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お父さんがゆく異世界旅物語  作者: はなまる
第三章 海辺の町ラーザ

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閑話 ハルの日記

 今日はラーザさいごの夜。あしたの朝にはシュメリルールにかえる。教会におかーさんがいなくて、がっかりした。がっかりしてかなしいきもちになったけど、またがんばってさがそうと思う。


 海できれいな貝がらをたくさん拾った。貝がらは、夜ランプにかざすと、かべにピンクやみどり色のかげができてとてもきれいだ。ラッチェンのウロコはおひさまがにあうけど、ラーザのかいがらは、ランプの火がにあう。


 おいしいものをたくさん食べた。ロレンさんがつれて行ってくれたお店はお皿がいっぱい出てくる、高そうなお店だったし、ヤーモさんたちと釣った魚も、おだんごもおいしかった。


 たびはこわいこともあったけど、とてもたのしい。きれいなものも、おもしろいこともたくさんあるから。でもぼくは、おとーさんがずっと、いっしょにいてくれるのが一番うれしい。


 ハナちゃんが生まれてから、おとーさんはぼくだけのおとーさんじゃなくなってしまったから。


 ハナちゃんが生まれてしばらくした時、ぼくはおとーさんに聞いたことがある。


 おとーさんはだれが一番好き? って。


 もちろんハルだよって言ってほしかったのに、おとーさんは『おとーさんが一番好きなのはおかーさんだ!』ってえばって言った。


 ぼくは、えー、そんなのずるいって思ったけど、おとーさんは、ハルも大人になればわかるさ、なんて言ってた。大人はすぐにそういう風に言う。


 ラーザのまちが見えてきたころ、おとーさんがすごくへんになった。ぼーっとしたり、きゅうに元気になったり、ずーっと絵をかいたり、しんけんな顔をしてにんじんを切ったりしていた。


 すきってきもちは、いろんなものをつれてくる。やきもちとか、ひとりじめしたいとか、いなくなったらいやだとか、きらわれたらどうしようとか。


 大人は、すきっていうきもちは、ステキなことだと言うけど、ぼくにはとてもやっかいなことに思える。


 やっかいで、こまったことで、かっこわるくて、はずかしい。


 でもおとーさんは、おかーさんがだいすきだから、しかたない。もしまたおとーさんがへんになったら、ぼくががんばろうと思う。


 おとーさんのかわりができるように、ごはんを作るれんしゅうもしておかないと。にほんにいるときは、火はあぶないとか、ほうちょうはダメとか、ひとりじゃダメとか言われたけど、そんなこと言ってるばあいじゃない。


 ぼくはおとーさんのおにもつじゃなくて、あいぼうだから。


 かっこわるくても、はずかしくても、ぼくはおとーさんが、だいすきだから。





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