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蠱毒の戦乱  作者: ZUNEZUNE
第十七章:虫籠に囚われし姫君たち
201/230

200話

「フッ――ハァ!」


ギラファの刃が走る先には、燃える弾丸が迫り長い刀身がそれを弾いていく。

本能死の弾丸は被弾した瞬間爆発を起こすので、普通に刀で弾いてもその余波を受ける。しかしアミメの場合その異常に長い刀のほぼ先端で弾いているためその影響が少なかった。


そして何より驚くべきは、自分の身丈より長い刀を軽々と、それも二刀流で扱えていることだ。地面と平行に持つことすら力を用いるはずなのに、刀身の長さのせいでアミメの動きが鈍くなることは全く無かった。


ギラファノコギリクワガタ――世界最長のクワガタ。その長い顎と同じ長刀は、じわじわと信長に近づいていった。


「器用なものだな、だがそう何度も躱せると思うな!」


迫るアミメに対し、信長は熱線を集中させる。更に銃口の数も増やしていき、徹底的な集中砲火を浴びせていった。

流石に熱線が集中するとなればギラファでも防ぎきれず、細い身体は吹っ飛ばされた。


「ッ――!」


「腕は立つようだがあの男と比べたら可愛いものよ、俺が慰めてやろう!」


信長の超火力はアミメを一切近づけない。休むことなく銃撃を続け的確に狙っていく。


確かにアミメもそれなりの実力者だが、それでも信長に届く程ではない。例え長刀を使いこなせても、その"間合い"を軽く超える"射程距離"には太刀打ちできなかった。


「数が増えれば少々面倒くさくなると思ったが無用の心配だったな。すぐに片を付ける。

――"白毫穿ち"!!」


そして熱線を放ち続けると同時に狙撃銃を用意、防ぐのに夢中となっているアミメの額に狙いを定める。


放たれた弾丸は数本の熱線の間を通り抜けアミメの頭部へ一直線に飛んでいく。彼女が気づいた時には弾丸は既に間合いの中へと侵入していたが、長い刀身が仇となり弾こうとするも刃が間に合わない。

――目前まで迫る弾丸にアミメは息を呑む。しかし信長の狙撃は、突如割り込んだ黄金の刃によって弾かれた。


「ッ――鬼武者!」


英と戦っていた金涙が、咄嗟に英との戦いから抜け出して彼女を守った。それと同時に他の熱線も振り払い、その窮地から救ったのだ。


「無理はいけませんよアミメ、いくら君でも彼と真っ向から戦っては敵わない」


「ドクター……私なんかを」


割り込んできた金涙の姿に、アミメは思わず頬を赤らめ恍惚の表情を浮かべる。

すると英も乱入し金涙に斬りかかる。オウゴンオニクワガタの両刀でそれを受け流しつつ、アミメと共に引き下がった。


自分を先導し身を挺して守ってくれる金涙の姿に、アミメは心の底から魅了されていた。例え心配してくれているのは()()()()()()()()()()()()であろうとも、その背中に惹かれずにはいられなかった。


「君は援護をお願いします――頼りにしていますよ」


「――はい」


アミメの返事を聞くや否や、金涙は彼女の元から離れ英と衝突する。もう何度目かも分からない唾競り合いがアミメと信長に挟まれる形で行われる。

そこへ信長が援護射撃を放とうとしたその時――アミメが不思議な構えから攻撃を放つ。


「ギラファ――"騏驎奔走"」


瞬間――英の右肩に、信長の銃口に、突き刺さるような鋭い衝撃が走る。その威力はリッキーブルーの装甲を突き破る程ではないが、英に踏鞴を踏ませ、発砲直前だった本能死の銃を内側から破壊した。


「ッ――!?」


突然の攻撃に驚くと同じような衝撃が繰り返し襲ってくる。まるで刃物を投げつけられているような刺突の感触、その正体はすぐに分かった。


(刺突を飛ばしている――速い! 信長の銃と変わらない!)


