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ひねくれ魔術師とひねくれ勇者の冒険譚  作者: 渡辺 佐倉


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遺跡再び5

 今の言語に自動翻訳しているのだろうか。

 それともこの少女はそれほど昔の人では無いのだろうか。


 この状況だけでは判断できない。しかし今それを判断すべきでないことだけは分かる。


「アルク、後ろの石像を切り捨てろ」


 そう言いながら、念のための魔術を発動させる。この魔法陣自体がトラップの場合切った瞬間おこるのは大抵碌でもないことだろう。


「この剣でだな」


 遺跡で拾った剣を鞘から出すと、アルクが一気に石像を間合いを詰める。

 一閃すると石像が崩れ落ちた。


 一応人型をしているし、見た目可憐な少女が魔法陣から浮かび上がっているのに迷いが無い動きに思わず唾を飲みこむ。


「これでいいか?」


 アルクが聞く。特にトラップの発動も無い。


 ゴゴゴゴと石がこすれる様な音がして石像の奥の壁が崩れる。

 中にあったのは宝石の類や何かを研究したであろう書物とそれから王冠が置かれた台座があった。


 室内に魔力の形跡は感じられない。

 魔法陣も動きを完全に止めて元の単なる溝に戻っている。


「収穫無しかと思ってけど、これは適当に報告できそうだ」


 思わず安堵の声を出す。


「ねえ、その言い方ってことはこの中身は誰かに献上するって事?」


 まるで試すようにユナが言う。


「まあ、研究資料っぽいものはいくつか欲しいよな」


 俺が返すとユナは「驚いた」と馬鹿にするように言う。


「そんなもの、記録ができるタイプの妖精にでも写させれば充分でしょ」


 ユナの言い方が引っかかる。


「もし持って行くとしたらお勧めは?」


 アルクが抑揚の無い声で聞く。


「その剣は当然として、後は――」


 ふわりと浮遊したまま王冠を取ってアルクの元に近づく。


「これかしら。後で後悔したくないのなら……。」


 まあ、宝飾品も欲しいって言えば欲しいけど貰ったばっかりだし。

 ニコリと笑った顔は裏があるのか俺には判断できない。


「それって、盗掘ですよ!?」


 ナタリアが叫ぶように言う。


「私は、きちんとしかるべき機関に全てを報告して渡すべきだと思います」


 ナタリアの手が震えている。


「だとさ。どうする?」


 アルクがこちらを見て聞く。


「内部の状況全てを妖精に記録させるのはする。

王冠だけど……」


 ユナの方を見て「具体的に後悔の内容は?」と聞く。


「今の状況じゃ言えないわ」


 またそれだ。逆に言うと剣の時と同じという事だった。

 要は勇者にかかわる何かの為にユナは必要と言っている。まあ、嘘をついている可能性はある訳だが。



「魔術師は戦闘を行った妖精に褒章を与える必要があるときは現地調達していいって規定がある」


 褒章を出せずに契約した物が使役できず、例えば遺跡もろとも崩壊に巻き込まれたら意味が無い。だから魔術師は褒章の為であればある程度のものは現地で調達して差し出して良い事になっている。


「ユナさん。今回の貴方の働きに感謝を込めて。

これ預かっといてください」


 妖精への礼は貸与でも構わないのだ。それをしばらく使える権利を譲渡する。

 例えば聖なる泉に滞在する権利とかそんなものを与えることはよくある。


 今回はそれの応用だ。


「契約の名のもとにその申し出受けましょう」


 ユナは王冠を手に取ると魔法陣を手の上に出す。そのままその魔法陣に王冠は飲みこまれて消えた


「一応ルールの範囲内だから」


 ナタリアは俯いたまま何も答えなかった。


* * *


 報告書を書いて妖精に運ばせる。

 王族が準備した調査団がこの遺跡に到着したのはそれから十日後の事だった。

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