけれど聞けるほど信頼関係があるとも思えなかった。


「じゃあ、頑張ってみようか」

「はい」


 どちらにせよ今集中しなくてはいけないのは練習の方だ。

 私は的を見据えて再び手をかざした。

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