槍のように長刀で突き、それが斬撃となって飛んでくる。剣を振って放つ斬撃とはまた違う、捉えにくい遠距離攻撃。それが次々と当たり英の動きを邪魔する。


そうして太刀筋が緩くなったところを金涙の刃が襲う。

——このままでは奴の一太刀を受けてしまう、こちらも技を繰り出して相殺せねば。そう構える英だったが、踏み出しが刺突の斬撃によって狂う。


(しまッ……!)


(オウゴンオニクワガタ――蛇鬼這い)


その上金涙が繰り出したのは蛇の如く曲がりくねった剣撃、崩れた姿勢に見切り辛い太刀筋が重なり、"虫の知らせ"を駆使しても回避不能な状態に陥らせた。


それを見かねた信長が援護射撃にまわろうとするも、同じくアミメの刺突斬撃が本能死の銃口を片っ端から撃ち抜いていく。

まるで銃と銃の早撃ち対決、射程では劣るはずの長刀が信長に届き次々と射撃を妨害した。


「――小娘風情が、俺の銃撃と渡り合うつもりか! 生意気な!」


これが信長のプライドを逆撫でし、怒気に伴い銃の数を増やしていく。

信長は一人で弾幕を張れるのに対し、アミメの刃は二刀。ならばこちらは数で圧倒しようという魂胆だ。


「変手――"破戒一掃"ォ!!!」


更に機関銃による銃撃も開始。英ごと金涙とアミメの両名に怒涛の連射を浴びせていく。

これには"騏驎奔走"の刺突も敵わず銃弾が雨のように降り注ぎ、金涙とアミメを後退させた。


(オウゴンオニクワガタ――)


しかししばらくすると、金涙が"虫の知らせ"を駆使し銃弾を弾きながら前進を開始。そして弾幕が僅かに薄くなる一瞬の間を狙い、両刀を開くように振り払う。


(――"鬼門・決壊")


その瞬間刃が黄金に光り輝く。広範囲の二段剣撃が弾幕を左右に薙ぎ払い、殆どの弾丸が両端へと弾かれた。その太刀筋は宛ら巨大な門を抉じ開けるような大胆さ、燃え盛る弾幕で埋め尽くされた視界が一気に晴れる。


(剣圧で薙ぎ払いやがった! 滅茶苦茶な野郎め!)


しかし弾幕が晴れたことにより、金涙の行く手を阻むものは無くなった。捉えるは雄白英、白銀の鎧武者に向かって走り出す。

あれ程自分を苦しめた連射攻撃をたったの二撃で突破したことに驚きをッ隠せない英だが、迫りくる金涙に集中する。


(リッキーブルー、"銀蟾跳び"!!)


太刀を素早く振るい、斬撃を放ってそれを迎撃。銀色の斬撃が飛び跳ねる兎のような軌道を描く。


しかし金涙の"虫の知らせ"にかかれば、不規則な軌道の斬撃などただの愉快な技に過ぎない。一つ一つが生きているような動きでも完璧に把握し、一切スピードを落とすことなく英に接近していく。


(斬撃や弾丸みたいな遠距離攻撃はほぼ避けられる、やはり直接斬るしかない――!)


迫る金涙を見据えて冷静に太刀を構える英、飛び道具が効かないのなら残された手段は近距離のみ。勿論普通に刃を振っても"虫の知らせ"による回避能力を打破できるわけではないが、遠距離攻撃よりかは確率が高い。


間合いに入ると同時に繰り出された刺突を受け流し、カウンターの一太刀を振り払うもこれも躱される。互いに避けては反撃、斬っては躱しを繰り返す。


(向こうの"虫の知らせ"が鋭いのならそれを越せ! 奴より早く"虫の知らせ"を使う!)


目には目を、歯には歯を、"虫の知らせ"には"虫の知らせ"を。

"虫の知らせ"は何も金涙の専売特許ではない。全ての甲虫武者に備わった第六感能力だ。

奴の特別性には劣るが、今までの戦闘経験で英の"虫の知らせ"も鍛えられていた。


(いくら"虫の知らせ"が凄かろうが、そう簡単に予測できると思うなよ!)


