最高のゲーム
宜しければ最後まで見ていってください。
僕が愛してやまないゲーム【スカイスペース】略して【スカスペ】のリメイクがついに発売される。このゲームはVR(仮想現実)で楽しむことができる。1人用でとにかく自由度が高い。さまざまなMOD(拡張機能)を導入することができて、特にキャラメイクの自由度がえげつない。胸の形から足指の長さまで......。ロリから爆乳お姉さんまで自分が納得いくまで様々なキャラクターを作成したのは記憶に新しい。髪型ひとつにしても何万種類もある。もちろん、1から自分で作成することも可能だ。まぁ3Dモデリングの知識があればの話だが。
俺はこのゲームを楽しむために必死こいて3Dのお勉強だってしたさ。昨今は動画サイトを見ながら無料の3Dソフトで学べるいい時代だから、時間とやる気があれば誰でもできる。いつの間にかゲームのプレイ時間より3Dソフトで衣装や武器を作る時間が長くなってしまった。
作った3Dデータはリメイク版のスカスペでももちろん使える。今までの努力が報われた気持ちだ。ただ、オリジナルマップの追加や、既存のグラフィックを向上するMODはまだ対応していないから、未来に期待だ。
スカスペのリメイクされた部分は大きく分けて3つだ。
1つ目は、グラフィックの大幅向上だ。これにより、グラフィック関連のMODの必要はなくなった。
2つ目は、マップの拡張だ。元々はまる1日かけて端から端まで移動することの出来るサイズだったが、リメイクされて円周が4万キロと地球と同じ広さで構成された。もちろん様々な地形がある。
3つ目は、全てのNPCにAIが搭載された。プレイヤーの行動次第で状況がかわり、同じ体験はできないだろう。
もちろん僕はこのゲームをバニラ(拡張機能が入っていない状態)ではやらない。MODをガン詰して可愛い女の子になって地球と同じ広さの世界を快適に旅するんだ。
僕は3Dモデルを沢山作成してくうちに、スカスペの開発者の方と知り合いになり、このゲームに関する愛情と熱情を語ったらテストプレイと言う名目の元に、先行プレイをすることになった。そして今日がその日だ。この日の為に溜まった有給40日間全て使ってきたぜ。思う存分ゲームを楽しむんだ!
開発者の方と何度か会って話しをしていると、スカスペ専用のゲーム機と長期間ゲームをするための環境を整えてもらうことになった。
我ながらコミュ力が高くて参ったねぇ。いや嘘です。開発者様々です。
待ち合わせ場所は渋谷駅だ。気分が高揚してて、少し早めに到着した。それから、1時間ほど携帯をいじりながら待っていると、私服の上から白衣を羽織った女の子がやってきた。
「リム君お久しぶり」
「お久しぶりです神谷さん。この後の先行プレイとても楽しみです!」
「ふふ、張り切ってるわね。私も楽しみよ」
この人は神谷莉奈さんだ。スカスペの開発者兼責任者だ。ここまで有名なゲームを作成しているのに、いくら調べてもネットで経歴が一切出てこない謎人物だ。こうして、僕が会えているのは奇跡に近い。
どう見ても10代後半から20代前半の見た目なのに言動等が異様に大人っぽい。
女性の化粧は年齢すら誤魔化せる程進化しているのかな??
「リム君。今失礼なこと考えてたでしょ?」
「いえ! そんなこと考えてないです!」
それにしてもよく心を読まれる。そんなに顔に出やすいかなぁ。
「そっか。リム君そろそろ始めたくてうずうずしてるわね」
「はい! バニラでやるのもいいですけど、やっぱ沢山MOD入れて快適な旅をしたいです!」
「良いわね。それじゃあ案内するから付いてきて」
しばらく歩くと細長い路地があった。注意して歩いてないと絶対に気が付かない、そんな場所だ。ラブホ街みたいな感じだ。まあ童貞だけど。
「ついたわ」
「……ここ、ですか」
思わず言葉が詰まってしまった。だってさ〜細い路地に入ったと思ったら行き止まりなんだよ。そりゃキョドるよね?
「そうよ?」
すました顔で壁に向かい進んでいく。
「神谷さん!? 壁にぶつかりますよ!」
神谷さんが壁に……めり込んで……消えた?!
「……え?」
「リム君〜早くおいで〜」
奥から声がする。
意を決して壁にアタック!
何にも当たらずバランスを崩す。
「うわ?! いてててて」
「うふふ。リム君大丈夫?」
「はい……。なんとか」
目の前にはドヤ顔をしている神谷さんと、錆びていて、独特な模様が彫ってある壁が目に入った。
一見行き止まりの壁に見えるけど、ゲームで何度も見た事のあるデザインのそれは一目でスカスペの扉だと理解した。
デザインは何種類もあり、家の隠し部屋や、盗賊のアジトの道などにも使われていた。
「凄いでしょ? ロマンがあって作っちゃった」
「神谷さん……凄いです!」
「リム君涙拭いて? これからプレイルームに案内するわ」
どうやら感動のあまりに泣いていたらしい。画面越しで見たままのデザイン、質感全てがベストマッチだった。
神谷さんは扉に近づいて何やらしている。死角になっていて見えないが、次の瞬間扉が開く。入ると何とエレベーターになっていた。
固唾を飲んでしばらくするとエレベーターは止まり扉が開く。そこはまるで、スカスペの一番最初に行く村のギルドに似ている。
すごい再現力だ。控えめに言ってスカスペを愛している。この人に出会えて本当に良かった。
ゲーム内では入ることができないカウンター。その奥にある扉に手をかける。ここはゲームの中ではなく現実だ。扉を開けることは当たり前にできる。
「お待たせリム君。あなたにはこの空間でゲームをしてもらうわ」
「……はい。」
一瞬言葉を失った。
カウンターの扉の中には今までの風景を疑うほどメカメカしかった。至る所に配線がしてあり高そうな機器が並んでいる。今までが完成度が高すぎたせいか落差がすごい。
「リム君から添付してもらったMODは一通り入れているからすぐにプレイできるわよ」
「ありがとうございます。実はもうひとつMODを追加したいのですがよろしいでしょうか?」
「いいわよ」
追加で持ってきたMODの導入もスムーズに終わりいよいよゲームをプレイできる。神谷さんには本当に感謝しかない。
僕は球体条のゲーム機に腰掛ける。ひと昔前の頭に装着するタイプのVRでは無い。体に特殊な周波数が出ている吸盤状の装置をつけ、互換をリンクさせたフルダイブVR機器だ。家庭用にはまだ普及されておらず、大きな企業や資産家が所持してい
「神谷さん、よろしくお願いします!」
「えぇ。楽しんでちょうだい」
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