そうして始まる探り合い、交錯する予測と共に剣技が鋭さを増していく。

ただ相手の太刀筋を予想するだけではなく、自分が次にする動きでどう隙が生まれるのか、向こうはそれをどうやって突いてくるのかも予測する。


数手先を常に察知し、瞬時に最善の行動を取る。一切気を緩められない衝突が続き、体力面より精神面が辛くなっていく。

――この"虫の知らせ"のぶつかり合い、そこが勝負の分け目であった。


「ッ――この、うぉあ!」


――時間にして一分にも満たないこの斬り合い、体感時間はそれよりもずっと長いだろう。

終わりの見えない予測対決は英の精神をすり減らしていき、それが枷となって動きを鈍らせていく。意識して"虫の知らせ"を強く使い続けるのは、英が思っている以上のストレスであった。


対し金涙は、言わば"虫の知らせ"のエキスパート。ただ精度や直観力が優れているだけではなく、その使い方にも手馴れていた。

確かに英の"虫の知らせ"は戦闘経験のおかげで鋭くなった。しかし経験という面でも金涙は群を抜いている。


「オウゴンオニクワガタ――"鬼筆(きっぴつ)・十文字"」


炸裂する十字斬り、交差した二つの剣撃がリッキーブルーの鎧を砕きその身体を断つ。英の胸に"十"の傷痕が付けられ大量の血が噴き出した。


「――ッぐぁ!!」


「私の"虫の知らせ"と張り合うとは、貴方には本当に驚かされる。しかし私には年の功があるので、若い子たちにはまだまだ負けられない」


血と共に冷や汗を流す英とは対照的に、涼しい顔で刃に付いた血を払い飛ばす金涙。

――刃がすぐそこまで迫った瞬間、"虫の知らせ"が自己防衛に強く働いたため咄嗟に後ろへ下がり、致命傷にはならずに済んだ。後もう少し遅ければ心臓が四つに斬り分けられていたかもしれない。


(――不味いな。俺も白武者も消耗している。ましてやここは奴らの根城。このままだと、いつか食われる)


金涙の研ぎ澄まされた回避能力、そしてアミメの援護が戦いを長引かせる。しかも着実に攻められているので消耗が激しい。

ここは混蟲武人衆の本拠地、言わば敵の腹の中。そんなところで戦えなくなればどうなるか分かったものじゃない。


――最も、目の前の武者二人が生きて帰すわけもないが。

信長が望む策としては、何とか金涙たちを無視して濃姫を奪還。その後速やかにこの場から立ち去る。これが何千と言う戦を乗り越えてきた武将が導き出した答えだった。


(この信長が……猿もどきなんぞに逃げ出すなどあってはならないことだが、背に腹は代えられん。今は濃姫の無事が優先だ。

……しかし、あいつは今どこにいる!?)


しかし幾つか問題点がある。金涙たちをスルーしてこの場から抜け出すのも難しいが、何より伊音と濃姫がどこに囚われているかまだ分かっていない。正確な場所が分からないとどのみち奴らに追いつかれてしまう。


「さてと、このままいけば無事勝てそうだ。君のおかげですよ、アミメ」


「――はい。ドクター」


金涙の称賛の言葉を噛みしめるように受け止めるアミメ。二人はゆっくりと近づき、追い詰めるように英たちへ迫る。

絶体絶命、とまではいかなが勝機が見えない状況に追い込まれる英と信長。疲弊した体を何とか起こし、二人に立ち向かっていく。


そうして金涙たちを刃と銃で迎え撃とうとしたその時――信長を除く三人に衝撃が走る。


「「「――ッ!?」」」


水を差すようなその気配に甲虫武者たちは戦いの手を止め、共に同じ方向を見る。信長とは違う鎧蟲の気配を"虫の知らせ"が反応したのだ。"虫の知らせ"を持っていない信長だけは三人の反応に首を傾げる。


(鎧蟲の気配……何故このタイミングで? しかもこの方向は……)


「なんだ? 一体どうしたというのだ!」


「鎧蟲だ……しかもここからそう遠くない位置に現れた!」


予想だにしていなかったタイミングに一同困惑し、信長も英に教えられ全員が同じ方向を見る。


「何だと……信玄か!?」


考えられる可能性が一つある。信玄が濃姫を攫いにきたのかもしれない。奴だって混蟲武人衆と同じく濃姫を狙う者、嵬姿たちと戦ったあの後どうなったかは分からないが、再びこの人間界に足を踏み入れたのだろうか?


「いや……それにしては反応が小さいな。大群で来たわけじゃないし……弱々しい感じだ。

それにこの位置……地下のどこかだ」


(――まさか)


一早くその正体を察したのは金涙。

英と信長が本拠地に足を踏み入れたこのタイミング、そして気配を感じる場所は同じ地下、今この状況で現れる……()()()()()()()()()()鎧蟲は一匹しかいない。






「……これで、よろしいのですか?」


「う、うん! 多分これで気づいてもらえると思う」


一方牢屋では、金涙の予想通り伊音と濃姫が行動に移していた。

彼女たちが考えていた自分たちの居場所を知らせる方法、それは()()()()()()()()ことだった。


人間の姿を捨て蝶の怪物へと戻った濃姫は、ただ牢屋の中で座り込む。一方虫嫌いの伊音はそこから少し離れて助けが来るのを願っていた。


――擬態を解除することにより、濃姫の気配を甲虫武者たちに察知させればこちらの正確な位置を伝えられる。伊音の狙いはそれだった。

しかしそれには敵の甲虫武者も反応し、こちらの意図に気づかれるのは必須。だからこそ、この作戦を決行するにはタイミングが重要であった。


英たちが助けに来てくれるのが先か、混蟲武人衆の連中が戻ってくるのかが先か、自分たちの命運が懸かった賭けである。


(お願い、助けてください……皆さん!)






「そうか、濃姫の気配だ! 擬態を解いて俺たちに居場所を教えてくれてるんだ!」


「……成る程! そういうわけか!」


彼女たちの意図に英たちも気づき、その救難信号の元へ急いで駆けつけようとする。

しかし前方には金涙とアミメ、それに奴らも"虫の知らせ"で気配を察知しているはず。意地でも通さないに違いない。


「――少し危険だが、奴らを蹴散らすと同時に()()()()

白武者! 正確な方向を教えろ!」


「ッ――ああ!」


信長の手に合わせて具現化する巨大な大砲、そして()()()()()()()()普通の銃を見て英は信長の狙いを察する。

突如信長が見せた巨大大砲に慄く金涙たち、窓も無い半密閉空間で"本能死"の全力火力なんて受ければ一溜りもない。ここは引き下がるしかなかった。


「――"第六天雷"ッ!!!」


眩い閃光から間もなく、獄炎の塊が放射。薄暗い地下を昼間以上の明るさで照らし大爆発を起こす。

床や壁が破壊され、威力が大地を伝わり本拠地全体を壊していく。逃げ場の無い炎と煙が立ち籠り視界を埋め尽くした。


(ッ――煙で身を隠して強行突破するつもりか。

しかし、煙の中の標的を探すなどアミメの"虫の知らせ"でもできる)


"第六天雷"の威力こそ警戒したが、今更煙で視界が隠れる事態などに動揺はしない。すぐに自慢の"虫の知らせ"を駆使し英たちの位置を探る。


「――そこ!」


「てぇえ――!!」


しかし次の瞬間、英の掛け声と共に銃声が響く。普通なら銃声が聞こえるより先に体が動く金涙であったが、この時だけは少々で遅れる。それは一体何故か?


(この銃撃……()()()()()()()()!)


"虫の知らせ"が反応したそのすぐ後、熱線がすぐ横を素通りする。

その一瞬だけ煙が晴れ、隙間から見えたのは誰もいない方向に銃口を向ける信長と、同じ方向に太刀を突きつける英の姿だった。


"虫の知らせ"は自分に向けられた殺気には敏感だ。特に金涙の特化した第六感なら猶更。

それが仇となり、元から自分を狙うつもりの無い攻撃には警戒が疎かになっていたのだ。


ならば信長はどこを狙って撃ったのか?

英が太刀を突きつけていたのは、刃先の方向で"虫の知らせ"が示す濃姫の場所を教える為。

そして信長はそこから()()()()()()熱線を放った。


(そうか――牢屋までの直線通路を作るためか!)


煙が完全に晴れ金涙が後ろに振り向けば、熱線によって真っ直ぐに壁を貫通した道が出来上がっている。

牢屋までの別れ道や複雑な通路も関係無い、迷わず彼女たちの元へ駆けつけられる一本道であった。


「待っていろ濃姫――今助ける!」


「まずい――行かせません!」


早速最短距離で濃姫の元へ向かう信長。ここで金涙は、初めて焦りの顔を見せる。

穴に入ろうとする信長を止めようと両刀を走らせるも、英が割り込みその剣撃を受け止めた。


「おっと、それはこっちの台詞だ!」


「ッ……!」


英が食い止めている間、信長は穴を突き進んでいく。熱線によってドロドロに溶けた通路の上を躊躇なく走り、止まることなく奥へと向かう。


「――濃姫! どこにいる!」


声を張り妻の名を叫び続ける。連中に酷い目に遭わされていないか、積み重なった不安が一気に爆発し信長の体を突き動かした。

やがて信長は濃姫たちが囚われていた牢屋へと辿り着く。丁度部屋の側面を熱線が呑み込み、鉄格子の横に抜け道を作っていた。


「ッ――濃姫!」


「信長様……!」


そこで怯えていた濃姫を見た瞬間、彼女の細い身体を強くそれでいて優しく抱擁する。彼女もまた信長の胸の中で安堵し、その背中に手を回す。

――ようやく会えた。攫われたからそう経っていないはずなのに、数十年ぶりに顔が見れたような久しさ。信長は彼女がまだ無事なことに、濃姫は助けに来てくれた夫を見て心の底から安心した。


(あれが……信長)


一方伊音は、隅からその光景を眺める。

――英たちを苦しめた、最凶の武将。一体どれ程恐ろしい人物なのだろうかと緊張していたが、ああして妻を抱きしめる姿を見て張り詰めていた恐怖心が少し緩まる。


「……貴様が伊音とかいう小娘か」


「ヒッ……!」


しかしそれも束の間、濃姫を大事そうに包んだまま信長の視線が伊音へと移る。瞬時に目から優しさが抜け、ムカデの強面が彼女を硬直させる。

優しいのは濃姫にだけ――それ以外はどうでもいい。ましてや信長にとって、伊音も助けたのはついででしかない。


「……信長様、どうか伊音様もここからお助け下さい! こうして貴方様にこの場所を伝えられたのも、元はあの方の提案でございます!」


「濃姫さん……!」


意外なことに、濃姫が伊音を擁護する。同じ牢に囚われていたことによる仲間意識、何より英にこの場所を察知させられたのも彼女のおかげなので感謝の意があった。

濃姫の発言に一瞬目を見張る信長、そしてその視線は再び伊音へと向けられる。


「――成る程、大義である。毛無猿の小娘よ。

こうして濃姫を助けられたのは貴様のおかげだ。その礼にこの信長が恩情をかけてやろう」


「あ、ありがとうございます……?」


すると伊音の礼などまともに聞かず、再び銃身を形成する信長。今度は真横ではなく斜め上にその銃口を向け、鋭い熱線を放った。

貫通力抜群の銃撃は天井を貫き地面を掘る。まるで薄暗い地下に太陽の光が天窓のように降り注ぐ。


「ここから出るぞ――これ以上、奴らの戯言に付き合う必要は無い」

色々忙しくて投稿期間空き過ぎた。

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